気候変動枠組条約次期枠組みに関する特別作業部会での森林(2008/9/13) | |
8月21日から27日の間、ガーナのアクラにおいて、気候変動枠組条約の2013年以降の次期枠組みに関し、「条約の下での長期協力行動のための第3回特別作業部会(AWGLCA3)」と「京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する第6回特別作業部会前半会合(AWGKP6-1)」という2つの会合が開催されました。 気候変動枠組み条約のトップページではRoad to Copenhagen 2009の見出しの記事が掲載されていますが、来年のCOP15コペンハーゲン会合まで合意をするように開始されている京都議定書後の中長期戦略についての重要な会議です。 新聞の報道でも、森林吸収源の取り扱いのルール作りが、大きなテーマの一つとなったとされています。(日経ネット) 林野庁からも島田次長始め大型の代表団が参加してきました。林野庁の発表資料に基づいて、紹介します。 現在日本は90年の排出量に対して、排出削減の約束の内3.8%を森林吸収量でカバーする約束をしています。第二約束期間に各国の森林吸収源の機能を排出削減との関係でどのようにカウントするか、今年5月に行われた前回会合(AWGKP5-2)で各国から提案された様々な算定手法のオプションについて、AWGKP6-1において比較検討が行われました。 日本代表団は、現行ルールとの継続性や持続可能な森林経営による長期的な吸収源対策の促進の観点から、現行の京都議定書で採用されているルールと同様、適切に管理されている森林における約束期間の吸収量を算入するグロス・ネット方式が適切であると主張しました。(条約の関連ページから日本政府林野庁赤堀課長補佐のプレゼン資料) 一方、他の国からは、基準年の吸収量との差のみを算入するネット・ネット方式や、森林火災や病虫害等の自然攪乱による森林からの排出を算定から除外する方法としてのベースライン方式などの提案がありました。(ベースラインを主張するカナダのプレゼン資料) 次回12月の第6回AWGKP再開会合(AWGKP6-2)で引き続き議論することとなりますが、先進国の森林の二酸化炭素の固定量が長期的には減少していくことが想定される中で、どのように、持続可能な森林への努力へのインセンティブがこの条約の中で維持出来るのかが議論のポイントです。 ちょっと耳慣れない、グロスネット・ネットネット・ベースラインの解説用ポンチ絵を作成してみました。(こちらからどうぞ) (途上国における森林減少に由来する排出の削減(REDD)) 京都議定書とは別に、さらに大きな長期的な枠組みを検討するAWGLCA3では、この会合の重要なテーマであある「途上国における森林減少に由来する排出の削減(REDD)」について「REDDのための政策アプローチと積極的インセンティブ」について、検討を促進するためのワークショップが実施されました。 ワークショップでは、6月に東京で行われたREDD方法論ワークショップの成果が報告され(SBSTA議長報告)、また、12カ国からプレゼンテーションが行われました。 日本からは、REDDによる排出削減から得られた利益を、持続可能な森林経営を推進する観点から、関係者間で適切かつ透明に配分することが必要であるとの意見を表明しました。 REDDに関連する各国各機関の提出文書は以下の通りです 各国の意見及び議論の内容は、議長により集約され、今後の検討課題としては、(1)どのように政策アプローチのデザインを進めていくかについての議論、(2)政策アプローチとしての非市場型資金源と市場メカニズムをいかに用いるかについての検討、(3)永続性・追加性・排出移転に関する異なる対処オプションの評価が必要であるとされました。この結果は、AWGLCA3全体会合に報告されました。 この内容を踏まえて、次回会合(12月ポーランド)でのAWGLCA4において、2009年12月の第15回締約国会議に向けた年間活動計画及び更なる議論のプロセスが検討される見込みです。 kokusai2-26<accra0808> |
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