ポスト京都議定書における「伐採木材製品の取り扱い」について(2008/12/14)


11月26日「環境・経済・社会的に持続可能な木材利用の推進を目指してポスト京都議定書における「伐採木材製品の取り扱い」について」と題するシンポジウムが開催され、同名の提言書が公表されました。(木材学会のページこちらから

京都議定書第一約束期間では、森林が吸収した二酸化炭素について、木材が森林から伐出されると同時に排出と見なす計測方法が採用されているので、これでは、木材製品中の炭素貯蔵による地球温暖化防止効果が評価ない、という問題意識で新しい計測方法の採用を訴えるものです。

提言書

環境・経済・社会的に持続可能な木材利用の推進を目指して
ポスト京都議定書における「伐採木材製品の取り扱い」について

私たちは、気候変動枠組み条約における「伐採木材製品の取り扱い」に関する議論の進展に関心を持ち、円卓会議を開催してきました。その審議を踏まえ、座長の責任において、以下のように取りまとめました。
京都議定書第一約束期間(2008 年〜2012 年)では、森林によって吸収された二酸化炭素は木材伐出と同時に排出されると見なすデフォルト法が採用されており、ここでは、伐採木材製品における炭素貯蔵効果が評価されていません。
大気中の二酸化炭素を減らすためには、健全な森林資源の蓄積を世界的に増やし、伐採された木材の長期使用や材料リサイクルの拡大によって、木造建築物、木質建材、紙など木材関連製品中の炭素蓄積量を増やすことが必要です。
また、省エネルギー的な木材製品への代替、木質バイオマスエネルギー利用の適切な推進によって、化石燃料の消費を減らすことも有効です。
持続的林業からの木材はカーボンニュートラルであり非枯渇性資源です。しかし、森林資源は偏在しています。木材資源の循環を地球規模で大きくするためには、森林資源国における林業の経済的地位を高めることによって森林に資金を還流させることや、木材消費国における伐採木材製品の炭素貯蔵を評価することで、温暖化防止への意欲を持たせることが必要です。
そのため、次期約束期間(2013 年〜)の伐採木材製品評価手法として、地球益を優先しつつ、持続的林業ならびに木材資源の自立、循環利用を推進する立場から、現行の勘定方法は見直されるべきであると考えます。参加団体の多くは、環境、経済、社会的に持続可能な木材利用推進を図る上で、蓄積変化法を評価すべきという主張に理解を示しました。さらに、途上国において森林が過度に
伐採されることを避けるため、輸出国における適正な森林管理が担保される仕組みが必要であることについても理解を示しました。
これらの内容を国民の皆様にお知らせするとともに、気候変動枠組条約締約国会議の特別作業部会AWG-KPおよび次期枠組み交渉担当者である政府機関に配慮いただくよう提言いたします。

平成 20 年11 月26 日

「伐採木材製品の取り扱い」に関する円卓会議
座長 服部順昭

《伐採木材の取り扱いに関する円卓会議》
参加団体
社団法人土木学会 伐採木材の取り扱いに関する検討会
社団法人日本建築学会 地球環境本委員会
日本森林学会
日本木材学会
林業経済学会
社団法人全国木材組合連合会
日本合板工業組合連合会
日本繊維板工業会
日本製紙連合会
国際環境NGO FoE Japan

本サイト関連ページ
気候変動枠組み条約の中の伐採木材の取り扱い(寄稿小論) (2004/12/12)
二酸化炭素吸収源としての伐採木材製品(2004/9/12)

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