バリ島でのG20サミットの中の森林問題(2022/12/15)


11月14-5日インドネシアのバリ島でG20首脳会議が開催されました。

G20の首脳は、「我々の世代における最も深刻な金融危機に直面する中、初めて会合を行い」それ以来G20を国際経済協力に関するプレミア・フォーラムと位置付けて毎年会合を重ねています。

ロシアが出席するサミットで、ウクライナ問題がどうなるんだ、と関心がひろがっていました。G20サミット、ロシアのウクライナ戦争非難へ=米政府高官

が、グローバルな先進国、有力途上国のあつまるコンセンサス形成のばで、地球環境や森林問題がどうなっているか、首脳宣言をチェックしてみました。

G20バリ首脳宣言(日本語仮訳(PDF)/英文(PDF)

首脳宣言は20ページ52節にわたる長文です。その中で、11−18の8節が環境問題です。その中で森林という言葉が入っているのは以下の2節の2か所。

14.我々は、ポスト2020生物多様性枠組(GBF)の実現に向けたこれまでの進展を歓迎する。 我々は、2030年までに生物多様性の喪失を防ぎ回復させるための行動と説明責任の強力な枠 組として、第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)第2部における「自然との共生」 6 という2050年ビジョンの実現の観点から、GBFを妥結させ、採択することを全ての締約国 及び国に求めるとともに、適当な場合には、生物多様性国家戦略及び行動計画 をそれに合わせ て更新することを求める。
・・・
我々 は、自主的に2040年までに土地の劣化 を50%削減するというG20の野心を支え、2030年までに土地の劣化の中立性を達成するため、生物多様性の喪失 、森林減少 、砂漠化、土 地劣化及び干ばつと闘い、劣化した土地を回復する取組を拡大する。我々は、2030年までに 少なくとも世界の陸地の30%及び海洋の30%を保全又は保護することを確保するために多 くの国々が行っている取組を認識し、各国の状況に応じて、この目的に向けて前進することを支 援する。
 

 15.我々は、自然を活用した解決策及び生態系に活用したアプローチを通じたものを含め、生物多様 性の喪失を防ぎ回復させ、気候変動の緩和及び適応を支援し、環境の保全及び保護、持続可能な 利用及び回復、並びに自然災害への対応を強化し、生態系の劣化を軽減し、生態系サービスを強 化し、また、海洋及び沿岸環境に影響を及ぼす問題に対処するための取組を強化する。
・・・
我々はまた、森林、海草、サンゴ礁、泥炭地やマングローブを含むあらゆる多様性を持つ湿 地生態系を含む生態系が気候変動の緩和と適応の取組を支えていることを認識する。

節番号の次の文章が節のテーマで、そのあとの文章が森林ということがば入っている文章です。

(生物多様性の視点での森林役割)

14のテーマは生物多様性条約。これに関連した30年までのネイチャーポジティブなどの方向性を踏まえて森林減少と戦う
ネイチャーポジティブとは?−森林投資と生物多様性問題(2022/10/1)

15のテーマは自然を活用した解決策NbS。関連して森林・・を含む生態系が気候変動の緩和と適応の取組を支えていることを認識する。
自然に基づく解決策NbSの拡がりと森林の役割(2020/11/15)

(ちょっと心配なのは)

以上ですが、ちょっと心配なのは、気候変動枠組み条約がテーマの16−18の節の中に森林という記述がないことです。

IPCCの最新報告書の中でも、30年までの緊急な温暖化対策の選択肢の中に(途上国の)森林の重要性が強調されているなかで、しっかりG20サミットの指導者の中に、気候危機の対応としての森林問題をしっかりインプットしていく必要があるんでないかと思いました。

kokusai0-11<G20bali2022>

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