気候変動緩和策進捗計測指標(C=PPI)を利用したG20メンバー国の対策評価(2018/10/21) |
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9月に開催された環境経済・政策学会2018大会コレクションで紹介した、「気候変動緩和策進捗計測指標(C=PPI)を利用したG20メンバー国の対策評価」について、報告者の国立環境研究所亀山康子氏から、関連情報をいただいたので、分かる範囲で内容を紹介します。
この報告は、国立環境研究所が中心となって実施している、環境研究総合推進費 2-1501 「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」 Climate change mitigation Policy Progression Indicator (C-PPI) というプロジェクトの最新情報に基づく報告です。
パリ協定では、2020年以降の目標(NDC)設定が国の判断に任されることとなったので、各国が作成した目標を評価する手法を創ろうという趣旨で、気候変動緩和策の進捗を評価する 指標(C-PPI)を策定中。
(C=PPIの中の森林に関する指標)
C-PPIは、下表の通り排出量にもとづく4つのアウトカム指標、排出削減に関する導入された政策をあらわす37のアクション指標からなっています。
森林に関する指標は、アウトカム指標は森林面積の対前年度変化率
(評価結果の現時点での内容)
今回の報告は、これらの指標に基づいてG20メンバー国が現在公表しているデータで(特にアクション指標について)試運転をしてみた結果というものです。
20カ国のデータをもとに、計測した結果は国立環境研究所が5月に発表した「「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」Climate change mitigation Policy Progression
Indicator (C-PPI)
なお、昨年まで米国、 ドイツ、英国、中国、日本の5カ国に関する計測の結果が環境研究総合推進費 2-1501「気候変動対策の進捗評価を目的とした指標開発に関する研究」 ver.3に掲載されてますので、森林の指標がどんな状況になっているのか、概要紹介。
まず、アウトカム指標
森林被覆率は国ごとに大きく異なるが、変化率なら努力が評価できるのでないか、というアイディアです。
ただ、日本でも森林の面積データは5年に一回林野庁が公表している(森林資源の現況)という状態なので、中国のデータでもわかるようになかなか、難しい面があります。
Soiciety5.0の中の森林・林業(2018/10/21)に示されるように衛星からの大量のデータが処理できるようにると、森林面積の国ごとの変化率などが、比較的簡単に分かるようになるので、その辺の技術開発と温暖化進展のスピード競争のようになっています。
気候変動の政策全体の評価をするチームが、ウェブ上で公開されている森林行政のデータを集めて、気候変動の側面から、適切な対処ができているのか、という評価をおこなった結果です。
「何で、日本の違法伐採対策がNなのか」といったことを、少し議論をしてみましたが、他の分野も含めてそれぞれの分野の専門家の関与が十分でないので、少し不正確かも、という面もあるようです。
ただ、この手の評価システムができることは、パリ条約を進めていく上でも不可欠なことなので、来年6月に大阪で行われるG20サミットにむけて、日本が始めたこのプロジェクトが世界中の注目を集める可能性もあります。
森林政策や実態の掌握技術が外部から評価をされるケースの一つとしてフォローしていく必要があるように思います。
kokusai2-62(C-PPI)
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