日本の森林の新たなガバナンスにむけてー林政審で次期森林・林業基本計画の議論が始まる(2020/11/15) | |
10月12日林政審議会があり、5年に一回の森林林業基本計画の議論がいよいよ始まりました。(私も傍聴しました(別室でオンラインによる見学)(長時間なので一部だけでしたが)) 来年の春5月まで数回の会合を開いて検討を進めて答申をする予定(資料1進め方)なのだそうです。 特に、資料2森林・林業・木材産業をめぐる情勢について(PDF : 1,954KB) このページでは、7月にネット上で提出した、小サイトの意見(市民と森林との関わり(など)ー「新たな森林・林業基本計画に関する意見」提出(2020/7/24))などが、どうなっていきそうなのか、上記資料に基づいて見ていきます。 (勉強部屋の意見) 市民と森林との関わり(など)ー「新たな森林・林業基本計画に関する意見」提出(2020/7/24)では、①グローバルな視野から国内政策を国際的な持続可能な森林への取組との関係―ニューヨーク宣言、②森林減少をゼロに貢献する商品―様々な商品の商品選択と森林管理 ③皆伐跡地の森林の方向性―育成単層林の在り方、④市民参加による森林のガバナンスーサプライチェーン管理、 ⑤グリーンインフラを計画の中に位置づける、⑥顔の見える木材での家造りーガバナンス論からの議論との関係性、の6点の意見を提出しました(資料4-3の159番に掲載されています70代、東京都 団体職員) 順番に検討してきます。 (グローバルな視野から国内政策を国際的な持続可能な森林への取組との関係―ニューヨーク宣言) 林野庁の情勢認識の資料の中で、国際問題は「進む地球温暖化と森林」4ページ。 「•CO2等の増加による地球温暖化が進む中、2020年以降の国際的な枠組みであるパリ協定に基づき、我が国としては、2030年度の温室効果ガス削減目標26%のうち、2.0%を森林吸収量で確保する目標。 という記載があります。 京都議定書では、日本の削減目標の3.8%(2005年度比)を実現するために森林の吸収量が2.6%(同)だったのが、パリ協定では日本の削減目標26%(2013年度比)に向けて森林吸収量は2.0%(同)。必要な間伐量も少なくなる、と、地球温暖化対策の中での森林吸収量の陰がうすくなっています。木材の固定量などの話は書いてありません。 ただ、日本の森林政策のグローバルな位置づけは温暖化条約だけでなく、SDGsとか、ニューヨーク宣言とか、海外に誓約していてその実現を図る必要がある事項について、確り記述する必要があります。 現計画ではSDGsへの記述は、国際協力というセッションですが、国内政策の中に記載するようにしてほしいですね。 (森林減少をゼロに貢献する商品―様々な商品の商品選択と森林管理) 「民間セクターが森林に優しい商品調達を推進、といった関連で日本の消費者の商品の嗜好をグローバルな森林政策に位置づけたらどうでしょう。パームオイル、牛肉、大豆など森林減少をゼロに貢献する商品が開発されています。森林政策を、木材やバイオマスだけでなく幅広く商品に関するツールとして拡大して下さい。」という意見ですが、林野庁の現状認識の資料には関連する記述がありません。 ゼロデフォレステーション商品は、市民と森林をつなぐ大切なツールで関心が広がっています。行政・市民・企業の役割-シンポジウムグローバル森林新時代(右→) 是非議論が進んでほしいですね。 この大切なテーマは、林野庁の現状認識資料に、確り掲載されています。 主伐面積に対して人工造林に対してに面積は3割ほど、 「造林未済地」(伐採跡地のうち、人工造林を計画し2年以内に更新が完了しないもの、天然更新を計画し5年以内に更新が完了しないもの、計画なしに伐採が行われ更新が完了しないもの)が拡大 といった、森林管理をする行政にとってはあまり出したくないデータが、「林野庁の業務資料」(「いままで公開されていいなかった」という意味)として記載されています。 林野庁の行政のどこに問題があったのか、もふくめて真摯な議論を期待します。優良な経営組織の在り方、市民との連携などが一つのポイントだと思います。 「皆伐跡地の管理など計画の実施に管理をする上で、行政だけでなくサプライチェーンの側からの管理する体制を整備するのが一つの効果的な手段です。現在、林野庁の合法性持続可能性のガイドランによる業界団体認定事業者によるサプライチェーン管理がグリーン購入の前提になっていますが、あらゆる調達の最低限の条件にして、出発点の伐採届けなどの確認体制を整備する必要があります。また、FSCやSGECなどのサプライチェーン管理も取り入れるべきです。また、流通加工を集中して大規模化するという方向になると思いますが、そのような助成を進める場合、原料の調達条件に再生可能性を条件としたらどうでしょう。」という意見を述べました。 林野庁の資料には掲載がありません。 多分、前の再造林の大きな議論がされる中で、この話が浮上することを期待します。 林野庁資料の3ページ「森林管理に対する要請の高まり」には以下のような説明があります。 「• 森林は、国土保全や水源かん養、地球温暖化防止、木材生産などの多面的機能を有し、国民生活に不可欠な社会資本。 • 近年、集中豪雨等による山地災害・森林被害が頻発して社会経済に大きな影響。気候変動により大雨の発生頻度が更に増加するおそれ。 大切な課題ですね。 具体的にどのようなアプローチなのか? 国土交通省は、多発する災害やインフラ維持改修費の増額という観点から、いままでのグレイインフラから「自然の持つ多機能性やしなやかな回復能力などの特性を賢く活用する」グリーンインフラにシフトしようとしています。 林野庁が管理してきた保安林はグリーンインフラの重要な内容です。 都市住民の災害防止の中に流域の保安林整備などが重要な位置づけになっていることを明確にして、国交省のグリーンインフラ推進と協調して進めていく、グリーンインフラ整備の内容を基本計画に位置づけるなど検討したらどうでしょうか? 省庁間の壁を越えた取組。新しい首相が好きそう。 (顔の見える木材での家造りーガバナンス論からの議論との関係性) 木材の利用拡大について、林野庁資料は2ページを割いています。 ーーーー 9ページ「国産材製品の生産と利用の拡大」 • 製材・合板工場等の工場は総数が減少する一方で、大規模化・高効率化が進み、企業単位での供給体制の強化が進展。 もう一つ10ページ「都市等における木材利用の推進」 • 人口減少社会を迎え、新設住宅分野において木材需要の大幅な増加が見込まれない中、都市部の建築物等における木材利用の流れを確実にするために必要な木質耐火部材等の技術の開発・普及等を進めていく必要。 • さらに、リフォーム需要の取り込みや高付加価値な製品輸出の拡大など、新たな分野における需要の創出が課題。 ーーー以上 現計画の、地域材に高付加価値化というセッションの中に、「顔の見える木材での家づくり」などによる消費者のニーズに対応した木材利用を促進するという項目が入っています。
そのことは、今回の林野庁資料がは入っていません。大切な課題だとは考えていないのかな? 近くの山の木を利用することは、地域の活性化、木材利用の拡大という意味だけでなく、地域の山の次の世代がどうなるか、という消費者の山づくりに関する関心、ガバナンスの強化という意味でも大切です。是非次期計画の中でも充実させて下さい。 以上です その他に、森林林業機穂計画の議論の中で、木材利用拡大の施策がたくさん書いてあるが、折角記載することになっている利用量の目標数値に関して、需要量が増えていないなど、大切な論点がありそうなので、又にします。 kokunai1-18 <rinseisin_kihonkeikaku2021>
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