南会津地域の縦ログと森林認証の広がり(2016/12/24) | ||||||||
11月半ば紅葉最前線通過中の南会津に行く機会がありました。南会津町針生の縦ログ構法の建物が木の建築賞にノミネートされ、審査員の立場で参加することとなったものです。 ((縦ログ構法はしっぱの家)) 縦ログ構法は、丸太(ログ)を横に寝かせて積み上げるログハウス(丸太組工法)と異なり、ログ(丸太でなく柱ですが)を縦に並べてパネル化し壁を作る木造軸組工法です。 (CLTの期待と問題点) 高層建築を木造で進めるCLT直交集成版が住宅を超えた中高層建築物と木材の新たな関係を開くものとして注目されています。 CLTは、木材が「構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの」木材の複合的な効果も期待でき「木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌触りを感じる心地のいい空間ができ」、「木材は持続可能な循環型資源であり、森林資源を有効活用した省CO2型」素材(以上CLT協会Webページ)などが訴求されています。
ただし、各地の地域材利用するシステムとしては、効率的なシステムとするには加工過程の大規模拠点化が不可欠で、地域材によるCLTの普及には、(流通加工過程の抜本的な変革などによる輸入材との競争力の課題など)なかなか難しい問題があるようです。(国産CLTの「本音」など) (CLTの課題を回避する縦ログ構法) そこで縦ログ構法ですが、循環型素材である木材の各種の機能的・構造的性能を建築物に満度に引き継ぐというCLTの発想を受け継ぎながら、地元の事業者とローカルな柱どりの伝統的技術でサプライチェーンを完結させる(地域外の加工拠点に遠路運んで戻ってくる必要がない)可能性をもっているのがこの工法のポイント(もっと他にもありますが)です。 今回見学した建物は、南会津町針生ホシッパの家、NPO法人南会津はりゅう里の会が運営地域活性化の活動の拠点・地域交流室です。 準耐火構造の大臣認定をうけることもあり24センチ角のログをつかって建築。現在15センチ角の大臣認定取得のための手続き中です。 これで本格的な普及の準備が整うのでしょうか。 会津発の新しい山と町のコラボレーションツール。地域の活性化のシンボルになるといいですね。 楽しみです。 ((南会津森林認証材)) 福島県産森林認証材のすすめでご紹介したように、福島県では森林認証材の普及運動が進んでいますが、その拠点の一つが南会津です。 特定非営利活動法人みなみあいづ森林ネットワークの11の会員が今年の3月SGECの認定を取りました ネットワークが作成した、南会津の森林活用へ、森林認証のすすめ、というパンフレットをいただいたので、こちらに置いておきます。 2000年より前は、全国で一番の広葉樹の生産量をほこるで広葉樹のまちで、数十社の広葉樹林産業関係者がいましたが、2003年ごろ環境保護団体との軋轢で国有林の広葉樹が伐採禁止になり、事業者が13社に激減という、歴史があったそうです。 そのなかから、「流通の停滞した森林資源を「森林認証」によって社会的な価値を付加し、市場で流通できないか」取り組んできた「森林認証取得までの道のり」が記載されてされていますので以下に紹介します。
上記の二つのプロジェクトが連携し、最近素材をすべて森林認証材とした縦ログの建物が建ったそうです(びわのかげ投球練習場)↓ ((横の展開ができるか)) 地方創生が課題となっていますが、政府のまちひとしごと創生本部の「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」から地域の課題解決を目指す地域運営組織−その量的拡大と質的向上に向けて−最終報が12月中旬に公表されました。 全国的なプラットフォームや、取組効果の「見える化」、優良事例の横展開ということが重要な指摘となています。 南会津町で、やまとまちの連携を一段ステップアップさせる、持続可能な循環型木材を消費者に届ける大切なツールが二つ開発されました。この二つが連携して強力な情報発信力を身に着けていけば、日本中に横展開の軸になるでしょう。 発展を期待します。 kokunai9-3(minamiaizu) |
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