サステイナブルな「森の国・木の街」の実現を目指してー林野庁長官の言説と持続可能な森林ガバナンス(2026/1/27)

1月21日、会員になっている木材利用システム研究会の月例研究会で、林野庁長官のレクチャーを聞く機会がありました。

演題は:サステイナブルな「森の国・木の街」の実現を目指して

森林・林業基本計画を作り直す今年の冒頭に、森林行政の責任者から、持続可能な循環林業を構築するためにーという講演を聞く機会!!!

プレゼンデータ(公開可能なデータのみに一部変更)を頂いたので、どうぞご覧ください→サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指してプレゼンデータ

このページでは全部をできるだけ紹介しようと、下の目次のように少し長い説明ページになっています。

是非、時間をかかけて見ていただきたいですが、時間のない方は目次のの部分を是非ご覧ください。

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目次は以下の通りです

 プレゼン資料の紹介
  Tイントロ1:現状と課題
Uイントロ2:世界の潮流
V森林・木材の持続的循環利用に向けて〜持続的循環林業を構築するためには〜
(1)再造林のルールの明確化・徹底
(2)将来にわたって誰が経営するのか
(3)儲かる林業をつくる
(4)国産材の安定供給
(5)川上と川下を繋ぐサプライチェーン
(6)木の街を目指して
 勉強部屋のコメント

((イントロ1 日本の森林・木材関連行政の現状と課題)

(世界に誇れる我が国の人工林資源)

プレゼン最初の一枚が標記タイトルの右の図です

国土の森林率y「66%は、OECD加盟国(先進国)でフィンランド・スウェーデンについて第三位

人工林の蓄積は、世界中で中国・米国・ロシアについで第4位(右上)

森林蓄積は55年の約六倍、毎年6千万m3増加中(左下)

人工林の林齢面積は50年を超える人工林ガン現在6割で、そのまま行けば10年後には8割に(右下)

【ということで、日本の森林ガバナンスがうまくいけば世界中の森林ガバナンスの手本になります!!】(「とは書いてありません」勉強部屋コメント(以下【】かっこガキの部分は同じです。長官の言説ではありません

(大幅に低迷する山元での木材価格)

日本の森林ガバナンスの課題を示す左の図です

1980年と2024年の木材の価格を比べると・・

スギの山元立木価格は18%、丸太価格は40%、製材価格は117%

市場が規定する川下の価格は少し増えているけど、【川上の森林関係者がさぼっていたので】原料価格は大幅な減少。

【森林関係者は補助金をもらうことに知恵を絞り、業務の効率化に知恵を絞らなかったツケがまわっているので】、今後の課題です

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(他産業に劣る林業の労働環境)

林業には、若年労働者が少ない

緑の雇用制度で、すこし新規就労者は増えたけども(右図左上)

給与が安い(右上)、労働災害も多い(右下)

【後述するように、労働災害の話は、川下のサプライチェーンへの訴求で、持続可能な森林管理の指標となっています

ここに記載されていることは大切な林野庁の課題認識ですね】

(人口減少と住宅着工)

現状と課題の最後のページが左の図、

日本の人口はどんどん下がり(左図左)、新築宅着工戸数は少しさがっていく(左図右)

【イントロTの最後にこの図があることは、「木材利用の拡大に取組むことの大切が次世代に森林ガナンスにとって、重要」という認識の表明ですね。】

((イントロU 世界の潮流))

【森林政策の課題を林野庁長官が語るイントロに「世界の潮流」として、気候変動・生物多様性の動きが記載されているのは素晴らしいですね】

「伐って、使って、植えて、育てる」循環のCO2吸収・固定・削減効果

左の図、【少し難しいですが・・・、】

「森林資源の循環利用のサイクルが持続的に行われることにより、1)森林生態系における炭素蓄積に加え、2)伐採された木材製品を利用することによる炭素固定、3)石油由来製品やエネルギー消費型建築資材の代替資材、4)バイオマスエネルギー利用による化石燃料代替等の効果が発揮され、総体としての炭素の吸収・貯蔵量は増加し続ける一方、主伐後の再造林が行われなければ、炭素蓄積の増加を生み出す循環が途切れる」といった、、林野庁が時々使う図面です

その続きが右の図で、前図のアンダーライン部分の説明が右の図の左

地球温暖化対策計画(2025)の中にも、しっかり吸収量がカウンドされています。(右の図右)

以上温暖化防止条約関係ですが、もう一つの生物多様性条約についても、(生物多様性保全にかかる取組と動き)という情報が、

左の図です

あまり新しいことは記載されてませんが、

以下のような説明が記載されています

・ネイチャーポジティブと「30 by 30」目標

1)2022年12月に「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択。2030年ミッションに向けた23のグローバルターゲットを設定。
2)ターゲット3において、2030年までに、陸と海のそれぞれ少なくとも30%を保全する「30 by 30」目標を位置付け。
3)この目標達成に向け、令和7年4月に、民間等の生物多様性保全活動(自然共生サイト)をさらに推進する地域生物多様性増進法が施行されました

そして、これらの情報が森林ガバナンスにどよような影響がありそうか?という点で右の図が提示されました

タイトルは:.気候変動、生物多様性保全に向けた様々な取組

以下のような説明が記載されています

・国際的に気候変動、生物多様性についての企業活動に関連する情報開示等を求める動きが拡大。
・森林整備によるCO2吸収、木材利用による炭素貯蔵や省CO2 、化石資源由来の製品の代替を推進することで、持続可能な社会の実現へ貢献することが期待。

ということで、企業の環境情報開示の動きが、森林・林業基本計画作成の重要な基盤となりますよ

イントロの終わりは左の図です

現行基本計画の内容ですが、森林・林業基本計画のアウトプットのサンプルです

山の上のほうの人里から離れた森林は、天然林に・・・現在55%なのを47%」に

いろいろなところにある育成単層林は里山近くに限定して、現在41%なのを26%に

そしてその中間を育成複層林として4%を27%にすることにしてます(現行計画)

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以上がイントロとしての説明でした

さていよいよ、本体のV森林・木材の持続的循環利用に向けて〜持続的循環林業を構築するためには〜

(持続可能な林業を構築するためには)

各論に入る前に「持続可能な林業を構築するためには」という一枚の図があります

右上の伐採するところから、使う、植える、育てる、収穫する、と輪和が回りているのはよくある図ですが・・・

右上に
サプライチェーンを創る
付加価値の向上を図る
需要を作る・・・
と課題が並んでいます

【そのすべてを紹介していきますが、特に、しっかりした森林管理が需要者との連携で進められる!!という議論を中心に説明していきます

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(1)再造林のルールの明確化・徹底

左は重要なポイントの説明図

そのうちの左は、伐採面積(青の列)と植林面積(黒の列)にの比較

伐採面積のうち植林されているのは半分以下

伐採跡地に全部植えるのでない計画になっています。

前述したように、現行基本計画では、1050万haの育成単層林が次世代には660万haとなっているので、いまのままでそんな問題はないのでない?・・・でもそれは大間違え

つまり、右側に記載されているように・・・

条件が良い森林に伐採が集中しています

谷沿いの道路に近い、木材生産にとって条件が良い森林において、伐採が集中して行われているので、⇒これらの伐採跡地は資源の循環利用を図るべき条件の良い森林であり、伐採後の再造林を確実に行う必要があります

【それが半分しか植林されていない!?大問題です】

それでどうするかが、次の図です

「効率的施業森林区域」というのを設定(左上の赤っぽい部分)、そのために右上にあるように森林計画制度を変更します

そして、・伐採や集材の方法を記載した伐採計画書等を事前に市町村に届出
・伐採と造林のそれぞれについて作業後は市町村に状況報告書を提出して

効率的区域においては植栽による更新を指導
⇒伐採情報のリモセン技術による自動把握など事務の効率化を検討

という形にするんですね

そして、最後の行に記載したるように

⇒クリーンウッド法等により、情報を川中・川下に伝達

ということで、クリーンウッド法にもとづいた木材は、伐採跡地の再造林ができている、持続可能な木材です!

すごいですね、楽しみです。次のは・・こちら

(2)将来にわたって誰が経営するのか

現状では小規模所有者が多く、誰かに委託したいという人が3分の2

だから、関係者があつまって、林業事業体か一括してまとめて管理するような集約化構想を作成します。

左の図


(3)儲かる林業をつくる

他の先進国より日本はコストが(すごく)高い。スマート技術などを利用して儲かる林業を創ります(サンプル右の図)

企業の協力をえて儲かる林業など、いろんな事例が示されていますがlここでは省略します。

興味のある方は、プレゼン資料P24からP34まで見てください

(4)国産材の安定供給

自給率50%を支える、大規模工場など。

製材・合板工場の大規模化・効率化による生産性向上や、非住宅向け部材の供給強化等の取組に加えて、工場間の水平連携により供給力を供給する取組も進展しているので、そのさぽーとが大切です

(左の図 )

(5)川上と川下を繋ぐサプライチェーン

輸入材価格に左右されない国産材の合理的な価格形成に向けて、持続的な森林経営管理に基づく国産材が求められています

川上と川下のコスト構造の共有やクリーンウッド法等に基づく情報伝達が必要です(右の図)

(6)木の街を目指して

最後に全体のタイトルに関係した重要なセクション:「木の街を目指いして」です

左の図にあるように、木造と、RC造やS造を比較した場合、平屋建てドラッグストア、2階建て小学校、3階建て集合住宅、どの場合も、木造の方が安い結果が出ています(左の図

木造建築は、木造4階建て(もくよん)でも広がっています

右の図

そし、ウッドチェンジ協議会など官民挙げたネットワークが情報提供しています

木造ビルが増えてきて(左の図)

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民間事業者の木材利用事例も増えてきました(左の図)

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民間企業は、自社の環境貢献の情報開示に、木造施設を建設を取り上げる事例が増えています

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大林組の研修施設(右図)

ライフサイクルアセスメントによって、鉄筋コンクリートで建てた場合と木造にした場合の炭素排出量の削減(左図左)と、

炭素の貯蔵量(左図右)

算出してネット上に表示

そして、SHK制度(右の図)

地球温暖化対策推進法に基づき、温室効果ガス(GHG)を一定量以上排出する者にGHG排出量の算定と国への報告を義務付けし、国は報告されたデータを集計し、公表する制度する、SHK制度(温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度)。

その制度改正が予定されており、?木材を使った建築物等を新築等により自ら所有する企業や自治体が、自社のGHG排出量から、木材利用による炭素貯蔵量を差し引いて報告することができるよう規定を改正予定。(R8.4施行予定)

それで、林野庁としても支援しますから頑張りましょう(右の図)

?SHK制度において、木材利用による炭素貯蔵効果を位置付ける方向性が取りまとめられたところ。

?森林資源を循環利用し、全国で街の木造化を進める「森の国・木の街」づくりに向けて、多くの自治体や企業等に「『森の国・木の街』づくり宣言」への参画を呼びかけ、木材利用の機運を高めていきますので、みなさん頑張りましょう―

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以上が林野庁長官のプレゼン内容の、紹介です。

是非プレゼンファイルを直接ご覧ください→サステナブルな「森の国・木の街」の実現を目指してプレゼンデータ

((このチャンスに合法木材から持続可能な木材にステップアップできませんか?ー勉強部屋の意見と質問))

質疑の時間になったので手を挙げて質問してみました

Q:from藤原:
どうもありがとうございました
本日参加している木の利用者系の人に、林野庁が担当されている森林の施策との関係について持続可能な森林のサプライチェーンというコンセプトでつないでいただき、よくわかりました
お話の最後にご紹介された、大企業に報告が義務付けられているSHK制度に、木材の炭素固定量を取り込む話、興味深く勉強しています。
どんな木材でも良いわけでなく、国産材のCW法等に基づき合法性が確認された木材に限定とされています
そこで伺います、今山の課題は再造林問題も含めて「持続可能な森林から産出された木材」というコンセプトになっていると思います
大阪関西万博の巨大木造リングの木材調達基準も、五つの要件が記載されており
最初の一つが@合法性で、あと、A計画に基づいて管理された森林由来のもの。・・・、D伐採労働者がの安全管理が適切なことなどと、なっています
林野庁のCW法の担当者にお聞きすると、CW法は合法性だけの確認のコンセプトで持続可能性は「3年後の次の段階で検討」と言われます
本年は森林・林業基本計画改定の年で、素晴らしい長官がおいでになるタイミング
是非クリーンウッド法が持続可能性を担保するようなシステムへのステップアップしていただきたいと思います
いかがでしょうか?
 
A:from小坂長官

合法性のコンセプトの広がり問題ですが、再造林問題など、合法な木材でカバーできるような検討が必要ですので合法ならば持続可能な木材であると」いう形になるように、検討を進めます

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合法木材ならば持続可能な木材?

伐採跡地に再造林がされる、という重要なコンセプトについて、ガバンスのやり方を改善する、といった積極的なご意見でしたが、

もう一度万博の木材調達コードを見てみましょう

 @ 伐採に当たって、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令等に照らして手続きが適切になされたものであること
A 中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来するものであること要件要件への適合度が高いもの留意点
B 伐採に当たって、生態系が保全され、泥炭地や天然林を含む環境上重要な地域が適切に保全されており、また、森林の農地等への転換に由来するものでないこと
C 森林の利用に当たって、先住民族や地域住民の権利が尊重され、事前の十分な情報提供に基づく、自由意思による合意形成が図られていること
D 伐採に従事する労働者の労働安全・衛生対策が適切に取られていること

長官の話は、@とAなどを念頭においた考えでしょうが・・・?

上記の5つがカバーできるような、どこの国でも間違えなく、持続可能な森林の基準

是非それをクリアして、SHKなど、新たなアプローチが管理さるように、期待します

そして、世界で一番の森の国日本で、森林関係者が、木材の利用者や市民とともに、持続可能な木材を利用した、持続可能な森づくり木の街づくりをするような、素晴らしいシステムを、この際作り上げてくださいね。(でなく「作り上げてまいりましょう」)

kokunai1-29<kosakaprezen2601>

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