国産材の供給動向と我が国の「持続可能な森林経営」(2007/7/15) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
農林水産省が毎月の製材業者の素材(原料丸太)入荷量をサンプル調査した結果を公表しています(製材統計)が、今年に入ってから製材業界に対する国産材の入荷量対前年比10パーセント増という動きになっています。 製材用素材入荷量の推移
また、7月2日に林野庁は「主要木材の短期需給見通し(平成19年第3四半期及び平成19年第4四半期)」を公表しましたが、上記のことが今回の公表にも現れています。 この数値は、四半期ごとに林野庁が発表する恒例もので、国産材や輸入材の供給見通しが品目ごとにどよようになるのか、半年先までの見通しを公表しているものです。 短期的な需給動向がもしもはっきりわかればビジネスにとっては大変重要な情報ですが…、それはそれとして、今回の公表で国産材を巡る木材供給の構造的な変化がわかります。 下表は発表された四半期ごとの短期需給見通しを暦年にまとめて、対前年比をとったものです。注目点は国産材の動向です。この数値は製材業者に対する国産材丸太の入荷量をベースとしたもので、他の材種のほとんどは数値が前年と比べて減ないし横ばいなのに比べて、国産材の入荷量は前年比5パーセント以上の拡大が見通されています。 表 主要木材の短期需給見通し(概要)
木造住宅会社の国産材使用量が増加している(国産材の使用状況の変化調査「日刊木材」)などエンドユーザーの動きや、中国の木材需要増大などの国際的な木材需給環境の変化を背景に、国産材をめぐる風向きが変わってきたといわれています。このことが、各地で国産材製材工場が生産能力を上げるなど国産材の具体的な需要の拡大となってマクロな数字となって現れてきといえます。 日本政府は、長い間「国産材の利用推進」を政策に掲げてきましたが、利用圧力の拡大という急速な環境の変化の中で、伐採されたあとの森林の再生などが課題となっています。「持続可能な森林管理」という国際的な課題が、我が国の森林の現場にとっても切実な問題になっているといえるでしょう。 |
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