成長産業化は?次世代にむけたの山づくり・カーボンニュートラルに向けた木材利用などー森林林業基本計画改定案へのパブコメ提出(2021/5/15)

森林・林業基本計画(案)が4月末に公開われパブコメの募集がされました。

作成過程でもこのページでも関心をもってフォローしてきました。

市民と森林との関わり(など)ー「新たな森林・林業基本計画に関する意見」提出 (2020/7/24)
日本の森林の新たなガバナンスにむけてー林政審で次期森林・林業基本計画の議論が始まる (2020/11/15)
森林林業基本計画の改定作業ーカーボンニュートラルとの関係は (2021/4/11)

そこで、計画案を読んでみました。

成長産業化はどうなるんだ?次世代に向けた山づくりは?カーボンニュートラルとの関係は?
以下のような意見を提出しました。

 ★1 林業成長産業化、グリーン成長、新しい林業の関係は

産業政策として、前計画では、林業成長産業化が、基本的な対応方向を示す一つのキーワードでした。

(参考1)現計画
2 森林及び林業をめぐる情勢変化等を踏まえた対応方向
(1)資源の循環利用による林業の成長産業化

それに対して、今計画案は成長産業化という言葉は前計画の評価の文脈でしかありません。今計画では、「グリーン成長」ということばが出てきます。

(参考2)今回案5ページ
2 森林及び林業をめぐる情勢変化等を踏まえた対応方向
(1)森林・林業・木材産業によるグリーン成長

また、情勢変化を踏まえた対応方向(3)6ページに「新しい林業」という言葉が登場します。それらの関係がよく分かりません。

そこで、

☆意見1−1 成長産業化と新たな林業に関する説明を

成長産業化ということばが今計画からなくなっていますが、成長産業化がある程度達成されたからですか?成長産業化という言葉が不適切な面を包摂しているという理解なのですか?計画の中で説明が必要だと思います。また新たな林業との関係は説明して下さい。

☆意見1−2 グリーン成長は林業の役割の一部である(一部でしかない)ことを明確に

政府全体の中カーボンニュートラルにむけたグリーン成長戦略が重要な課題になっているで、その関係をしめすことは重要だと思います。が、政府が経産省が中心になって提起しているグリーン成長戦略は、主として温室効果ガスを出し続けてきた産業の方向転換をしめす政策であり、多面的な環境性能と向き合ってきた林業との関係では多面的な機能の中の1つの分野(地球環境保全機能)に関するものです。その辺も含めた整理を是非お願いします。

★2 次世代に向けた山づくりのリスクへの対応、再造林に関するガバナンス

今計画案では、国産材利用が進んだ後の山づくりのリスクについて、認識を示しています。

例えば、「立木販売収入から再造林費用を捻出できる状況にはなっておらず、近年の主伐面積に対する再造林面積の割合は約3割にとどまっている。また、伐採後に適切な更新がなされていない造林未済地は、平成29年度末で約1.1万haに増加した」(3ページなど)

最も重要なテーマだと思います。

その点で15ページの以下セッションの記述は重要な内容だと思います。
第3 森林及び林業に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 森林の有する多面的機能の発揮に関する施策
(1)適切な森林施業の確保
(3)再造林の推進

その内容に関して、以下の意見を述べます

☆意見2−1 線引きの重要性

現行の育成単層林を条件に応じて、次期も育成単層林にするのか、複層林にしていくのか、線引きをすべきとの考えですが、その通りだと思います。
そこで、線引きの基準や見通しについてしっかり対応すべきだと考えますが、具体的なガイドラインが示されるべきと思います。

今の計画の数値だと660万ヘクタールは育成単層林にすると読めますが、現場の実態を確り反映していますか?私の知る限りもう少し少ないのでないかと思います。
立木価格で再造林費をまかなえる地域を線引きすると読めますが(3ページなど)、それで660万ヘクタールをカバーするということでしょうか?
この辺があいまいだと、実施過程で、問題が出てくると思います
木材関係者などの参画によって具体的な取組をすすめるとありますが(15ページ1(1)ア)
エンドユーザに近い建築関係者視野に入れて下さい。建築関係者は森林のガバナンスに心配している方が多いです。

☆意見2−2 消費者と連携したガバナンスの確立

15ページ「イ適切な伐採と更新の確保」についても、川下の情報提供のシステムの関しても、是非建築関係者を入れて下さい。リスクだけでなく管理された大切な素材だと言うことを含めて、川下に訴求していくシステムを作っていただきたいと思います。

★3 カーボンニュートラルの実現への貢献

20ページの「製造時のエネルギー消費の比較的少ない木材利用、化石燃料の代替となる木質バイオマスのエネルギー利用、化石資源由来の製品の代替となる木質系新素材の開発・普及、加工流通などにおける低炭素化等を通じて、二酸化炭素の排出削減に貢献していく」は重要な指摘だと思います。

☆意見3−1 カーボンニュートラルと木材利用の関係

自社のカーボンニュートラルに取り組む企業のビルを木質化する場合、どのように排出量の削減に資するのか、示す必要があるとおもいます。カーボンオフセットを念頭においた木材利用拡大のクレジットの方法論など、検討方向としても是非記載していただきたい、と思います。
この点は、32ページ「(3)都市等における木材利用の促進」、34ページ「(7)消費者等の理解の醸成」の記述にも関係します。「消費者」というだけでなくビジネスの中での需要拡大を念頭においた表現を検討下さい。

☆意見3−2カーボンニュートラルと木質バイオマスのエネルギー利用

33ページの(5)木質バイオマスの利用に関連して、木質バイオマスのエネルギー利用は、カーボンニュートラルでないという議論が進んでいます(Letter Regarding Use of Forests for BioenergyーHundreds of scientists affirm that trees are more valuable alive than dead--both for climate and for biodiversity.)など。
その関係で、森林資源を保続を担保する観点での取組は大切になっています。
発電用FIT利用について由来を担保するシステム(林野庁:発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン)ができていますが、そのガイドラインの拡張や、熱利用についても由来を担保するシステムの導入が要なので、その点の指摘をお願いします。また、大量の木質バイオマス原料の輸入がされていますが、輸送中や製造過程の温室効果ガス排出などをガイドラインの基準にくわえることも念頭においた指摘をお願いしたいです。

★4 中小製材工場等による「地場競争力の強化」

6ページの「中小地場の製材工場等については、地域における多様な消費者ニーズをくみ取り」は大切な視点だと思います。多様な消費者の中に、建築関係者の動きが重要なので,是非記述して下さい

★5 ゼロデフォレステーション商品の普及

14ページ「(13)国際的な協調及び貢献」に関連して、ニューヨーク宣言にもある、民間セクターが森林に優しい商品調達を推進、といった関連で日本の消費者の商品の嗜好をグローバルな森林政策に位置づけたらどうでしょう。パームオイル、牛肉、大豆など森林減少をゼロに貢献する商品が開発されています。森林政策を、木材やバイオマスだけでなく幅広く商品に関するツールとして拡大して下さい。

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