昨年地震災害に見舞われた新潟地方は、本年になってから記録的な豪雪に見舞われています(80年間雪と森林の関係を研究している森林総研十日町試験地での積雪深は290センチ≪2月4日≫)。
1月中旬、新潟県上越市で地域材の認証や地域森林の利活用をめざす協同組合の活動をされている関原剛さんをたずねて、上越市に伺う機会がありました。
地域材認証の原型としての針葉樹認定協議会
林産物生産履歴に関する情報をつけて消費者に伝える認証制度は、我が国でもFSC、SGEC、県産材認証など様々な展開を見せていますが、上越市で始まったNPO植林針葉樹認定協議会の一番の特色は家具づくりを行っている協同組合ウッドワーク、それに製材業者なども含めた異業種のウッドストック協同組合など、川下主導で行われていることろです。
認証材に付加価値つけて市場に販売してゆく強力な仕組みがあれば、森林認証制度は成り立つという、私の「地域材認証」の考え方は関原さんたちのこの取組を念頭に置いています。
森林所有者が森林を認証することからはじまる他のプロセスでは、「認証して何になるのか」という問に答えなければなりませんが、川下主導でのことの取り組みでは需要者のリクエストに応えるという単純な答えになります。
上越地方では、植林針葉樹の出所は全て間伐材という現状なので、「植林針葉樹」の利用が森林管理の要請に直接応えてゆくことになるのです。
将来の課題としては、SGEC認証森林との連携、施業計画制度とのリンクなど森林の管理と結びつきを強めることが重要だと、話し合いをしました。
若者が取り組む山村の自立の可能性
今回の訪問で印象深かったのは、関原さんに紹介された、新潟県上越市西部の桑取川上流の山村で活動をしているNPOかみえちご山里ファン倶楽部の若者たちでした。
自然の景観文化地域の農林水産業を「守る深める創造する」という基本理念に、大学や大学院を卒業したばかりの若者が集まっています(常勤職員8名!!にビックリ)。
「全国どこにもある普通の山村」での自立の可能性がどんなところにあるのか?興味深いところです。(部外者だから「興味深い」とのんきなことが行っていられるのですが)
一つは政策提言するNPOと自治体との新しい関係です。現在のところ、上越市市民の森、地球環境学校という上越市からの二つの受託事業が活動の支えになっているようです。だだし、これも既存の運営に対しする提言が実って実現したものです。
地域住民と自治体との間をつなぐNPOの活動がカギを握っています。
もう一つのキーワードは、環境教育です。「自然との共生のヒントを与えてくれる里山の文化もとに地球環境を考える環境教育」。このスケールの大きな発想で、今あちこちで裾野が広がりつつある環境教育の中で存在感を持った施設に発展されることを期待したいです。
この学校を担当している三浦さんに、みちみち環境教育のバックグランドがわかるHPを紹介してもらいました。本人のコメントとともに掲載させていただきます。
以上の活動で興味深いのは、プロジェクトに関する報告書が充実していることです。
よく予算をとるためにどこかのコンサルタントがちょっと調べて報告書を書くというのはたくさんあるのですが、手作りの、よく調査されて報告書がプロジェクトを支えています。
報告書は入手次第ご紹介する予定です。
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