地元木材の普及運動と京都府産木材認証制度(2008/8/16)

8月5日、京都府産木材認証制度運営協議会年次総会、がありその際に「ウッドマイルズと地域材利用の今後の可能性」という演題で話をさせて頂く機会がありました。

○○都道府県産木材の認定をしている都道府県は、07年の段階で38に上っており(2008年全木連:ラベリング木材普及対策事業調査報告書)各都道府県が、地元の木材を都道府県の調達や住宅政策などを通じて普及していくためのツールとなっています。

京都府産木材認証制度もそのうちの一つである訳ですが、@民間運営、A第三者機関による認証、B環境指標「ウッドマイレージCO2」の三点で特徴であるとしています(京都府HP:京都府産木材認証制度)。

第一に、京都府産木材の取り扱い事業体、緑の工務店を認定して山から消費者までの取り扱いの連鎖を信頼性のあるものとすると共に、特に、「木材の生産や流通・加工に直接関係しない第三者である「京都府地球温暖化防止活動推進センター」を認証機関として指定し、制度の透明性や公平性を高める」というのは、大きな特徴となっています。

それとともに、京都府産木材の取組の重要な点はBの「環境に優しい府内産木材の選択を誘導するために、木材輸送に係る二酸化炭素の排出量を計算して示すことができる仕組み」を組み込んでいることです。

住宅工務店、公共土木業者の申請に基づき、流通過程で排出されたCO2量(および全国平均値との比較によるCO2排出量)をウッドマイレージCO2という環境指標をもとに算出し、証書として発行するものです。

昨年177件、2460立方メートルの京都府産木材についての計算書を発行し、あわせて235トンの二酸化炭素の削減効果があったとしています。(総会報告資料)

地元産木材の普及にとって、京都府産木材の画期的な意義を私は以下の図を使って説明しました。

ほとんどの県で地元産木材の認定が行われていると言うことは、縦割り行政を超えてオール県庁の体制ができて県産材利用推進が進んでいる、ということで、公共工事の土木資材の県産材利用、県産材を使った木造住宅への助成など多様な支援策が導入されているといことだと思いますが、ただし、公的な機関の主導から民間への波及へ広がっているかというと、疑問があります。

「県産材」というメッセージにはそのままでは限界がある、のではないかと思います。

地元産木材の利用推進が都道府県の施策に位置づけられるきっかけは、県内の農山村地帯の活性化を、県内の消費者の参加ではかろう、という思惑で始まります。(図の「活性化」の訴求方向)

よく言えば、県民あげた県内資源を利用した、地域興し運動ですが、悪く言えば、自分たちの地域内のことだけを考えた、広がりのない「地域エゴ」であるという側面がついて回ります。

「地元産木材利用で地元の活性化」というのみでなく、「環境負荷の軽減」という、環境指標を導入することによって、地元産木材の普及のコンセプトに地球的な広がりを持たせることができる。その点を実践したことこに京都府の取組は、画期的な意味を持っていると思います。

運営協議会の中心メンバーの木材業者の方々と話をする機会がありました。京都府産木材の普及という面で課題を抱えているようでしたが、この制度が、環境への取組を計る指標を提供しているので、この制度での各社の環境貢献を数値化し(累積ウッドマイレージ節約数とか)、府行政サイドから各種認定(入札参加資格など)の条件にしたらどうか、など、いろいろなアイディアが(酒の席ですが)でていました。

このように「思い切ったことだできるのではないか」という状況も、この制度が「一部の人のエゴではなくエコの制度である」という、信頼される土台ができているからこそ、生まれているのだと思います。

ますますのご発展を祈念します。

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