持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業ー森林林業白書特集(2020/7/15) |
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6月に公開された今年度の森林・林業白書の特集は「持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業」です。 いまでこそ、みんなが知っているSDGsですが、このサイトでは2015年に国連サミットで「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」としてSDGsが採択される前から、グローバルな目標の設定作業の中で、森林や木材の利用がどのように位置づけられるのか、関心を持ってフォローしてきました。 国連サミットで合意された「持続可能な成長のための2030年アジェンダ」の中の森林(2015/10/24) それで、日本の森林林業行政の責任部局からの情報発信の中でのSDGs興味深く読みました。 4つの節にわかれて、pdfファイルが 令和元年度 森林・林業白書 全文というページからダウンロードできます。
(SDGs指標と森林林業の貢献) 上の図は、特集の導入部分の第1節 持続的な開発目標(SDGs)と森林のまとめの形で、掲載されている「我が国の森林の循環利用とSDGsとの関係」と題する図です。 森林が造成され利用される全ての局面で、「森林の持続可能な経営」、「木材の生産・加工・流通」、「木材の利用」、「キノコジビエ等の利用」、「森林空間の利用」という5つのカテゴリーに分けてSDGsの17の指標のうちの14の指標に貢献するといううわけです。(図で抜けているのは1あらゆる形態での貧困の解消、10国内国際的な不平等の是正、16平和で包摂的な社会促進、ですが「これらも関連する」と欄外に注釈付き) 本文の本体である、第2節 多様化する森林との関わり、ではその内容が具体的な例示を添えて丁寧な解説がしてあります。 SDGsの国際的な議論の中で、木材の利用の話がどのように位置づけられるのか、気にしていました。(残念ながら関連する目標である、7、11、12などにターゲットのレベルでも木材、木質バイオマスという言葉は入りませんでした(マーケットを通じた目標)など 違法伐採木材と森林の破壊との関係など難しい面があるのですが、公共建築物木材利用促進法などこの分野の議論は日本がリードしている面もあります。 今回の特集では、上記、第2節 多様化する森林との関わりに(2)森林資源の利用の関わる取組(ア)建築物における木材利用の拡大という分節を設けて4ページにわたって充実した記述がされています。 (SDGsから見た林業木材産業の課題) 白書の特集のタイトルは「持続可能な開発目標(SDGs)に貢献する森林・林業・木材産業」ではありますが、当然森林・林業・木材産業に貢献するSDGsという側面は外せません。第4節 今後の課題と関係者の役割はその点に触れています。 (ア)持続可能な森林経営;森林に関連するSDGsの達成に向けて森林の機能を十全に発揮していくためには、適切な整備が行われ、健全な森林として維持されていくことが前提となる・・・が、近年主伐が増加傾向で推移する中、伐採後に再造林されていない箇所が発生している。」として、、再造林に取り組む具体的な事例を紹介しています。 また、このセッションには(イ)合法性や持続可能性に配慮した木材の調達(ウ)林業従事者の安全確保(エ)女性参画と、森林林業施策を国際的な視点から議論する重要な記述となっています。 もう一つ4節で重要なのは、(2) 森林・林業・木材産業を支える関係者の役割という部分です。多くの企業がSDGsの関心をち、それをきっかけに、いままで関係のなかった企業個人が森林林業に関心を広げてくる可能性という重要な側面に触れています。SDGsをきっかけとして森林空間サービス、エネルギー、森づくりなど、いままでとまったく違った拡がりのある関係ができてくる可能性があります。 kokunai5-3<hakusyoSDGs> |
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