循環社会の主役である木材や森林とグッドデザイン賞(2013/11/4) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「地方の林産地と都市の工務店が連携した、新しい循環型ビジネスモデル」ー紀州の山長商店がグッドデザイン賞を受賞したというニュースを聞いて、六本木東京ミッドタウンで開催された「グッドデザインエキシビション2013」に行ってました。 誰もが知っているGマーク。50年以上にわたってよいデザインを表彰し続け、受賞数は38千件になるのだそうです。 良いデザインを表彰する権威のある制度なので、自動車メーカーや家電メーカーなどが、新製品のPR戦略上の位置づけで、たくさん応募し、一社で複数の受賞する会社は数限りなく、一社で数十の受賞する会社もあります。ゼネコンや住宅メーカーも自社の商品やプロジェクトのデザインを競って、応募受賞をしています。 でも、なぜ、山長商店の営業戦略がグッドデザイン賞なのでしょう? (Gデザイン賞の開催要綱、デザインは何?) 開催要綱、応募要領、審査要領などをみてみました。賞の対象となる「デザインとは何か」を示す募集要領の応募対象分類一覧表は以下の通りです。
私たちがふつう考える、商品デザインは上記でいうと、モノのデザインですが、そのほかのに、コミュニケーション、仕組みというカテゴリがあり、山長商店の応募は、B3-2. 流通・販売のためのサービス・システム、という分野に位置づけられています。 応募された対象は、@身体的な視点(安全・弱者への配慮、使い方がわかりやすいなど)、A生活的視点(使用環境への配慮、家族やコミュニティのあり方についての提案など)、B産業的視点(新しいものづくりや提供の仕方・企業スタイルの提案、新産業、新ビジネスの創出に貢献など、C社会・地球環境的視点(社会・文化的な価値を創造、持続可能な社会の実現に貢献など)といった審査の視点に基づいて、審査されるのだそうです。 (山長商店のビジネスモデル) 山長商店は和歌山県田辺市に本社がある、山林業、製材加工、プレカットまでを行う事業者ですが、関東地方の工務店と連携して、年間800棟の資材を供給しています。 品質の量の安定化という国産材の課題を、山からプレカットまでの一貫した生産体制の中で対応してきたものですが、今回の受賞の概要は主催者の公式HPの受賞対象概要に掲載されています。 「国産材を用いた住宅のエコシステムの構築という点で評価された。これを産地(紀州)の側から、都市の工務店と連携すること、標準化の難しいヒノキ材の認証獲得努力を行うことで達成した。標準化したプレカットでなく、工務店の施工する個別の住宅毎にカスタム化されたプレカット材を認証するというビジネスモデルで顧客価値を高めている。」との審査員の評価です。 (Gデザインと木材、森林) グッドデザインを受賞した作品が1957からすべてウェブ上のデータで検索できるようになっています。 1991年から2013年までの25年間受賞者数は1000件ほどですが、その中で木材、国産材、地域材などのキーワードをもった受賞件数がどんな推移になっているのか見てみました。
その推移を示す上表は、時代に応じてデータベースの内容が充実してきており、10年前の2003年から社会への取組みという項目への記載がされるようになっているなどが反映されたものでもあります。 それも含めて消費者への訴求を求める良いデザインという考え方の変化を示すものとして興味深いものです。 リーマンショックの2008年の次の年には温暖化が急落など、社会の動きを反映しています。 「私たちの暮らしと産業、そして社会全体を豊かにする「よいデザイン」を顕彰」という産業側と消費者との間のコミュニケーション手段の中で、この、10年間の間で、地球環境問題や循環社会などの考えが重視されるようになり、その中で木材や地域材などが一定の位置を確保してきたことがよくわかります。 グッドデザイン賞というオープンな競争の場で、再生可能循環社会の主役となる木材の供給モデルが、次々と生まれてくることを期待しています。 kokunai4-38<gdesignwood>
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