北海道洞爺湖サミットを前にした6月9日福田総理は、日本記者クラブで「低炭素社会にむけて」というスピーチをしました。
福田ビジョンといわれるこの内容は以下の通りです
日本の長期・中期目標
- 2050年までに現状から60%-80%の排出削減
2020年までに現状から14%削減
具体的な政策
- 革新技術の開発と既存先進技術の普及
国全体を低炭素化へ動かす仕組み
排出量取引/税制改革/見える化
地方の活躍
国民が主役
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京都議定書が視野に入れているのが排出削減量の5%であるのに対し、全体を視野に入れた長期目標が掲げられたのが重要な点ですが、具体的な政策について、以下の二点に注目します。
(環境負荷の見える化)
「国全体を低炭素化へ動かす仕組み」の「見える化」というのが一つの重要なキーワードです。
- (見える化)
- 自分の出す炭素に自ら責任を持つことが求められるのは、産業界だけの話ではありません。国民一人ひとりが、低炭素社会の実現に向けて、賢く、そして責任ある行動をとることが必要となります。
そのためには、CO2排出の見える化によって、消費者が的確な選択を行うための情報を提供すること、これが重要となります。
イギリスなどでは、製品や食品の製造から輸送、廃棄に至る過程で排出されるCO2を測定して商品に表示する、カーボン・フットプリント制度やフードマイレージ制度が試行されております。これを国際的にも広げていこうという動きがございます。
我が国としても、このカーボン・フットプリント制度などの国際的なルールづくりに積極的に関与して、そして、わが国の国内での削減を進めるために、来年度から試行的な導入実験を開始したいと思っております。そのための準備を関係省庁に指示するとともに、産業界にも協力を要請してまいります。これが軌道に乗れば、世界最大級の取組みになると期待されます。
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「見える化」については、ウッドマイルズ研究会の取組が先進事例ですし、また、木材自体が排出されるCO2が少ないことを売りにしている、また、排出だけでなく、固定しているという、見える化してほしい性質をたくさん持っています。
これからが楽しみです。
(地方の活躍)
もう一つは、地方の活躍
- 3.地方の活躍
- 次に、地方の活躍、貢献について申し上げます。大きな柱の3つ目であります。地方の果たすべき役割は何かということであります。
低炭素社会における農業と林業の重要性は、これまでとは比較にならないものがございます。食料自給率を高めるということは、海外からの輸送にかかるCO2排出を減らすことにもつながりまして、林業の振興は、CO2の吸収源を増やすことにつながってまいります。
農業や林業の担い手である地方は、これからは、バイオマスなどの国産エネルギーの供給源、供給基地としても重要な役割を果たしていくことになるわけであります。
低炭素社会を実現するということは、地方がその先導役を果たすことに他ならず、それぞれの地域が、食糧もエネルギーも地産地消型に近づいていくことになるでありましょう。
あまり知られてないことでありますけれども、既にわが国の76の自治体が、地域内に民生用電力需要を上回る再生可能エネルギー電源を保有しているという調査がございます。こういった取組をさらに全国に広げることで、日本が世界をリードしていくことがであります。
このような地域の取組を大きく推進し、優れた事例の横展開をはかるために、全国から10程度の環境モデル都市を選び、政府のバックアップのもとに、大胆な革新的な取り組みを進めてもらうことにしております。
大都市、中都市、小都市、農村や山村など、日本のさまざまな地域が、それぞれの地域に適したやり方を模索しながら大きな削減を図り、国も全国の地域も国民もそれを応援し、その過程から学んだことを自分たちも活かしていく、という好循環を生み出すことで、日本全体の大きな削減を実現してまいりたいと思います。
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都市型生活と、農村型生活のどちらが、低炭素社会型がというのは、興味のある点です。
この二百年間の二酸化炭素排出型社会に突き進む中で、世界中が農村型から都市型に移行したことを考えると、答は簡単なように思えますが、一筋縄でないようです。
三大都市圏と離れたところに、小都市、農村、山村の連携した循環型社会の明確なビジョンが提示されることが必要だと思います。
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