持続可能な豊かな森を築くー森林総研の公開シンポジウムから(2023/11/17) |
10月11日森林総研が開催した公開講演会、持続可能な豊かな森を築くー資源を提供してくれる森を築くために参加してきました。 昨年の公開講演会は気候変動に関してでしたが、今年は森林の木材生産機能に基づく林業の本丸について、森林総研がどんなに取り組んでいるか、がテーマです。 11月になって、すべてのプログラムの動画が、YouTubu上で公開されたようなので、ご紹介します。 (以下公開動画の当該関係部分に飛ぶようにリンクを張ってみましたが、そのたびに広告が入るので気を付けてください!) (全体のプログラム概要) 「イントロダクション—日本の針葉樹人工林の現状を正しく理解する—」 研究ディレクター 宇都木 玄 「育林作業の省力化に向けて—最先端の技術と考え方—」 九州支所 主任研究員 山川 博美 「素材生産技術の高度化—ここまできた林業機械の自動化—」 林業工学研究領域 収穫システム研究室長 中澤 昌彦 「世界の情勢に左右される木材の価値—国際市場における日本の在り方—」 林業経営・政策研究領域 早舩 真智 「針葉樹だけで良いのか—立木の付加価値、広葉樹利用の温故知新—」 関西支所 森林生態研究グループ長 山下 直子 「時間軸も考慮した資源管理—自立できる山づくりのために—」 関西支所 主任研究員 中尾 勝洋 パネルディスカッション・イントロ 研究ディレクター 宇都木 玄 ーーーーーー (森林総研からのメッセーは) 左の図は全体の導入で、本日の全体を仕切った宇都木研究ディレクターが、示したイベントの全体像を示す図です。 上の図、日本と海外先進国では丸太の値段は100ドル/m3で一緒。(棒グラフの高さは同じ) それから、立木から丸太が取引される市場までのコスト(素材生産コスト(青)、素材運送コスト(橙)、流通素材流通コスト(灰色))を差し引くと立木価格=山林所有者の収入。 その収入から造林経費を投入できて循環的な持続可能な豊かな森をつくる林業が産業となります。 それに向かって、本日のプレゼンのそれぞれの位置づけを示したのが、下の図。 ①山川報告は立木価格から差し引く造林経費を減らす枠組み わかりやすい説明です そして最後のパネルディスカッションでは、最終的な結論として、どこで林業のゾーンニング(木材生産ができるかどうか)のやり方が、森林GISの発展などで大きくわかりそう。だけど、その有効な手法開発までにもっと現場の情報が必要なので、よろしくお願いしますー。 といったところだったと思います。学術研究機関が市場と現場にしっかり向き合い研究課題をわかりやすく示す、大切なイベントでした。 其々のテーマに合わせた動画が見られるので、関心のある方は上のリンクからどうぞ。 ー--- (質問をしてみました) プレゼンの後に少し質疑の時間があったので、二つ質問してみました。 問1中澤さんに:素材生産コスト削減のための研究をされて、その開発目標が5千円/m3とされていますがグローバルに言った場合その数字はどんな水準なのですか(高すぎませんか?もっと頑張らなくては) 答1:グローバルにみると水準は3千円なので、5千円は高いです。が、現時点での現場と研究環境からすると、これ以上生産コストを削減すると労働安全などの問題がでてくるので難しいす。 (ぎりぎりの開発をしたうえで、ゾーンニングを考える時に市場から見たコストの問題を念頭において、削減を図ることになるんでしょう、と納得) 問2早舩さんに:すこし長期的な視点を視野に入れてということなんですが、宇都木さんが最初にいわれて全体のベースになっている100ドル/丸太m3、という前提がわかりやすいのですが、長期的にこれを引き上げるという議論はされてますか?市場での木材価格は、他の建材(化石資源に依存している)との競合によって決まってくるのでしょうが、二酸化炭素を排出する有害物排出責任という考え基づいて、回収コストを他の建材の価格に反映ればもっと高くなる。そしたら100ドルでなく200ドルになるいう議論もあるだろうし、そんな議論をされていますか? (そうですね、市場に依存した形では難しいので、制度設計が必要だと思います。今回のイベントは現在必要な改良手続きについて真剣な取り組みがされているのは、分かったんですが、すこし長期的にむけて、制度の体制の転換といった議論が必要になっているんだと思いますし、そういうことは林野庁に任せておくのでなく、是非学術研究機関のサイドからも積極的な提案をしていただきたい・・・・などと、思いました。そういう発言はしなかったですが) ーーーー 以上で報告終わりです kokunai6-65<ffprikoen2023> |
■いいねボタン
|