森林総合研究所公開講演会「ネットゼロエミッション達成のための森林の役割」から(2022/11/15)

10月5日3年ぶりで公開で森林総研が開催した公開講演会、、ネットゼロエミッション達成のための森林の役割」に参加してきました。

現在の(最も)大きな政策課題であり国民やビジネス関係者も関心のたかいテーマに、「多様なステークホルダー(国際機関、行政関係者、産業界、教育機関、森林の所有者、生態系サービスの受益者、将来世代)と協働・共創のできる研究所を目指す(浅野所長)」森林総研が」真正面から問題提起をする、イベントです。

演者の方は知り合いも結構いて、「(すばらしいインパクトのある講演内容を)紹介したいのでプレゼン資料をいただけませんか?」と何人かに相談しましたが、「追って動画が公開されるので少しお待ちください」と丁寧に断られました。

11月になって、すべてのプログラムの動画が、YouTubu上で公開されたようなので、ご紹介します。

(以下公開動画の当該関係部分に飛ぶようにリンクを張ってみましたが、そのたびに広告が入るので気を付けてください!)

(全体のプログラム)

13時00分 開会挨拶

13時10分 招待講演
「カーボンニュートラルに向けて森林・林業・木材産業は何ができるか?」近畿大学農学部 教授 松本光朗氏


13時50分(前半の部)
「ここまでできた林業の効率化と機械化」植物生態研究領域 チーム長 壁谷大介
「エリートツリーの開発・普及と森林吸収源」林木育種センター育種部育種第一課 課長 栗田 学

14時35分 ポスター発表(休憩)

15時05分(後半の部)
「建築構造、建築空間での木材、木質材料の利用に向けて」複合材料研究領域 領域長 平松 靖
「木質バイオマスエネルギーの現状とコストについて」木材加工・特性研究領域 チーム長 柳田高志

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浅野所長の挨拶にあるように、①森林の吸収量(前半)、、②木材の固定量、③エネルギー利用(後半)の三つの課題に対して、研究所の貢献と課題の説明です。

講演された現役の研究者にとっては専門分野の研究課題を少しはなれた分野も含む、多様なステークホルダー(国際機関、行政関係者、産業界、教育機関、森林の所有者、生態系サービスの受益者、将来世代)と協働・共創を視野にいれたプレゼンテーションでした。

すべての内容をこのページでフォローして報告することはできませんが(というかすべてのプレゼンが上記のリンクから見えます)、冒頭の松本さんの招待講演は、過去のIPCC主たる執筆者などをつとめて、京都議定書への対応、Jクレジットの方法論などを主導されてきたご本人の、政策への思いのこもった講演でした(ので以下に少しフォローします)。

(松本講演概要)

目次は四本立てです

森林林業木材産業と気候変動(おさらい)、②京都議定書からパリ協定へ、③緩和効果の将来予測、④森林林業木材産業はなにができるか?

松本さんの学術的な達成と政策の行く末がもろに関係しそうな③以降の内容を少し説明をします

(緩和効果の将来予測)

森林が加齢してきたので、伐ってしっかり使うのがよいのだが、そうすると短期的には吸収量がへるし、緩和効果のベストのバランスは?

三つの施策シナリオ、①現状版、②緩伐採増加(主伐面積2倍)(今の基本計画の目標?)、③急伐採増加(主伐面積を増やして再造林率を2倍にして、新品種を導入、木造率を倍増)に分けて検討した経緯(学術報告は以下にある)を紹介されました。

学術的な報告は、以下を参照:森林林業木材利用を通した森林炭素統合モデルPotential contributions of forestry and wood use to climate change mitigation in Japan(どちらもYouTubeでありません)

結果は、森林の吸収量は伐採をたくさんする③は①よりも減るけども、2050年ころになると、差がちじまり、さらに長期になれば、逆転する可能性がある、んだそうです。

再造林率の拡大、新品種の導入、建築土木の利用拡大が大切。海外でも同種の研究がなさえているそうです

(木材の代替効果が見えるように!!)

ここで大切なことは、木材利用について固定量が増えるということも大切ですが、材料代替(非木造から木造にすると原料調達にかかるLCA排出量削減が大きい)、化石燃料代替(原油から残材廃材利用)が大きな効果があることです。

HWPが1トン増えると0.55トンの排出量が代替効果で減るんだそうです!!

続いて、強調されたのは「木材の代替効果は、日本の温室効果ガスインベントリー報告書には、エネルギー部門の排出削減量に反映することとなっていて、森林部門の貢献が見えなくなっているんでしっかりフォローが必要」。

松本さんの講演の最後は、消費者や企業との参加で、進めて行こう!!で終わっています。都市の森として大企業との連携→Jクレジットの税量代替の方法論を!!研究部門だもやることはたくさん、

森林と気候変動という書籍(ネット上にフルテキスト、キッズ版というのもある)をよんでくださいと紹介がありました

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最後に具体的提言がちりばめられた充実した報告、みなさんも是非聞いてくださいね。

私も、最近企業による木材利用による二酸化炭素固定量の見える化などの関心が深まっているので、固定量の見える化だけでなく、木を使うことの代替削減量の「見える化」のプロジェクト開発も必要だなー、とあらためて、思いました。

kokusai2-84<ffprikoen2022>

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