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「国連環境開発会議(UNCED:United Nations
Conference on Environment andDevelopment)」、いわゆる「地球サミット」は、1972年に開催された「国連人間環境会議(ストックホルム会議)」から20年ぶりに開催された環境と開発に関する大規模な国際会議であり、183カ国、103名の首脳が参加して、1992年6月、リオ・デ・ジャネイロ(ブラジル)で開催された。
森林原則声明は、世界の全ての森林の持続可能な経営のための原則を示したものであり、森林に関する初めての世界的な合意である。
正式な名称は、「全てのタイプの森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的な合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明(Non-legally
binding authoritative statement of principles
for a global consensus on the management,
conservation and sustainable development
of all types of forests(Forest Principles))」
http://www.igc.apc.org/habitat/agenda21/forest.html
である。
原則声明本文
原則声明和訳(林野庁仮訳)
2年以上にわたるUNCEDの準備段階では、一部の欧米諸国等を中心に、森林条約(法的拘束力を有する国際取決め)を策定しようとの動きがみられたが、森林資源の利用に制約が加えられることを危惧する熱帯林保有国などの反対により、結果的には「法的拘束力のないものの権威ある声明」として合意され、また、資源保有国の資源利用に関する主権が明文化された。
環境保全と経済発展を両立させるため、21世紀に向けて各国が取り組むべき行動計画を定めたものである。貧困の撲滅、環境と貿易、消費形態の変更などの分野横断的な課題と森林問題を含む各種の分野別課題を幅広く網羅しており、40章から構成されている。
本文
和訳
森林問題は、多数の章で触れられているが、主として「森林減少対策」と題された
第11章 で取り扱われており、以下の4つの項目につき、行動の基礎、目的、活動方法及び実施方法が記述されている。
@森林の持つ多様な役割と機能の維持
A森林の持続可能な経営の強化と荒廃地の緑化
B森林から生み出される財やサービスの効率的な利用の促進
C森林計画や森林に関連する各種計画の策定と評価能力の確立・強化
1992年7月に開催された「ミュンヘン・サミット」では、我が国を含む先進7カ国が、1993年末までに国別行動計画を作成すべきことが経済宣言に盛り込まれた。アジェンダ21の我が国の行動計画は、「ミュンヘンサミット経済宣言」に基づき策定され、1993年12月にCSD事務局に提出された。取りまとめに当たっては、政府原案をプレスを通じて公表し、NGOを含む国民の意見に基づき修正の上、与党プロジェクトチームの審議を経て地球環境保全に関する関係閣僚会議で了承するという手続きが採られた。日本版アジェンダ21は、アジェンダ21に沿って40章から構成されており、森林・林業分野の取組については、
第11章「森林減少対策」 に、次のような重点的に取り組むべき事項が掲げられている。
@全ての森林の多様な役割と機能の維持
A全ての森林の持続可能な経営と荒廃地の緑化
B森林の供給する財とサービスの効率的な利用と評価の促進
C森林現況に関するデータの整備
D多様な国際協力と国際的な枠組みづくりの促進
1993年2月、アジェンダ21の実施状況のレビューを行うため、1992年の第47回国連総会決議に基づき、「持続可能な開発委員会(CSD:Commission
on Sustainable Development)」が国連の経済社会理事会(ECOSOC:Economic
and Social Council)の下に設置された。
CSDは、我が国を含む53の国連加盟国により構成され、その事務局は、国連本部内に新たに設置された「政策調整・持続可能な開発局(DPCSD:Department
of Policy Coordination and Sustainable Development)」の中に設けられている。
CSDは、1997年に開催される「国連特別総会」に向けて毎年開催することとされ、1993年5月の第1回会合では、アジェンダ21の実施状況のレビューを第2〜4回会合において行い、第5回会合では総括レビューを行うことが決定された(
CSD検討スケジュール )。森林問題(第11章)については、1995年4月の第3回会合でレビューが行われることとなった。
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(2)アドホック作業部会会合
1995年2〜3月、CSD第3回会合に先立ち、「アドホック作業部会(Ad-hoc
Intersessional Working Group)」の会合がニューヨーク(米国)の国連本部で開催された。アドホック作業部会は、CSDで検討の対象となる重要な課題などにつき、事前のコンセンサスづくりを行うことを目的に開催されるものであり、従来、分野別事項と資金供与の2つの作業部会が設置されてきた。
1995年に開催された
分野別事項に関するアドホック作業部会 では、CSDのメンバー国26カ国を含む54カ国のほか、多数の国際機関、NGOなどが参加し、土地、砂漠化、森林及び生物多様性(アジェンダ21の第10〜15章)を対象に論議が行われた。
1995年4月、CSDの第3回会合が、CSDのメンバー国(53カ国)はもとより、主要な国連加盟国、国際機関、NGOなどの参加の下に、ニューヨーク(米国)の国連本部で開催された。会期末の3日間には、50名の環境、開発、森林などの担当閣僚の出席の下にハイレベル会合が開催され、我が国からは、宮下環境庁長官が出席した。
今次会合の議題は、貧困の撲滅(アジェンダ21の第3章)、消費形態の変更(第4章)、主要グループの役割強化(第23-32章)、資金供与(第33章)、技術移転(第34章)などの分野横断的課題と森林減少対策(第11章)を含む分野別課題(第10-15章)と多岐にわたり、40章に及ぶアジェンダ21のうちの25章を対象に、実施状況のレビューなどが行われた。
森林に関しては、
@ 開発途上国に対する資金・技術の供与のあり方
A 先住民等の有する知識・技術の保護と利用のあり方
B 木材の認証制度への取組のあり方
C 法的拘束力を有する国際取決め(森林条約など)の検討の進め方
D 森林に関する政府間パネルのあり方
などにつき、先進国と開発途上国との間で、決議案での表現振りも含め激しい論議が交わされたが、いずれの事項も、具体的な方向づけはIPFでの検討に委ねられる結果となった。
CSD第5回会合は地球サミット以降5年間の取組をレビューするための総括会合として、また1997年6月の
「国連特別総会(UNGASS)」 の準備会合との位置づけのもと、1997年4月にニューヨーク(米国)の国連本部で開催された。
CSDのもとに設置され、2月に検討を終えたIPFでは、今後の森林条約の取組等についてはオプションが合意されたに留まったことから、CSDでの検討の行方に大きな関心がよせられた。
そのような中、EUを中心とする欧州諸国やカナダに加え、マレイシア、インドネシア、PNG、コスタリカなど、森林条約の必要性を認め、条約交渉に入るべきとする国が地球サミット当時と比べて増えた一方、米国、オーストラリア、ニュージーランド、インドなどが森林条約の有効性に疑問を呈するなど、各国間には依然大きな意見の隔たりが見られた。
具体的には、同パネルでは、
@ 森林に関するUNCED合意の実施状況
A 資金・技術移転における国際協力
B 研究・調査と持続可能な森林経営の基準・指標
C 森林の生み出す財やサービスの貿易と環境
D 国際機関及び法的メカニズムを含む多国間措置
につき、1997年の国連特別総会を念頭に置きつつ、具体的な取組方策などの検討を行い、1996年のCSD第4回会合に中間報告、1997年のCSD第5回会合に最終報告を提出することとなった。
IPFの事務局は、「国連政策調整・持続可能な開発局(DPCSD)」の中に設置され、具体的な作業は、IPFの決定に基づき、FAO、ITTO、UNDP、世界銀行などの関係国際機関の間で分担して進められることとなった。なお、IPFの設置は、正式には、1995年6月の国連経済社会理事会の再会会期で承認されている。
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(2) 第1回会合
IPFは、1995年9月にニューヨーク(米国)の国連本部で第1回会合を開催し、
@先進国の代表1名と開発途上国の代表1名が共同議長を務めることとし、3名の副議長とともに会議の運営に当たる
A第2-3回会合では、検討項目V.2(法的メカニズム)を除く10の検討項目につき、検討の深度に濃淡をつけつつ具体的な取組方策の検討を行う
B検討項目X.2については、第2-3回でのその他の検討項目の検討の結果を踏まえつつ、第4回会合で本格的な検討を行う
C検討作業に当たっては可能な限り2つの作業部会を設け、各共同議長の運営の下に、同時平行的に取組方策の検討を進める
D関係国際機関により構成される「インターエージェンシー・タスクフォース
(ITFF)」を設け、事務局文書の作成などを通じてIPFでの検討を支援する
Eスイス、オーストラリア、デンマーク、ポルトガル、ドイツなどが、IPFの検討項目をテーマに会期間会合を開催し、IPFの検討に貢献する
1996年3月には、IPFの第2回会合がジュネーブ(スイス)の欧州国連本部で開催され、IPFの第1回会合で決定された検討スケジュールに基づき、5つの検討項目について本格検討、残る5つの検討項目について予備検討を実施した。
会議は、検討項目U(資金・技術移転)、W(貿易と環境)などを巡って紛糾したことから、本格検討の対象項目についても詰めができず、これらは、第3回会合でも引き続き検討することになった。
1996年9月には、第2回会合と同様、欧州国連本部で第3回会合が開催され、当初から本格検討が行われる予定となっていた5つの検討項目に加え、すでに第2回会合で本格検討がなされた5つの検討項目についても検討が行われた。また、検討項目X.2(法的メカニズム)に関する予備検討が行われた。会議は前回以上の紛糾を極め、結果的には、各検討項目ごとの検討が中途の状態で協議を終了することとなった。
IPFの第4回会合は、1997年2月にニューヨーク(米国)の国連本部で開催され、第3回会合の結果を踏まえて共同議長が作成した報告書案に基づき、文案協議が行われた。
他方、法的メカニズムや今後の政策対話のあり方については、
○CSD、FAOなどの既存のフォーラムでIPFの行動提案の実施状況のレビューと政策対 話を継続する。
・法的メカニズムの必要性の有無についても見極めを行う
・法的メカニズムの具体的な検討に着手すべくコンセンサスづくりを進める
○国連の下に「政府間交渉会議(INC:Intergovernmental Negotiation Committee)」を設置し、法的メカニズムの交渉を開始する
とのオプションを採択するにとどまった。
多数の国、関係国際機関などはIPFの検討に貢献することを目的として、IPFの検討項目をテーマに専門家会合などを開催した。これらの会合は、「IPF会期間会合」と呼ばれ、その結果は、IPFに報告されるとともに行動提案の取りまとめにも反映された。
表11 IPF会期間会合各国の貢献
我が国は、CSD第3回会合での少数国によるIPFの枠組みづくりに参画するなど、設立当初から深く関わるとともに、IPFの運営に必要な資金の提供、IPF会期間会合の開催など、多大の貢献を行ってきた。
ア 資金の提供
1995年5月ガーナで開催されたITTOの第18回理事会で、我が国が中心となって、IPFへのITTOからの貢献を可能とする決議を行い、これに基づき、IPFの運営を実質的に指揮するIPFの事務局長と事務局員1名の雇用に必要な経費をITTOを通じて提供した。また、1996年11月には、外務省から、IPFの運営に必要な資金を国連に任意拠出している。
イ IPF会期間会合の開催
1996年11月、IPF会期間会合として、カナダ、マレイシア及びメキシコ政府との共催、FAO、ITTO及び高知県の後援により、「持続可能な森林経営の総合的な実践に関する国際ワークショップ(高知ワークショップ)」を開催した。本ワークショップの目的は、持続可能な森林経営に関する近年の国際的な論議の内容に照らし、これまでに世界各地で行われてきた森林の保全・造成活動を分析し、持続可能な森林経営の現場レベルでの実践のあり方につき検討を行うとともに、そのことを通じてIPFでの取組方策の取りまとめにも貢献することであった。高知ワークショップの結果はIPFの第4回会合に報告され、多数の国の支持の下に、検討項目T.1(森林・土地利用計画)とV.1(森林研究)の行動提案に盛り込まれた。
第19回国連特別総会(UNGASS)は1997年6月23〜27日にニューヨーク(米国)の国連本部で、全ての国連加盟国とオブザーバー国のほか、多数の国際機関、NGOなどの参加、約60カ国からは首脳出席のもと開催された。また、総会に先立ち、15〜20日には非公式事前協議が開催された。
また、CSDについては、その将来の役割と作業計画(1998〜2002年)についての決議がなされ、その活動が継続されることとなった。
森林については、森林条約などの検討方向につきCSD第5回会合でも結論が出ていなかったことから検討の行方には国際的な高い関心が寄せられたが、事前協議では、各国ともこれまでの主張を繰り返す中、中間的な議長調停案に対しても条約交渉の開始を主張するEUなどが反発した。総会では、森林に関する非公式閣僚会合を設けて協議が行われた結果、一旦は共同議長提案が否決されたものの、我が国など8カ国から成る小グループを設けて文案を協議し、最終日に以下の内容で合意された。
・IPFの行動提案の実施の促進
・持続可能な森林経営の進捗状況の把握
・資金・技術移転、貿易と環境など、IPFでの未解決事案の更なる検討
・森林条約などの国際メカニズムの内容の検討とコンセンサスづくり
○IFFの結果は1999年のCSDに報告
○2000年のCSDでの決定に基づき、森林条約などの国際メカニズムに関する政府間交渉プロセスを開始。
○早期にIFFを開催し、作業計画などを決定。IFFの事務局は、国連政策調整・持続可能な開発局(DPCSD)内に設け、各国などからの拠出により運営。
gopher://gopher.un.org/00/ga/docs/S-19/plenary/AS19--6.EN
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IFF第1回会合は、今後のIFFの検討スケジュール等を決定する組織会合として1997年10月にニューヨーク(米国)の国連本部で開催された。
主な決定事項は以下のとおり。
○日程及び開催場所
・第2回会合 1998年6月または8月 ニューヨークまたはジュネーブ
(その後、1998年8月24日〜9月4日ジュネーブに決定)
・第3回会合 1999年2〜3月 ジュネーブ
(その後、1999年5月3日〜5月14日ジュネーブに決定)
・第4回会合 2000年2〜3月 引き続き検討
(その後、2000年1月28日〜2月14日ニューヨークに決定)
○検討項目(以下の3つのカテゴリーを検討)
・IPFの行動提案の実施促進など(カテゴリーT)
− IPFの行動提案の実施促進方策の検討(T(a))
− 持続可能な森林経営の進捗状況のモニター(T(b))
・IPFからの懸案事項など(カテゴリーU)
− 新たな国際基金の創設の検討(U(a))
− 貿易と持続可能な森林経営との調和方策の検討(U(b))
− 環境保全上好ましい技術の移転方策の検討(U(c))
− IPFの検討項目の中で更なる検討が必要な事項の検討(U(d))
− 国際機関や森林関連条約の役割や活動などの分析(U(e))
・森林条約などの国際的取り決め及びメカニズム(カテゴリーV)
− 国際的取り決め及びメカニズムの内容の検討とコンセンサスの醸成
○検討スケジュール
・カテゴリー間でバランスの取れた検討を行うこととし、第2回会合と第3回会合に検討項目をバランスよく振り分けることでスケジュールを決定。第4回会合は最終報告書の取りまとめ。
・国際的取り決め及びメカニズムに関する検討(カテゴリーV)の進め方としては、検討に先立ち、国際機関や森林関連条約の役割や活動の分析(カテゴリーU(e))を第2回会合で行うこととなった。
IFFの検討に貢献することを目的として、IFFの第1回〜第2回会合の合間に、2つの会合が開催された。
・IPF行動提案の国レベルでの実施促進のための6カ国イニシアティヴ
(1998年6月29日〜7月3日)
主催:ドイツ、フィンランド、イギリス、ホンジュラス、インドネシア、ウガンダ
場所:バーデン・バーデン(ドイツ)
1998年8〜9月には、IFFの第2回会合がジュネーブ(スイス)の欧州国連本部で開催され、IFFの第1回会合で決定された検討スケジュールに基づき、4つの検討項目について本格検討、残る4つの検討項目について予備検討を実施した。
公式文書リスト
会議は、本格検討項目についてはT.a(IPF行動提案の実施促進方策)で国家森林プログラムの作成・レビューについて合意が見られたが、U.b(貿易と持続可能な森林経営の調和方策)
(事務局ペーパー ) (
貿易と環境に関するバックグラウンドペーパー )では関税、補助金削減・撤廃等を主張する木材輸出国側と、持続可能な森林経営により生産された木材を貿易の対象とする取組が重要であることや林産物の関税は既に低く貿易障壁とはならないこと等を主張する我が国等が対立し、報告書全体が未合意のまま第3回会合で継続検討されることとなったほか、U.c(技術移転)も第3回で継続検討されることとなった。
また、予備検討項目では、T.b(持続可能な森林経営の進捗状況のモニター)について短期的に実施するIPF行動提案に関連する制度・政策面等における進捗状況のモニターと長期的に実施する基準・指標に基づく森林資源の変化状況のモニターに区分して検討することで合意が見られたほか、V(国際的な取決め及びメカニズム)については、各国の立場(森林条約推進派:カナダ、EU、ロシア、コスタリカ等、中立・慎重派:G77等、慎重・反対派:米、ブラジル、豪、NZ等)の意見表明を踏まえ、U.eで議論された既存の国際的な取決め・メカニズム、基準・指標プロセス、NGO・民間セクターの活動等に関する包括的な分析を第3回会合までにさらに実施し、それらを踏まえ、国際的な取決めやメカニズムの考え得る要素・内容の特定に関して第3回会合で検討されることとなった。
第二回会合公式報告書
IFFの第2回〜第3回会合の合間には、以下のような貢献会合が開催された。
・森林に関する調査・情報システムに関する専門家会合(1998年9月7日〜10日)
主催:インドネシア/オーストリア 場所:グムンデン(オーストリア)
・森林の保全と保護地域に関する詳細な調査に関する専門家ワークショップ
(1998年9月9日〜11日)
主催:オーストラリア 場所:キャンベラ(オーストラリア)
・森林減少・劣化の根本原因に関するワークショップ(1999年1月18日〜22日)
主催:NGO/コスタリカ、場所:サンホセ(コスタリカ)
・すべての森林に関する可能な法的拘束措置の要素・内容に関する専門家会合
(1999年2月23日〜27日)
主催:コスタリカ/カナダ、場所:サンホセ(コスタリカ)
・保護地域に関する国際専門家会合(1999年3月15日〜19日)
主催:ブラジル/アメリカ、場所:サンファン(プエルトリコ)
・人工林の役割に関する国際専門家会合(1999年4月6日〜9日)
主催:チリ/デンマーク/ポルトガル、場所:サンチャゴ(チリ)
等
(主な論点)
・将来の森林に関する「国際的取決め及びメカニズム」に関し、初日の全体会合での林野庁伴次長のステートメントをはじめ、日本代表団より「何らかの国際的取決めやメカニズム」に関し、IFFにおけるコンセンサス醸成の必要性を強く主張した。
・また、その国際的取決めが目指す内容として、
@各国の政策の中で「持続可能な森林経営」に高い優先度を与えること
A国際的に共有できる概念や手法の下で効率的・効果的に各国が「国家森林プログラム」の整備・充実を図ること
B「持続可能な森林経営」の基準・指標の策定・適用を各国・各プロセスで推進すること
C「持続可能な森林経営」が行われている森林から生産された木材を貿易の対象とするよう取り組むこと
などを主張した。
・貿易と環境の議論(
貿易と環境に関する事務局ペーパー )においては、WTO次期交渉を念頭に置き、関税や補助金の削減等を主張する米、加、NZ、開発途上国等と、貿易自由化が環境に及ぼす影響をマイナス面も含め慎重に検討すべきであり、各国が持続可能な経営が行われている森林から生産された木材を貿易の対象とするよう努力すべきとする我が国や我が国と比較的近い立場にあるEU等が激しく対立したため、報告書の取りまとめは難航し、一部はIFF次回最終会合(2000年1月〜2月)において検討することとなった。
・持続可能な森林経営を推進するための資金や技術移転、森林生物研究成果から得られた利益の分配、森林に関する伝統的知識の知的所有権としての認定問題に関しては、先進国と発展途上国間の利害が激しく対立した。
・貿易問題に関しては、日本が主張していた「持続可能な経営が行われている森林から生産された木材を貿易の対象とするよう各国が努力すべき」との理念について国際的な理解が深まった。
・森林生物研究成果から得られた利益の分配、森林に関する伝統的知識の知的所有権としての認定問題に関しては、先進国と発展途上国間の歩み寄りが全く見られず、対立したまま最終会合に持ち越された。
1999年2月「すべての森林に関する可能な法的拘束措置の要素・内容に関する専門家会合」に引き続いて、コスタリカ・カナダイニシアティブによるカテゴリーVに関するIFF貢献会合等が開催された。地域会合は、我が国が参加した東・東南アジア会合の他8地域で開催され、12月の最終専門家会合で取りまとめが行われる。
・「国際的取決め及びメカニズム」に関する東・東南アジア地域会合
(1999年8月2日〜5日)
主催:コスタリカ/カナダ、場所:クアラルンプール(マレイシア)
・IFF問題に関する南太平洋地域ワークショップ
主催:オーストラリア 場所:ナディ(フィジー)
・「国際的取決め及びメカニズム」に関する最終専門家会合
(1999年12月6日〜10日)
主催:コスタリカ/カナダ、場所:オタワ(カナダ) 等
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(7)第4回会合
IFFの第四回会合は2000年月31日から2月11日国連本部で開催された。主たる検討項目は第三回会合より引き続き検討事項となっている「国際的取り決め及びメカニズム」。森林条約策定に関しカナダをはじめとする条約推進派と、米国ブラジルなど反対派が鋭く対立したが最終的には持続可能な森林経営への取り組みの実施促進のため国連の下に新たに「国連森林フォーラム(UNFF)を設置することを提案する報告書を取りまとめた。(第四回会合決議 )
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6 UNFF(国連森林フォーラム)
(1)国連社会経済理事会での決議
IFFの最終報告書が2000年4月〜5月の国連持続可能な開発委員会第8回会合(CSD8)で承認されたことを受け、2000年7月から国連経済社会理事会(ECOSOC)において、UNFF設立についての審議が進められた。その結果、IFF最終報告書でのUNFF設置に係る提案に更なる検討が加えられ、2000年10月18日にUNFF設立の決議案(本文E/2000/Inf/2/Add3ダウンロード 、和文概要 ) が採択された。UNFFは、経済社会理事会の下部機関としては、1992年の「持続可能な開発委員会(CSD)」の設立以来初めての新設機関である。
(2)第一回UNFF会合
2001年6月第一回国連森林フォーラム第一回会合が国連本部で開催され、5年間のUNFFの活動計画が決定した。(会議概要和文 、決議E/2001/42 (Part II); E/CN.18/2001/3 (Part IIダウンロード )
会合
年
重点検討項目
UNFF2
2002
森林の減少・劣化への対策、森林保全・保護、森林の少ない国の森林回復と保全の戦略、荒廃地の復旧と植林等の推進
UNFF2
2003
森林の経済的側面、森林の健全性と生産性、現在及び将来の需要に応える森林面積の維持
UNFF2
2004
国民参加の推進、森林に関する伝統的知識、森林に関する科学的知識、森林に関する社会・文化的側面、モニタリング・評価・報告、持続可能な森林経営の基準・指標
UNFF2
2005
活動状況のレビューと将来の行動のための決定、条約についての検討
(3)第二回UNFF会 合
2002年3月、8−9月開催予定の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD:通称ヨハネスブルグ・サミット)に向けてのUNFFからのメッセージ等を内容とする「閣僚宣言」をまとめ採択すること等を主な目的として開催。(会議概要林野庁プレスリリース 、決議本文pdfファイル )