建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた取組の推進に関する基本構想ー持続可能な木材の立ち位置は?(2025/9/30) | |||||||||
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前者はこのサイトでも、「木材の効果の見える化から価格化へー温室効果ガス算定・報告・公表制度(2025/6/10)として、報告してきましたが、後者はどんなものだろう? ということで、昨年内閣府に設置された、建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議、で本年4月に決定された、 「建築物のライフサイクルカーボン削減に向けた取組の推進に関する基本構想」という文書をすこし、勉強してみました。 ーーーー (「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」とは) ネット上の内閣官房のサイトに中に、標記連絡会議のページがあり、「建築物のライフサイクル全体において発生するCO2(ライフサイクルカーボン)の削減に関し、関係省庁が緊密な連携の下、必要な施策を総合的かつ計画的に推進するため、内閣に「建築物のライフサイクルカーボン削減に関する関係省庁連絡会議」が設置されています」との説明があります。
昨年11月と今年4月の2回会議が開催され、4月の会議で、「基本構造」が合意されています。 なお、1回目会議の配布資料の中に、資料6 建築物への木材利用の促進に向けた取組という林野庁が作成した資料が掲載されているので(右の図)、林野庁長官が説明したのでしょう (建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取組の推進に係る基本構想とは) 2回目の会議で合意された、とりあえずの合意事項、標記基本構想はネット上に掲載されています
本文の構成は4部構成、①建築物LCAの意義・目的等、②目指すべき社会像とアプローチ、➂建築物LCAに係る制度の構築に向けた取組等、④留意が必要な事項で、「概要」はそれに応じて4つの四角です (基本構想の趣旨目的:上の四角)) 我が国のCO2排出量の約4割を占める建築物分野の脱炭素化は、2050年カーボンニュウートラ実現にとって、重要な分野であり、建築物使用時の省エネ施策のみならず、ライフサイクル全体でのCO2排出量削減に取り組むことが必要です それで「建築物LCAに係る制度構築に向けて関係省庁が連携して実施すべき取組の方向性を示す」とされています。(上の四角最終行 「方向性」なので、実際に明日から何をするかでなく、明日から、こんなことを検討していきましょう、ということです。 (目指すべき社会像とアプローチ:左下の二つの青四角)) 建築物LCA(ライフサイクル分析)が一般的に実施されることにより、建築生産者や建材製造等事業者(森林や木材関係者がここにいます)の脱炭素化の取組を導く好循環が生み出される社会を目指す(以上が目指すべき社会像)のですが(上の青四角)、現状は、まだ建築生産者の取組は限定的(大手事業者が中心)だったりするので、「円滑に導入でき、実効性が確保できるよう、段階的に制度を構築」(下の青四角)します。 さてその中身は、右下の緑四角)ですが・・具体的なイメージがわくように、本文を見て行きます (基本構想の中の木材に位置づけ) 本文の「3.建築物LCAに係る制度の構築に向けた取組等」の中に、木材という言葉がでてくるのかな?とみてくると2か所にありました。 (1) 建築物LCAに係る制度の構築に向けた取組・算定方法の統一化 まず、標記の一番目ですが・・・本文9ページに以下のような記述があります ーーーー 建築物LCAについて、国際的な動向も見据えつつ、我が国の設計・施工等の実情も踏まえた統一的な算定方法を構築する。この際、木材利用による炭素貯蔵量の評価の在り方、削減実績量や削減貢献量といったGX価値(グリーントランスフォーメーション=温室効果ガス排出削減と経済成長の両立を目指す社会全体の変革)の上での価値)を有する建材・設備の評価の在り方も含めて検討する。
ーーーー 次に木材が登場する2つ目のセクションですが、本文11ページに以下の記載があります ーーーーーー ● 表示方法の統一化 建築物LCAの結果が投資家・金融機関や建築物利用者などにとって分かりやすく、また有意に活用できるよう表示方法を統一化する。統一化に当たっては、建材・設備製造事業者による脱炭素化の取組を可視化(削減実績量や削減貢献量といったGX価値の可視化等)するとともに、当該建築物LCAの結果の意味、木材等の炭素貯蔵効果など、建築物LCAの表示において表現すべき事項について検討する。
ーーーー (「基本構想」で示された作業の中で、問われるものは) 算定方法の統一化、表記方法の統一化の二つのセクションで、木材の炭素貯蔵効果、木材の製造過程輸送過程の他の建材と比べた二酸化炭素排出量の優位性の、を、わかり易く計算し、結果を標記する方法を検討する作業が、来年度と再来年度内閣府(全省庁が関与して)で行われるのですね。 いままで、林野庁を中心に森林関係者が積み重ねてきた、建築物への木材利用に係る評価ガイダンスなどの成果が問われることになりますね。 「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」林野庁が公表-木の利用を建築関係者がESGの視点から見える化する方法(2024/5/25) 当然その中で、どんな木材でも評価するのか?何故国産材だけが評価されるのか?CW法が規定する合法木材だけでいいのか?持続可能な木材に限定すべきでないか?・・・などなど、脱炭素社会にむけた森林木材関係者の智恵と覚悟が試されますね。 グローバルな視野でしっかり点検する必要があるでしょう。 このサイトでもしっかりフォローして参ります ーーーー junkan 10-25<kentikulccBP> |
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