「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」林野庁が公表-木の利用を建築関係者がESGの視点から見える化する方法(2024/5/25) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
3月に林野庁のサイトに「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」という情報が公開されました。 イントロにかいてあるのは・・・ 「ESG投資等において、建築物に木材を利用する建築事業者、不動産事業者及び建築主が、投資家や金融機関に対して建築物への木材利用の効果を訴求し、それが適切かつ積極的に評価されるような環境を整備することを目的として、国際的なESG関連情報開示の動向も踏まえながら、建築物への木材利用に関する評価分野、評価項目及び評価方法とともに、それらの評価・開示の例をまとめたガイダンス」 だそうです。 林野庁が過去の蓄積を広い建築ビジネス関係者に発信するツール 木材利用の環境的側面を見える化!輸送過程のCO2ウッドマイルズや、木材の持続可能性の評価どうなっているかな?勉強してみました。 (評価の全体像) 以下の表、左の3つの列がガイダンスp12に記載してある「評価の全体像」です。一番右に私のコメントが
評価区分は①カーボンニュートラルへの貢献、②持続可能な資源の利用、➂快適空間への実現の三つですね。順番に ((カーボンニュートラルへの貢献)) 一番最初の評価区分は、普通の建築関係者が最も興味を持ちそうなタイトル、「CNへの貢献」。 評価項目として①建築物のエンボディドカーボン、②建築物への炭素の貯蔵の二つが並びます。 ②の炭素固定話は、このサイトの関係者ならよく知っている林業経済研究所などで開発の手伝いをてきた、「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」の話が中心です。 さて、①の「建築物のエンボディドカーボンの削減」とは。建築分野のGHG排出量が世界の排出量の2割と言われているのでどうしよう。 環境に関心をもってきた建築関係者が一番気にしている、「新築・改修・解体時に発生するカーボン」のことをエンボディドカーボンという(とガイドラインp14右の図に書いてありますが解体時も含むって本当?-それはそれとして)とされています。 いろんな材料を組み合わせている建築物ですからそれらをすべて計算する手法(建築材料ごとの排出量原単位のデータべ―スなど)(p20)が、開発されていています。 ガイダンスには計算結果の事例として左の図のように、同じ3階建て構造物をつくった場合木造と、鉄骨造と、鉄筋コンクリート増で比べると、資材の調達過程のCO2の発生量の比較表などがのっています。(単位はトンーCO2)(p26) 各原単位データベースの中で木材関係はいくつあるといった情報は紹介はされていますが、計算過程などはのっていなく、木材の中で輸入材でなく地域材の方が排出量が少ないんですよ、というような情報は載っていません。 (資料編にすこし関連データがあります) 木造建築物を作る人は重要なので、この分野のデータベースを見て、もっと勉強してくださいね、というメッセージですね。ウッドマイルズフォーラムなどでこの周辺を歩いてきたので、今後チャンスがあればフォローします。 ((持続可能な資源の利用)) さていよいよ、木材関係者から建築関係者に向けた重要なメッセージです。木材を使うのはよいことですが、どんな木材を使ってもよいのではないですよー 当初の表にあるように、(1)持続可能な木材の調達(デュー・デリジェンスの実施)、(2)森林資源の活用による地域貢献、(3)サーキュラーエコノミーへの貢献という三つが、持続可能な資源利用の評価項目になっています。 (持続可能な木材の調達(DD)) 概要でクリーンウッド法の概要が記載され、以下の評価方法が記載されています。
さらに、1)については合法性が確認できる書類の例として、左図のようにリストが記載されています(p29)。 そして、「建築事業者等においては、持続可能な木材調達に当たって、木材の調達先の企業がこのような法令やガイドラインを踏まえた取組を行っていることを確認することが重要である。」といった説明もついています。 もちろん森林認証制度の説明もあるのですが、そうでない場合、クリーンウッド法に基づく場合に、現場で、本当に相手側の説明がしっかり理解できるのか? まして、クリーンウッドである木材とそうでない木材の比率を示す必要がある、と記載していますが。現場段階でこのようなことができるのか、不安があります。 もうすこしわかり易い、説明ができるシステムづくりや、分からない場合の相談窓口などが必要ですね。 また、「サプライチェーンにおいて 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を踏まえた人権尊重の取組が実施されていること。」という項目が入ったことは重要ですね。私もよく知りませんでしたが、ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁施策推進・連絡会議「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン <ダイジェスト>」.勉強していきます 右の表が掲載されている(p29)情報です 経産省のビジネスと人権~責任あるバリューチェーンに向けて~というサイトがありますが、その最後に、「ビジネスと人権に関する貿易投資相談窓口(JETRO)」「中小企業の人権尊重の取組の促進に関するお問合せ」といった問合せ窓口お情報が掲載されています。 繰り返しますが、クリーンウッド法も問合せ窓口が必要ですね (森林資源の活用による地域貢献 ) この欄では地域材国産材利用の意義として「建築分野において、建築物の所在地周辺の地域又は国内で生産された木材(「地域産材」又は「国産材」)を積極的に活用し、安定した需要を創出することは、その木材を供給する地域の林業・木材産業に安定的な雇用の機会と利益をもたらし、ひいては地域の社会経済全体の維持・活性化に貢献する。」という説明のあと、以下のような評価方法が掲載されています。
すべてを満たす必要はないという説明もつけられています 左が2番目の建築物木材利用促進協定ですね(p33) 3番目の産業連関表をもちいた波及効果について、以下のような説明があります。 ■木材利用による地域経済への波及効果 例示されている試算ツールは以下の3つです(p34)
面白そうなので今後勉強していきます。 (サーキュラーエコノミーへの貢献) 「サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、従来の3R(廃棄物等の発生抑制(リデュース︓Reduce)、 循環資源の再使用(リユース︓Reuse)、再生利用(リサイクル︓Recycle))の取組に加え、資源の投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものである」とされ(p35)、以下のような文献の紹介があります。 木造建築の循環性(サーキュラリティ)に関する国連の報告書2023)「Circularity Concepts in Wood Construction」. では建築物への木材利用について、以下のような点において他資材を利用するよりも循環的で持続可能であるとしている。 (ごめんなさい。重要な情報フォローできていませんでした) 評価方法な以下の通りです。
と説明が続きます。 ((快適空間の実現内装木質化による心身面、生産性等の効果)) 最後に、この評価分野ですね。 建築関係者が施主の生活空間やビジネス空間をを提供するビジネスをしているので、最後の締めとして重要ですね 評価方法は「建築物の用途等に応じて、訴求度が高い内装木質化の効果を示す。」という一行ですが、用途に応じた訴求の仕方について、左のようなわかり易い表がついています(p44)。 以上ガイダンスの説明です その他に具体的な事例が紹介されていて参考になります 興味のある方は是非、どうぞ→。(「建築物への木材利用に係る評価ガイダンス」公表-木の利用を建築関係者がESGの視点から見える化する方法(概要)、同(本編)、同(資料編) これを出発点に、建築関係者と木材関係者のコミュニケーションが進んでいくと良いですね。 このページでもしっかりフォローします。 junkan10-13<mokuriyouGD> |
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