電力会社が新たな森林業ビジネスに取り組む道筋ー山林購入の流れなど(2024/10/1)

9月中旬に山形県の森林業の事業地を取材して、米沢市で新電力開発株式会社(以下SDK)という会社の林業への取組についての説明を聞きました。

右の図が配布された資料の表紙にある事業全体図です。

タイトルは「SDKバイオマス発電ストラクチャー」

(SDKの事業展開の方向は、永続的な林業経営を展開し、林業問題の解決に寄与?!)

右上に「新電力開発株式会社」があって、「再生可能エネルギーであるバイオマス発電所燃料供給」とあり、それはそれでよいのですが、この全体像をみると・・・

SDKの下に同社が「伐採・植林業務を発注」する相手先会社(株)レックという会社(グループ会社)が記載されており・・・左側には「林業の現状及び問題点」、真ん中に「林業再生対策」と「山林の防災対策」という柱があって、その名称が「林業問題の解決!!」

ここに記載されているSDKという会社の事業展開の進むべき方向(ストラクチャー)は、再生可能バイオマス発電をやり始めますよ、というのでなく、永続的な森林再生を林業経営を行い、林業問題の解決に寄与します!!!、ですね

(低コスト再造林とー外国人労働者)

また、頂いた資料には新電力開発グループが「独自の戦略で植林を展開」といった資料もいだきました(左の図)。

隣町の白鷹町で聞いたばかりの、低コスト再造林プロジェクト。少し詳しい説明は、このサイトの別のページで紹介しますね。→低コスト再造林プロジェクトー再造林を補助金抜きてやる道筋

近隣の市町村で別のビジネスグループが林業をビジネス展開している・・・・すごい!!

それはそれとして、隣町のプロジェクトと少し違う新たな側面があるので、そこを説明させてください。

所有地の規模に関する問題点です。

(山林所有の集積へーと山林購入の流れ)

このプロジェクトを聞いていて、インパクトがあったのが、「山林購入の流れという説明書」でした。

隣町の白鷹町で物林とデロイトトーマツなどが地元の町と連携して展開している、事業については、山林所有者が財産区の所有林という規模の大きな所有林をベースにしているので、すこし、めぐまれた条件での事業展開だという気がしていました。

その問題をSDK社(レック社)は解決しようとしている!!

山林購入の流れは・・・

売却をしない方々の理由は、①先祖代々の土地であり、②木材の価値をがまだあるんでないか?、➂まだ周辺の人々が売却していないため、地域の流れに合わせてという三つの理由であると分析したうえで・・・

何を見て山林に値段をことができるのか?として、山林の評価には森林簿、林班図、現地調査の4つの要素が重要です。

そして、それぞれについて説明しています。

ご興味のある方は、説明書の内容は、PDFファイルにしてあるのでごらんください。

また、レック社のサイトには、山の買取という親切なページがあります。

このようにして、4年間で具体的な買取をした山林面積は4500~5000haだそうです(2024年夏現在)

森林を山林の購入を担当されているかたから、具体的な苦労話をふくめて、お話を伺いました。

そして説明の最後にインパクトがあったのは、「あの会社はいったい何なんか?」という不安をいかに解消させるのか?

もちろん地道なPR活動で、YBC山形放送ラジオ「人と木」が始まりました。週一回スポンサーとなっているんだそうですが、その他に・・・・

(あの会社はいったいなんだ?)

ということで最後のトピックスは、9月12日から16日まで、銀座の博品館劇場で上演している、「ひとときの舞台」という舞台

「木を植えるんだ、未来のために」
これは未来の地球と私たちのつながりを守る勇気と希望の物語
ー 環境保護と子どもの自立支援を描く舞台『チャーリー』

後援:東京都、林野庁

もう、銀座の上演はおわったのですが(説明を伺ったのは13日なので上演2日目でした。銀座上演のアーカイブ動画2週間ほど見られるチケットがあったので私も購入・・・)、これから全国をまわる計画なのだそうです。

近くの山林を購入しようとしているあの会社はなんなの?あの有名な舞台を主催しているレックエーシーとSDKみたいだよ!

(自律的な森林業を切り拓こうとしているこの会社の履歴ー何故出発点が山形県南部なの?)

SDCという会社はについて、坂口社長から直接お話を聞いたんですが、もともと太陽光発電を全国展開している会社で、次の展開として、株式会社レックというグループ会社を立ち上げて、森林ビジネスに本格参入、という局面のようです。

森林部門技術士会が定期的に刊行しているフォレストコンサルという雑誌(以下FC誌)の最新号(2040.09)の冒頭に坂口社長の「林業と木質バイオマス発電所の現状と展望」という論説(巻頭言)が掲載されています。、

出版元森林部門技術士会のご了解をえて(ありがとうございました)、内容を掲載させていただきます(→)
事業展開の経緯が詳しく説明されています

全国にネットワークを持つ会社が、何故、森林業をはじめるにいたって山形県南部の米沢市をベースにして事業展開をしようと決めたのか?といことにつて現地でも質疑がありました。

答えは以下の通りでした。

森林業を始めるにあたって場所を決める要素は二つ。一つは山林購入調査(林地価格山林価格の水準)、二つ目はバイオマス発電の立地可能性

山林購入調査:林地価格山林素地価格は、「全国各現地にて、林業者、バイオマス事業者、をご紹介いただき、実際の聞き取り調査を行っています。」という説明がありました。

太陽光発電を全国展開してきたネットワークのフル活用、なのでしょうね

2017年に行った調査結果が、前述のFC誌に「九州は木材需要が高く通年作業ができるので山林価格が高く、四国は急峻、首都圏近郊は平坦な山林はレク需要があり・・・」と東北地方に至った過程が掲載されています。

バイオマス発電の立地可能性:これには、①バイオマス発電所を建設する敷地が十分にあるか?②売電する電力会社の余裕(売電する場合、当該発電所から電力会社の持っている送電線まで送電する施設の負担金支払いをするが、その価格が条件によって違う、のだそうです)

現在山形県内に4つの2つの発電所を建設中、2つを建設準備中で、その中には、発電施設だけだなく丸太が分別管理されて、幅広い木材ビジネスの基地となる施設も入っています。工業団地内の撤退工場用地などを購入されていました。

新たな森林業が、既存のビジネスの代替として山形県南部地域の発展を支えていくのですね。

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是非、今後の発展をフォローしてまいります。

junkan10-19<SDK>

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