建築物ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルの公表(2005/6/19)


ウッドマイルズ研究会の目的には「木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)に関する指標の開発」とかかれていますが、このたび開催された研究会の第二回総会で、その正式版が公表されました。

ウッドマイルズによる建築物の評価事例が積み重ねられる基盤ができたことになります。
研究会が発表した、「建築物ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2005の公表にあたって」を掲載します。

また、マニュアル本文をこちらからダウンロードできます。
マニュアルを使う技術者を養成するための講習会が計画されています。(詳細はウッドマイルズ研究会までどうぞ

「建築物ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2005」の公表にあたって

ウッドマイルズ研究会は、「木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)に関する指標の開発と普及を行うこと」(会則第2条)という目的をかかげていますが、誰でもウッドマイルズ関連指標を算出できるような環境を整えるため、発足直後の03 年9 月に「住宅ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2003(日本版暫定案)」を発表しました。

また、その後、より信頼性のある公平なマニュアルづくりを目指すため「ウッドマイルズ関連指標およびツールの更新規程」を策定し、技術委員会の審議やパブリックコメントなどの過程を経るなどの手続きを定めました。今回、いろいろなご意見をふまえ、その手続きに従った最初のマニュアル「建築物ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2005」の作成が完了し、公開に至りました。

「住宅ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2003(日本版暫定案)」以降の改訂の概要については、以下のとおりです。

@ 住宅ウッドマイルズから建築物ウッドマイルズへ
地域材による住宅の推進ツールとして生まれた「住宅ウッドマイルズ」は、ウッドマイルズの概念の普及と同時に、その需要は学校や駅舎といった住宅以外の建築物や、ダムや治山工事へと広がりつつあります。そのような状況に対応するため、マニュアルの対象を住宅から建築物へ拡大し、表題を変更するとともに、関連規定を改定しました。

A「ウッドマイルズ関連指標およびツールの更新規定」策定の関連
より信頼性のある公平なマニュアルづくりを目指すため、「ウッドマイルズ関連指標およびツールの更新規定」を策定しました。公表されるマニュアルの改訂にあたっては、一定の順序を踏むことを定めたものです。今後は、この規定に基づき、運営委員会、技術委員会、パブリックコメントという審査手順を経て、マニュアル改訂が行われます。策定手続きがこの規定に基づきなされることを記述しました。

B「ウッドマイルズ関連指標算出技術者の認定規程」策定の関連
ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルによって導き出される指標について、正確かつ平等に評価を行うため、研究会の講習により一定の算出技術を取得した方に対して認定を行う「ウッドマイルズ関連指標算出技術者の認定規程」を策定しました。認定者によるウッドマイルズ関連指標の算出結果は、研究会が認定した数値として公表されますが、マニュアル解釈に際し、その公表結果を参照するなど、関連の記述をしました。

C「流通把握度」の整理
ウッドマイルズ関連指標の算出にあたって、木材流通のあいまいな把握に正確性を求めるべく、正確に把握している部分と、あいまいな部分とを明確に分け、その割合により一つの評価を与える「流通把握度」を規定しています。旧マニュアルでは、この割合の把握を、木材の量(材積)とウッドマイレージ(材積×輸送距離)の2 種によって区別していましたが、ウッドマイルズ算出において、木材の量のみの把握度は不必要であるという見解のもと、ウッドマイレージによる把握度のみにすることに整理しました。

D輸入材輸送距離暫定データ(別表1)の見直し
算出に暫定的に用いることができる輸入材輸送距離暫定データについて、研究会の調査研究の成果を踏まえ、ロシア材の原木輸入距離についての見直しを行いました。

E排出CO2原単位(別表2)の見直し
算出に用いる排出CO2 原単位(別表2)については、まだ研究途上であることから、今後もマニュアル改訂の主軸になることと予測されます。今回の改訂では、既往データの収集により、特に船舶輸送におけるCO2 排出量の原単位を、旧マニュアルの一律0.0212 s/m3・qから、内航船は0.02116 s/m3・q、外航バルク船(輸入丸太)の場合は0.00508s/m3・q、外航コンテナ船(輸入製品)の場合は0.01095 s/m3・q、へ細分化することに至りました。

F製品の歩留まり(別表3)の見直し
算出に用いる各製品の歩留まり(別表3)について、旧マニュアルではあいまいであった、合板の歩留まりについて、農林水産省のデータからより明確なものへ見直し、また同出典により、製材の歩留まりについても改訂しました。

今回発表する「建築物ウッドマイルズ関連指標算出マニュアルVer.2005」が、「建築物に使用される木材の輸送距離を短縮し、輸送エネルギーの削減や地域材利用の活性化」を願う多くの方々に利用され、皆様の活動の推進ツールとして、その力を発揮してくれることと期待しております。

今後とも、より信頼性のある、より現実的・機能的なマニュアルづくりを行っていくためには、認定技術者制度の発展や、評価事例の蓄積をはかってゆきますので、様々なご意見をお寄せ頂くようにお願いいたします。

2005 年6 月11 日
ウッドマイルズ研究会

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