1月15日に日本エネルギー学会バイオマス部会が主催する第三回バイオマス科学会議が京都で開催され、その中の「バイオマスバイオ燃料の持続可能性」というタイトルのパネル討議に参加する機会がありました。
科学者会議のプログラムに並んだ研究発表リストを見ると、当該分野は資源、政策、技術の三つの分野に分かれるようですが、ガス化、液体燃料、マテリアル変換といったバイオマス資源利用の利便性・効率性を図るための技術的な課題についての報告が並んでいます。
地球温暖化問題を背景にして、バイオマスブームというべき状況の中で、エンジニア系の研究が活性化していることを示していますが、それらの研究者が、食糧をエネルギー資源とすることの問題点、バイオマス資源の持続可能性について社会的な関心を持ち始めていることに対する対応です。
会議の概録はこちら
「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」 |
[司会・モデレータ]松村 幸彦(バイオマス部会幹事、広島大学 教授) [パネリスト] 匂坂 正幸 ((独)
産業技術総合研究所 ライフサイクルアセスメント研究センター) 森本 慎一郎 ((独)産業技術総合研究所 技術情報部門) 泊 みゆき (NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク)
藤原 敬 ((社)全国木材組合連合会 常務理事)
木質バイオマス資源の供給過程での環境負荷の評価について
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[趣旨] |
近年、バイオマスの持続可能性についての議論が重視されている。バイオマス利用は、再生可能、
炭素中立という特徴に基づいて持続可能な社会のマテリアル・エネルギー源として期待されているが、プランテーションのための肥料の生産、
森林の伐採、輸送に伴う燃料消費などから、その持続可能性が改めて問い直されているためである。生産、加工、輸送、利用の流れの中で、エネルギー、
温室効果ガス、生物多様性などの持続可能性をどのように評価し、判断するべきかを、バイオマスの持続可能性について
検討を進めている各分野のメンバーの意見を踏まえて議論する。 |
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「木質バイオマス資源の供給過程での環境負荷の評価」についてというタイトルで報告しました(概要はpdfファイル)。
建築材料としての木質バイオマス(木材)で先行している森林認証制度を紹介するとともに、輸送過程の環境負荷と、世界の森林とバイオマス供給力、について検討してみました。
(木質バイオマス燃料の輸送距離の環境負荷の推定)
木材チップは石油と比べると、エネルギー密度は4-5分の1(単位重量当たりであり単位容積当たりとするとさらにその差は拡大する)であり、このエネルギーを使って自動車輸送した場合、木材チップでは2700キロメートルを超えると、輸送エネルギーを負担できなくなる。その上製造過程でエネルギーが必要なので、カーボンニュートラルといっても遠距離を運ぶ場合、大きな負担となります。
発熱量を100とした場合、加工過程で10のエネルギーを使い、輸送過程では、20から35程度のエネルギーを消費することにり、木質バイオマスエネルギーを供給する場合、可能な限り地場産の原料を使用することの重要性がります。
この部分の内容は、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)が最近公表したバイオマス白書に投稿しました。(こちらから)
(本サイト内「輸入材ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支」参照)
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