FIT/FIP制度におけるバイオマス燃料のライフサイクルGHG排出量の既定値について(案)に関する意見募集について(2023/1/15) (2023/2/1改訂) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
木質バイオマス燃料を使った発電支援のシステムFITに関して、バイオマス燃料の環境負荷に関する標記の意見募集がかかっています。
FIT/FIP制度におけるバイオマス燃料のライフサイクルGHG排出量の既定値について(案)に関する意見募集について
このページでも気にしてきた、バイオマス燃料を供給する過程で排出される温室効果ガス(ライフサイクルGHG)問題。 固定価格買取制度(FIT)におけるバイオマス発電に、ライフサイクル全体での温室効果ガス(GHG)排出評価の導入を! 政府としてもその重要性を認識し、バイオマス持続可能性ワーキンググループで2019年以来4年がかりで検討した結果、いよいよそれが導入される!という重要な文書なので、読んでみました。 62ページにおよぶ文書です。みなさん、読んでコメントしましょう!という気持ちなのですが、結構読みにくいので、少し解説しますね。 (既定値とは) 大切な文章なのですよと訴えるとにき、一番大切なのがタイトルですね。「ライフサイクルGHG」は前述のように、供給過程で発生する温室効果ガスですが、既定値とは? それを知るには、発電事業者の立場にたって、燃料である木質バイオマスのライフサイクルGHG問題を考えてみましょう。 環境貢献のためのFIT制度ですので、どんな履歴の原料なのかは、けっこう説明責任が要求されています。 が、それぞれの原料の調達過程のGHGを算出することが要求されるとすると、例えばチップだったとすると、①チップの原料が製材端材、林地残材、そうではなくて、(間伐材された)の立木の由来なのかを明快にして、②立木だと、上の図のように、立木の育林過程(栽培)と伐採過程、チップ工場までの輸送過程、チップへの加工過程(破砕)、チップの乾燥過程、チップの発電所までの輸送過程、それらのGHG排出量をすべて、明らかにしてすべて総計してチップ1トン当たりのGHG排出量(MJ燃料)を計算し、③そして、単位発電量当たりのGHGを計算するために、チップを1トン燃焼させれば、何MJの発電されるのかを計算して、②の数字を③の数値で割る(MJ電力)という手続きが必要です。 そんなことできないから、FIT発電はやめよう、とならないように、すこしサポートしようというのが、「既定値」の考えです。 特に上記の②の過程、普通立木の育林過程で、どれだけGHGがかかる、輸送過程は?加工過程では?など、「通常ならこれくらいかかります」という数値が既定値です。 もちろん、自分で計算してもいいのですが、それが面倒な場合、既定値をつかってもよい(安全側に見ている数値)、 みんなが使いたがる既定値。その数値と、算出過程を記載したのが、この文書です。 (文書の全体構成) 文書の位置づけはわかったとして、関心のある方は是非お読みください。 とりあえず、目次で全体構成がどうなっているのかを、紹介します。 左が目次。 Ⅱは農産物なので、おいておき、木材に直接関係あるのはⅢの輸入木質バイオマスのライフサイクルGHG既定値と、Ⅳのその他のバイオマスのライフサイクルGHG既定値のうちの、1国内木質バイオマスの既定値、2同計算過程です。(なぜ、国産がその他なの?) ここでわかるように、既定値の算出結果が記載され、それぞれの計算過程が記載されています。 (GHG既定値の計算結果) 既定値はどんな数値? 既定値の数字は、上記に②でしめしたような、それぞれの輸送加工過程ごとに算出されています。 いろんなケースがあるんですが、平均的な数値をいれて、燃料の供給過程全体を計算してみると、以下の表のようになります。電力を1メガジュール発電するのに必要な燃料を発電所に供給するまで、種類によって 輸送距離は注にかいてあるように、北米からの輸入(輸送距離9000キロ)、国産材は山から工場まで50キロ、工場から発電所まで50キロを仮置き。 乾燥過程は天然乾燥という選択肢もあるのですが化石燃料を使った人工乾燥の場合で仮置き。
上記の表の作成過程のエクセルファイルをこちらに置いておきます。 (わかりずらい?これ本当) といっても、今回公開された文書に掲載されている既定値をつかって、上記のような計算はできるんですが、既定値の算出根拠の説明が少しわかりづらいですね。 たとえば、林地残材と、伐採木材の違いなんですが、伐採木材の方はどうも育林過程伐採過程の排出量を加味しているので、林地残材より排出量は多いはずだと思うのですが、上の表にあるように輸入材の場合伐採木材の方が林地残材より少ない、など、よくわかりません。(欧州での伐採現場の仕組みが解ればわかるかな?) (どの程度のインパクトがあるの?) この数値をがどの程度の影響をあたえるかですが、2021年度の経産省バイオマス持続可能性ワーキンググループで提示された、バイオマス発電のGHG基準は、2030年の化石燃料を使う火力発電の加重平均、180g-CO₂/MJ電力を比較対象として、新規認定にバイオマス発電のGHG排出を2030年までは50%減、2030年以降は70%減を求めるというものだとすると180g-CO₂/MJ電力の70%減は、54g-CO₂/MJ電力です(これが30年以降のハードル、それまでは半減なので90g-CO₂/MJ電力)。 (この後は不正確かもしれませんー今後確認します) さて、この電力を発電するのにどの程度の燃料を燃焼させなければいけないでしょうか?これが発電効率という考えのようですが・・・バイオマス燃料を100Mj発電機で燃焼させると20Mjの電力が発電されると発電効率は20%。 54g-CO₂/MJ電力というハードルは、20%の発電効率だと1MJの電気を発電するの5Mjの燃料を燃やす必要があるので、原料の供給過程のGHGが11g-CO₂/MJ燃料以上になるとブーブブー(FITの支援はだめ)になります。そして90g-CO₂/MJ電力は18g-CO₂/MJ燃料ですか。(本当?) 上の表の既定値で計算した結果と比べるとペレットを発電に使うのは難しくなるんでしょうか? 多分チップよりペレットの方が発電効率がよい(多分)ので、すこしハードルがかわってくるかもしれせんが、いずれにしてもすこし、しっかり管理をしていかなければならなくなるかもしれません。既定値でなくしっかり自分のサプライチェーンを検討してみる必要があるのかも 結論の部分がよくわからなくなってしまいましたが、今回の文書を読んだ私の感想です。 ー--- それではパブコメは? 1月23日ぎりぎりのタイミングで、以下の二つについて簡単な意見を提出しました。(→こちらにおいておきます) 「林地残材由来」バイオマス、「その他の伐採木材由来」のバイマスの比較(少しわかりづらいんではないですか) ー--参考12月15日の時のメモ 数値の根拠が今一つわかりにくいので、もう少し計算過程を公開してください、という意見を提出することとします。 パブコメですから、専門家が文書を読んで、「ここが違うからこのように訂正すべき」というコメントが期待されている?かもしれませんが、「大切なので読んでみましたがいったいタイトルの期待値とはなにかもわからない、わかりづらいのでしっかり解説して、もういちでパプコメをしてうださい」「その点勉強部屋の解説はためになりました、参考にしてください」というパブコメでもよいかも? ごめんなさい、最後までよんでいただいて、しまりがなくてすみません。 energy1-43<fitGHG> |
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