エコマテリアルとしての木材、国産材 ライフサイクルアセスメントと木材への導入

三重県からの要請で行った「地球環境と熊野地域の林業」という報告を準備の過程で、色々資料をあさっていて、エコマテリアルとしての木材、そして輸入材の輸送エネルギーについて考えさせられました。

ご案内のように、木材の製造過程で消費されるエネルギーは鉄やアルミニュームなど製造過程で高熱処理しなければならない殆どの競合材に比べて圧倒的に少ないとが知られています。

具体的データとしては、九州大学の大熊幹章教授が作成された 鉄266000メガジュール/M3、アルミニューム1100000MJ/M3、コンクリート4800MJ/M3、に比べ人工乾燥木材は1390MJ/M3、天然乾燥木材750MJ/M3が公表され、木材利用促進の資料などに引用されているところです。

ところで、最近同じ献立を輸入食材で作った場合と国産食材で作った場合の輸送エネルギーの比較表というのを目にしました。日科技連出版社で最近出版された「地球の限界」という本です。

森林分野は熊崎先生がお書きになっているのですが、「地球はどれだけの人間を養えるか」というタイトルの食糧分野の章は國學院大學の古沢教授他が執筆されています。

その中に、

食材産地と輸送エネルギー(kcal) と言うのがあります。

メニュー 海外産 国内産
ごはん(52g) 米国 東北
焼き鳥(120g) タイ 東北
野菜付け合わせ(33g) 韓国、メキシコ、米国 関東
くだもの(80g) 米国 東北
輸送エネルギー合計 691.0 86.5



古沢先生に連絡をとってデータの出所などを教えていただきましたが、輸送距離は理科年表による東京都各国の首都の距離、輸送エネルギーの計算は日本エネルギー経済研究所の推計による輸送エネルギー消費原単位(エネルギー経済統計要覧に掲載)だそうです。

それでは、輸入木材の場合はどの程度になるのか、大熊先生にもご相談して試算して見ましたが、ざっと5000MJ程度となるようです。

製造エネルギーが1300MJ程度に対してその3−4倍のエネルギーを輸送過程で消費すると言う結果です。

もう少しデータの整備をして、また、ライフサイクルアセスメントという大きな概念の中での位置付けをしっかり行って、この問題を少しフォローしてゆきたいと思います。すこし、手が広がりすぎかもしれませんが、今後、第四の部屋の中で「ライフサイクルアセスメントと木材」といったセクションを作ってゆきたいと思います。

そんな分野の研究結果や参考書があれば教えていただけますか。

なお、ライフサイクルアセスメントについては、化学工業日報社ライフサイクルアセスメントの実践、社団法人資源協会「家庭生活のライフサイクルエネルギー」というおもしろそうな本がでていますので、紹介します。

(2000/2/6)


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