世界林業会議の中の木材利用拡大ー我々の生活に持続可能な森林から木材を(第二セッション)(2015/9/26)

木材利用の拡大という課題をテーマとする分科会が8日に開催されました。タイトルはSession 2. Bringing wood from sustainable forests to our home and life我々の生活に持続可能な森林から木材を

今回の会議はペーパーが配布されるのでなく上映される画像を見ながらの言葉によるプレゼンテーションなので、正確に内容を伝えるのは難しいのですが、講演者に連絡をしてデータをもらうなどして、順次報告をしていきます。

基調報告1 Mr Michael Green Principal - Architect Michael Green Architecture (MGA)
基調報告2 Mr Antti Marjokorpi, Head of Forests, Plantations and Land Use, Global Responsibility Stora Enso
日本からの報告  Mr. Shuji Oki、Deputy Drector General of Japanese Forestry Agency 林野庁沖次長

  セッションの基調報告は、
Mr Michael Green
Principal - Architect
Michael Green Architecture (MGA)

大規模木材パネル(CLT)の開発で30階建ての木造ビルが可能になったと、本人もその設計に取り組んでいる、木材利用推進の第一人者

なぜ高層ビルを木材で立てることが可能で、する必要があるのか?

高さだけでなく量が問題

木材でできたエンパイヤ―ステートビルの絵から始まるプレゼンテーションは素晴らしかったですが、配布資料もなく本人にプレゼンテーションのデータの提供をお願いしています

それまで、こちら↓に別の機会のプレゼンテ-ションがあるのでご覧ください↓
マイケル・グリーン「なぜ木材を使って高層ビルを建てるべきなのか」

今回のプレゼンの一部
←なぜ、木材なのか?

@太陽で育てられた建材、A再生可能、Bカーボンフットプリント、エネルギーフットプリントが最少、C優しく美しい、D室内環境が健康的、E耐震性、F手軽で施工性がよい、G地方の森林経済を支援、H最後には木材燃料になる
  
 
 
   
  もう一人の基調報告者はヘルシンキに本社があるフィンランドとスウェーデンの木材・製紙産業の大手企業ストラエンソ社の担当部長
Mr Antti Marjokorpi
Head of Forests, Plantations and Land Use, Global Responsibility
Stora Enso
プレゼン資料をおくっていただきました。こちらに置きます
   2025年には人口が80億人に
そのうち70%が都市地域に在住

このまま進めが2025年に地球が二ついる
   新たな解決策を必要としている時代の変化
変化を主導している三つの要因
・住宅着工
・大都市地域への大規模な人口移動
・持続可能性と気候変動への意識の高まり

 −資源の減少と気候変動が再生不可能資源から代替を求めている
 −環境の情報開示の要請
 −炭素排出・安全性への意識の高まり
 −再生可能なエネルギ^-への需要の高まり
   
   日本の林野庁沖次長のプレゼンせ-ション

進行役のルパート・オリバー様、ありがとうございます。
私は沖修司と申します。日本の林野庁の次長を務めております。本日は、この世界林業会議の場で発表する機会を与えていただいたことを光栄に存じます。
本日は「日本の森林と木材利用について」お話しさせていただきたいと存じます。
   日本の木造建築、日本の森林資源の状況、木材の利用拡大の取組などについてご説明いたします。
   1.日本の木造建築について
(1)我が国には、多くの木造の歴史的建造物があります。
左の写真は、7世紀に創建されたという世界最古の木造建築物である法隆寺の五重塔です。
 

(2)今日では、高層建築は基本的に非木造ですが、国民は木造住宅を好んでおり、戸建て住宅の8割が木造です。
2011年の大震災に見舞われた地域でも、右側の写真のように木造住宅が以前のように再建されています。
<次のスライド>
   2.日本の森林資源について
次に、我が国の森林についてお話しします。
森林面積は25百万ヘクタールであり、森林率で見ると、フィンランドやスウェーデンとほぼ同じ約70%を誇っています。
蓄積は49億立米です。この50年間に、森林資源は2.6倍に増加、人工林に限ってみると5.4倍にまで増加しました。
なお、近年においては、年間1億立米ずつ、森林蓄積が増加し続けており、大変すばらしいことです。
    3.木材需給について
次に、我が国でどれだけの木材が使われているか説明したいと思います。
総需要量は、丸太換算で74百万立米です。真ん中の正方形の図が示すとおり、主な用途は製材、合板、製紙用のパルプチップです。
一方、右の円グラフが示すとおり、供給量の7割が海外からの丸太あるいは製品での輸入であり、国内の森林資源からのものは約30%の21百万立米です。
森林の蓄積は毎年1億立米増えていますが、毎年使われているのは21万立米であり、2割に過ぎません。森林資源が十分活用されていないことが今日の大きな問題です。
   4.木材利用の意義について
ここで木材利用の意義について触れたいと思います。
この絵は、林業生産と木材利用の関係を説明するものです。林業生産がなければ、木材の安定供給は期待できません。木材が利用されなければ、林業のサイクルも回転しません。林業生産と木材利用はお互いに支え合う関係にある、依存する関係にあることを理解しなければなりません。
さらに林業生産が適切に継続されなければ、多面的機能も適切に発揮されないでしょう。
前に説明しましたが、我が国の森林の蓄積は増えていますが、活用されている量があまりに少ない状態であり、木材の新たな需要先を開拓し、木材利用の拡大を図ることができれば、これは林業や農山村の活性化に資するものでもあります。
   どこに新たな木材ニーズがあるのか?
アパート等の共同住宅や公共建築物等の非住宅分野では木造率が低い傾向にあります。
このため、中高層建築の木造化を可能とする部材の開発に取り組んでいます。
また、長い間、公共建築物は非木造という基本方針でしたが、この考え方は2010年の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の制定によって変更されました。公共施設に可能な限り多くの木材を使うことが新たな方針です。
全府省、全都道府県、そして市町村においてはその約85%において、木材利用の方針が策定されています。
今後は、木造率が特に低い、残りの都市部の市町村に焦点を当てて、木材利用の方針が早期に策定されるよう促す必要があると考えています。
また、最後に、違法伐採木材やその製品は使わないということが政府の調達の基本方針であることをこの機会を利用してお伝えしておきたいと思います
   7.木材加工技術の開発・普及について
このスライドはCLTの開発や耐火部材の利用に関する取組を説明しています。
CLTは、我が国においても大きな関心を集めており、実大試験も行われています。
 また、耐火集成材も開発されており、それを利用した大型の商業施設も建設されています。
 さらに2x4製材やLVLの活用も進められています。
   8.結びに
スライドには既に申し上げた要点をまとめております。
改めて説明いたしませんが、木材利用は林業を持続させていくために必要ですし、さらにいえば、森林の多面的機能を適切に発揮させていくためにも必要です。これは私の信念でもあり、また我が国で共有されている考え方です。
木材利用の促進は持続可能な森林経営に不可欠なものである、あるいは、一体のものであると申し上げて、私のプレゼンを終わりたいと思います。 <次のスライド>
ご清聴ありがとうございました

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