同時多発テロ以降初めて開催される今年の主要国サミットは、カナダの観光地ウィスラー(外相会議)とカナナスキス(首脳会議)で6月中旬に開かれましたが、これらの会議で森林問題が議論されましたことはあまり報道されませんでした。
4年前のバーミンガムサミットで開始された森林行動プログラムの最終報告が外相会議の議題になりました。
この計画は、国連での国際的な枠組みづくりが今ひとつ進展しない中で違法伐採問題など5つの課題を取り上げて国際共同活動の弾みを維持しようと始められました(というのは小生の理解です)ものですが、このプロジェクトが公式の活動の幕を閉じました。
外相会議における「最終報告」と詳しい「背景説明文書」が日英二カ国語で公開されています。
我が国の森林林業基本法の国際的な位置づけや、日本の援助プロジェクトが各国のプロジェクトとともに8Gという枠組みで評価されているのは興味のあるところです。
この計画が違法伐採問題や認証問題などの議論を進展させた役割は大きかったといえます。
ただし、国際政治の中ではもっとも強力なフレームワークである主要国サミットの場でも国際的な森林条約などといった枠組みに具体的な展望をつけることができなかったともいえます。
具体的なターゲットを明確にしない行動プログラムが目に見える成果を生み出さない、というのは10年前の熱帯林行動計画と似ているところです。
とはいえ、以下に引用する、最終報告の結論の部分は、世界の主要国の森林問題に対する今後のコミットを表明しているもので、森林関係者としてはいろいろ使い道のあるフレーズだと思います。
G8各国は以下の事項について約束する。
- 森林関連問題を、国内的にも国際的にもハイレベルの重要課題として維持する。
- 森林に関する政府間パネル及びフォーラム(IPF/IFF)行動提案を実施させるための国連森林フォーラム(UNFF)行動計画や、生物多様性条約における森林の生物多様性に関する拡大作業計画などの、国際的なコミットメントを果たす。
- あらゆる資金源を活用し、持続可能な森林経営に向けられる資金レベルを高める。
- 違法伐採や、違法に伐採された木材及び関連製品の使用に対処する。その観点から、
(イ) |
違法伐採の排除に取り組むための人材育成及び技術移転を増大させる。 |
(ロ) |
違法に伐採された木材及び関連製品の輸出入を排除するために様々な行動をとる。 |
(ハ) |
森林法規の実行及び行政に関し、現在行われている取組を支援する。 |
- 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において森林の重要性を強調する。依然として森林経営に深刻な課題を抱える世界の各地域での取組みのために、新規で革新的なパートナーシップが必要であることを示す
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G8森林行動プログラム関係資料
2002年(ウィスラー・カナナスキス会合関係) |
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- G8森林行動プログラム−最終報告書
(英文)、(和文仮訳) (以上外務省ホームページより)
- G8森林行動プログラム−背景文書
(英文)(外務省ホームページより) (和文仮訳)[HTML] [PDF] 表紙[PDF](以上林野庁ホームページより)
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2000年(九州沖縄会合関係) |
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森林行動プログラム実施状況報告書 英文、和文(pdf) |
1998年(バーミンガム会合関係) |
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森林行動プログラム 英文(ウェブ版、PDF版) 和訳 |
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