10月18日〜23日に、アルゼンチン共和国のブエノスアイレスで、第13回世界林業会議が開催されました。森林問題が地球環境問題になるずっと以前、1926年から開催されている伝統ある国際会議です。
地球環境時代に対する、伝統の森林関係者のメッセージがどんなものか、興味のあるところです。
林野庁のプレスリリース
IISDによる世界林業会議の毎日の日報(英文)
世界林業会議の大会最終日に「ブエノスアイレス宣言」が採択されました。、
本文はこちら(英文/FAO林業委員会関連報告に収録)
9のFINDINGS(知見)と27の戦略的活動が記載されています。
FINDINGSの冒頭は、「長すぎる期間、森林の課題は森林関係者の間でのみ議論されてきた。それなりの成果はあったが、今後の課題に挑戦するため、より包括的な対処が求められている。」と語られています。
27の戦略的活動について、以下に抄訳します。
- 森林に対する悪影響を軽減するため、地球的、地域的、国家的、地方的レベルにおいて、気候変動、生物エネルギー、水、生物多様性、食糧確保そして貧困の緩和など重要な課題について、分野を超えた活動を始める。
- 森林に対する政策と活動に関与するため、分野を超えたモニタリングと報告の仕組みを実施する。
- 地域の土着の知識を重要な情報源として、持続可能な森林経営についての地球規模の情報蓄積に活かすための革新的仕組みの創設
- 森林の知識と社会の関係の強化、特に地域の指導者を政策形成に活かす仕組み
- 地方的、国家的、地球的レベルで、森林の所有者、森林の機能を管理するための森林所有者や地域の関係者に財政的なインセンティブを与えるため、森林の新しい価値を創設する仕組みの開発を強化する。
- REDD課題に特に注目し気候変動関連のメカニズムに第一の優先順位をおく。
- 森林と水の効果的な管理のための統合的な政策と戦略の開発する努力を傾注する。
- 植栽された森林の経済的、社会的環境的な重要性を認識する
- 劣化する森林の保全はじめ荒廃した景観に対する活動に焦点をあてる。
- 植栽された森林の生産性を地域レベル景観レベルで維持改善するための技術開発を実施する。
- 森林、農地、エネルギー産業に係る予期せぬリスクを回避するための持続可能な枠組みという政策の中で、燃料林を発展させる。
- 持続可能なバイオエネルギーについての政策を実施する
- 第2世代の技術(注1)を含むバイオマスの代替利用と効果的な生産についての技術開発を実施する。
- (注1)糖質、デンプンなど可食資源を原料した第一世代に対して、セルローズなど非可食資源を原料としたバイオ燃料を第2世代バイオ燃料という
- 森林を利用した炭素貯留機能を強化する方策及び気候変動に対応した新たな森林管理の手法を開発し、それを幅広く実行する。
- 気候変動交渉に、科学的に証明され普及された見識を提供する
- 森林造成に関するCDMルールを簡素化し、REDD+を実施する
- 森林に対する地域住民がのニーズが国際的な気候変動の交渉において尊重され反映されるよう主張する
- 気候変動への適応及び生態系、経済、社会に対する影響に関する研究の推進
- 生態系の活力、気候変動・人間の影響への適応力を改善し、地域住民の食料、生活を含む生態系のサービスrを維持するため、分断された生態系を保全する
- 林業に関連した活動による砂漠化防止への努力の改善
- 森林産業に対する法的枠組み政策の創設
- 新たなクリーンな技術、森林製品に関する研究の推進
- 法令を強化する林業の制度を作る能力、国や民間レベルで持続可能な森林を促進するため、すべてのレベルのガバナンスを改善する
- 公式非公式を問わず、助成の役割の価値を求める制度の提供する
- 拡大する森林分野において安全で効率的な労働環境と従事者の技能の向上
- 地域の住民の利用、管理の権限を認める条件で土地所有改革の推進
- 林業分野いおける革新的な投資市場開発のを利用し、国家の林業計画に基づく財政的な戦略の構築
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気候変動枠組み条約のCOP15直前ということもあり、「気候変動問題のメカニズムに第一の優先順位をおく」としているところが全体の特徴ですが、森林関係者の責務としてローカルな住民の権利や貢献を責任をもって外部に発信し、他分野から仕掛けられる地球環境のフレームワークの中に、明確に位置づけ統合するのか、といったところでしょうか。
その他に「世界林業会議からの気候変動COP15へのメッセージ」が採択されました。
大会のホームページから当該ページ(英文)
また、モントリオールプロセスとしてサイドイベントとブース展示がされ、モントリオールプロセスの日本の第二回国報告書が会議で報告されました。英文と和文の報告書全文がこちらの掲載されています。
chikyu1-17 <WFC2009>
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