国連森林戦略計画2017-2030ー国連での最初の森林に関する戦略計画ー(2017/7/23、7/25修正)

 

1月に開催された国連森林フォーラムUNFF特別会合において「国連森林戦略計画2017-2030」(United Nations Strategic Plan for Forests 2017-2030:UNSPF)及び「4ヶ年作業計画2017-2020」(Quadrennial Programme of Work:4POW)が採択され、国連経済社会理事会(ECOSOC)の提案で、4月27日の国連総会で採択されました。

General Assembly Adopts 2 Resolutions Establishing Six-Point Framework for Halting Deforestation, Forest Degradation

決議された文書
71/285. United Nations strategic plan for forests 2017?2030
71/286. United Nations forest instrument

林野庁関連ページに掲載されてる原文と一部和訳

地球サミットで森林条約を創ることができず、その後の合意をもとめて議論が進められましたが、現時点での到達点となる文書の一つです。

(国際森林条約への経緯)

1992年の地球サミットで国際森林条約が実を結ばなかったことから、「国際的な取決め及びメカニズムの検討」という議論は1995年から97年までの政府間パネルIPF、97年から2000年までの森林政府間パネルIFFとそれぞれタイムリミットを設けて受け継がれましたが、結論がでず、2000年の国連持続可能委員会(CSD)いおいて、さらに5年以内に結論を出すべく国連森林フォーラムUNFFが設立され2005年に開催されたUNFF7での決議に基づき、2007年の国連総会でNon-legally binding instrument on all types of forestsが議決され、法的拘束力のある取り決めはUNFF11が開催される2015年まで先送りされてきました。

今度こそ国際森林条約はできるのかー国連森林フォーラムUNFF10の結果(2013/4/29)

2015年に開催される第11回会合で一定の方向を決めようと作業をしましたが、UNFF11ではそのターゲットを2030年まで伸ばすことがきまり、この結果に基づき、2015年12月に国連の森林措置(United Nations forest instrument)という文書が決議されています。

国連森林フォーラム第11回会合(UNFF11)の結果と来年の森林林業基本計画2015/7/26)

また、UNFF11決議「2015年以降の森林に関する国際的な枠組」では、2017年から2030年までを計画期間とする戦略計画及びその実行を担保するための4ヶ年計画を策定することとされ、その結果が、この文書です。

前述の林野庁関連ページに掲載されてるものかが概要を見てみると

(UNSPFの骨子)

 I. はじめに
A. ビジョン及びミッション
B. 人々と2030アジェンダにとっての森林の重要性
C. 傾向及び課題
D. 持続可能な森林経営の活動を拡大させ、価値を向上させる絶好の機会
E. IAF

II. 世界森林目標及びターゲット
世界森林目標1
保護、再生、植林、再造林を含め、持続可能な森林経営を通じて、世界の森林減少を反転させるとともに、森林劣化を防止し、気候変動に対処する世界の取組に貢献するための努力を強化する。
世界森林目標2
森林に依存する人々の生計向上を含め、森林を基盤とする経済的、社会的、環境的な便益を強化する。
世界森林目標3
世界全体の保護された森林面積やその他の持続可能な森林経営がなされた森林の面積、持続的な経営がなされた森林から得られた林産物の比率を顕著に増加させる。
世界森林目標4
持続可能な森林経営の実施のための、大幅に増加された、新規や追加的な資金をあらゆる財源
から動員するとともに、科学技術分野の協力やパートナーシップを強化する。
世界森林目標5
UNFI等を通じ、持続可能な森林経営を実施するためのガバナンスの枠組を促進するとともに、森林の2030アジェンダへの貢献を強化する。
世界森林目標6
国連システム内やCPF加盟組織間、セクター間、関連のステークホルダー間等、あらゆるレベルにおいて、森林の課題に関し、協力、連携、一貫性及び相乗効果を強化する。

III. 実施の枠組
A. 役割及び責任
B. 実施の手段

IV. 評価の枠組

A. IAFの評価
B. UNSPFの進捗
C. 2030アジェンダのフォローアップ及び評価への貢献

V. 広報及び普及戦略

以上がUNSPFの骨子です。

UNSPFの役割及び責任には、各国に対して「UNFFのメンバー は、各国の事情、 政策、優先事項、能力、発展水準、森林の状況等を考慮し、任意で世界森林目標及び ターゲットの達成に向けた自身貢献を定める」(パラ30)とされており、その報告が積み重ねられるという、息の長い仕事に取り組むことになるようです。

chikyu1-36<UNSPF2017-2030>

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