9月10-11日開催された環境経済・政策学会2016年大会で、拓殖大学原嶋洋平氏により、標記の報告され、藤原が討論者となりました。
1994年に設立された世界貿易機構WTO、2015年に締結された環太平洋経済連携協定TPPなど貿易協定での、環境に関する議論が活発になったのは、「経済のグローバル化が及ぼす環境への負の影響を排除する」という、環境サイドからの議論がきっかけでした。
貿易と環境の問題が一躍注目を浴びることとなったきっかけとして、1991 年のキハダマグロ事件があげられる。この事件は、イルカの混獲率が高い漁法で漁獲したメキシコ産マグロに対して米国が輸入禁止措置を発動したものであるが、メキシコの提訴を受けて下された、米国の主張を退けるGATT
パネルの判断に対して環境保護団体が強く反発し、貿易と環境の問題が政治問題にまで発展した。
環境省(2002)貿易自由化の環境影響評価に関する調査報告書、第一章貿易と環境問題とは |
勉強部屋としては、NGOからの批判にWTOが反論する形で公開した、WTO貿易環境に関する特別報告 — October 1999の以下の言説に大変影響され、勉強部屋でも環境と貿易のセッションを設けて追いかけてきました。
InIn short, trade is really not the issue, nor is economic growth. The issue is how to reinvent environmental polices in an ever more integrated world economy so as to ensure that we live within ecological limits. The way forward, it would seem to us, is to strengthen the mechanisms and institutions for multilateral environmental cooperation, just like countries 50 years ago decided that it was to their benefit to cooperate on trade matters.
Page7, WTO “TRADE AND ENVIRONMENT”
Special Studies 4 (in 1999)
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一言でいうと、貿易や経済成長が問題なのではない。真の問題は、かつてなく拡大統合化する経済の中で、地球環境の制約をう生きていくため、どのような環境政策(持続可能な森林政策)を構築するか、である。次の一歩は、多角的な環境協力の枠組み(国際森林条約)をいかに構築するかにかかっていると、我々は考える。50年前に貿易問題で協力することが我々の利益になると決断したように。
WTO貿易と環境に関する報告章7ページ |
原嶋氏の報告中から、最近のTPPの動向をみると、この対立状況は「環境ガバナンスのグローバル化のツールとして貿易措置が便利」というwin-winの認識となってきているようです。
違法伐採問題でも国境でのDDS(輸入者に対して注意義務強く要求)というのもるその一環でしょうか?
大会で報告された原嶋氏のプレゼンテーションをプレゼンデータをこちらに置きます
trade1-11(tppwto)
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