ITTO「気候変動と熱帯林の持続可能な経営に関する国際専門家会議」(2008/5/17)

4月30日から5月2日の間、国際熱帯木材機関主催による世界の森林の減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出抑制など、気候変動における熱帯林の持続可能な経営の役割に関する国際専門家会議が行われました。
林野庁プレスリリース

気候変動枠組み条約UNFCCCの大きな政治的な動きの中で、地球サミットでも実現しなかった、熱帯林の管理についての国際的な共同行動が実現するのかどうか。森林の幅広い機能の中で温暖化ガスの吸収源の問題はごく一部なので、舞台がUNFCCCだということはちょっと変なのですが、森林条約がうまくできなかったのですから背に腹は替えられないというところでしょうか。

今後の議論が注目されるところです。

報告された資料がしっかりとITTOサイトに掲載されています
また、討議の結論としてITTO理事会への提言が掲載されています。まだ、案の段階の様ですが、ITTOに対する提言の部分を仮訳してみました。

ITTO「気候変動と熱帯林の持続可能な経営に関する国際専門家会議」
TIITOに対する提言

1 加盟国に緩和と適応のための森林分野の人材養成を支援する
2 熱帯地域の持続可能な森林に対する気候変動の影響について検討する
3 国の森林調査の中で、炭素の貯蔵、二酸化炭素の排出に関するモニタリングの評価についての支援を行う
4 加盟国の森林政策の枠組みが気候変動を考慮に入れ、国の適応政策の中に森林問題を取り込むことを支援する
5 REDDなどのパイロットプロジェクトの形成支援と資金援助の検討
6 熱帯林における緩和と適応に関するガイドライン、森林計画における炭素の考慮に関するガイドラインなどを開発しITTOの基準指標を近年の動きに応じて改定
7 気候変動の影響に脆弱な森林タイプの森林管理に関する情報提供
8 森林に関する緩和と適応に関する資金提供があった場合の地域住民の恩恵に関する支援
9 地域を母体とした企業の振興を引き続き支援
10 植林CDMとCDM組織の手続きの改良を支援する
11 2012年以降のUNFCCCの気候変動交渉にいて森林保全の概念を導入する可能性の検討
12 熱帯木材の伐採後の保存をアカウントする手法の検討
13 権利に基づくREDDへの取組、森林における炭素の増加に関する優良事例発掘
14 環境に優しい方法で建築における木材利用の推進、木材エネルギーの利用推進に関する施策の構築と実施を、政府、民間、関係者に要請
15 森林の代替機能に関する研究の委託
16 食糧生産との整合性、環境の保全を考慮した代替的木質バイオ燃料用植林のガイドラインの作成への貢献
17 REDDと貯蔵庫の拡大について利用者の使いやすい様式の作成について他の関連機関との連携
18 REDD、森林の貯蔵庫の拡大及び環境サービスへの支払いが森林住民に裨益する作業を他の機関と連携して実施
19 森林のよき管理、公平・住民参加・人権・貧困の減少の原則の確立
20 UNFCCCの討議過程における、熱帯林と持続可能な森林管理の情報提供
21 気候変動に対する緩和と適応の資金への手法の検討


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