国際熱帯木材機関第35回理事会と協定改訂準備会合概要(2003/11/22)
11月13日付の林野庁のプレスリリースをベースに資料のリンクを張ったものです。

第35回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会等の結果について

1. 国際熱帯木材機関(ITTO)の第35回理事会は、11月3日(月)から11月8日(土)までの6日間、横浜において開催され、4件の決議を採択した(会期全体のプログラムダウンロード)。また、理事会に引き続き、11月10日(月)から11月12日(水)の3日間、国際熱帯木材協定(ITTA)の改定に向けた準備会合が開催された。
IISDによる記録英文
2. 理事会には、インドネシア、マレイシア、フィリピン、パプアニューギニア、ブ  ラジル、コートジボアール、コンゴ民主共和国等の熱帯木材生産国及び日本、米国、EU、スイス、ノルウェー、韓国、ニュージーランド等の消費国(計42カ国と1地域)の政府代表のほか、オブザーバーとしてメキシコ(非加盟国)、FAO、UNFF等の国際機関、木材業界団体、NGO等が参加した。我が国からは、林野庁、  外務省及び環境省からなる政府代表団が出席した。
3. 開会式においては、ソブラルITTO事務局長のステートメント(音声iisdサイトより)、フリーザイラー理事会議長(マレーシア)ステートメント(音声同)等が行われた。ソブラルITTO事務局長からは、米国大統領の森林法施行の改善に関するイニシアティブは、違法伐採等と戦う開発途上国を支援するためのものであり、ITTO生産国にとって有益であるとの発言があった。
   また、インドネシアのプラコサ林業大臣から、違法伐採と違法貿易は、複雑な問題を含んでいるため、1カ国のみで対処することは困難で、生産国と消費国が協力して取組むことが必要であり、できれば生産国と消費国の双方の協力により、違法伐採木材と関連した製品を貿易から排除するためのシステムを開発することが重要であるとの発言があった(音声同)。
   我が国からは、石原林野庁長官が本年6月にインドネシアとの間で、合法伐採木材の確認・追跡システムの確立、違法伐採木材を貿易から排除する仕組みの検討等を中心的な内容とする「共同発表」・「アクションプラン」を策定し、両国大臣間で署名、公表したところであり、今後とも、この日本とインドネシアとの間での取組 を先駆としつつ、二国間・多国間での協力や、アジア森林パートナーシップの活動との連携等を通じて、地球規模での持続可能な森林経営への取組を推進すると発言した。(石原長官ステイトメントテキスト

4. 2003年の運営予算の管理、2004年〜2005年のITTO作業計画等について決議が行われた。主な決議等については、以下のとおり。(決議のダウンロード先ITTOサイト
(1) 2004年〜2005年のITTO作業計画において、経済情報・市場情報に関する活動では、「認証された熱帯人工林から生産された木材・製品に関する市場調査」、「FAOと協力して森林分野と整合する森林法改良のためのガイドラインの開発と普及」、「他の国際機関と協力して開発途上国における森林認証の影響に関する  国際シンポジウムの開催」等を決議し、我が国から必要な経費について拠出することを表明した。また、造林・森林経営に関する活動では、「二次熱帯林の管理経営、劣化熱帯林の復旧及び荒廃林地の復旧に関するガイドラインの開発と普及」、「熱帯木材生産林におけるITTOの生物多様性保全ガイドラインのレビュー及び更新」等を、林産業に関する活動では、「地域社会に基礎を置く林産業の成功事例に関する調査研究」、「FAOと協力して熱帯合板の競争力強化のための情報を収集・普及する目的で輸出合板に関する調査の実施及び国際会議の開催」等を決議した。(作業計画のダウンロードITTOサイトより)

(2) 合計33件のプロジェクト、プレプロジェクト等の承認・資金の拠出が行われ、我が国は、基準・指標に関するプロジェクトとして「フィリピンに適合した基準・指標システムの採用と実施に関するプロジェクト(フィリピン)」、「ITTOの基準・指標の訓練と適用のためのプロジェクト(エクアドル)」、生物多様性に関するプロジェクトとして「インドネシアとマレイシアの国境周辺の生物多様性を保全するためのプロジェクト(マレイシア)」、「持続可能な森林経営の実行を通して生物多様性を保全するためのプロジェクト(マレイシア)」、熱帯人工林に関するプロジェクトとして「ガーナの固有種で人工林を造成するためのプロジェクト(ガーナ)」等への拠出を表明した。また、第31回理事会において決議を行った「持続可能な木材生産及び貿易との関連における森林法の施行」による取り組みとして12カ国で熱帯木材製品に関する輸出入データのケース・スタディを現在実施しており、ケース・スタディの大要をまとめるための経費について我が国から拠出を表明した。

5. 理事会に引き続き行われた国際熱帯木材協定の改定に向けた準備会合では、現行協定を各条毎に議論を行った。(IISDによる記録英文
主な各条毎の提案は以下のとおり。
  ・前文、第1条(目的)等について、各国から熱帯木材・森林に関連する新たな課題(環境サービス、非木材森林生産物、認証、違法伐採等)及び熱帯針葉樹林を現行協定に含めること
  ・第3条(国際熱帯木材機関の本部及び構成)については、機関の名称として@国際熱帯木材機関、A国際熱帯森林機関、B国際熱帯林産物機関の3つのオプションを提示
  ・第9条(理事会の会期)については、理事会の開催頻度を@年1回(この場合、機能を補完するための執行委員会を年1回別途開催)、A年2回の2つのオプションを提示
  ・第18条(勘定)については、@現行の勘定の枠組(運営勘定、特別勘定、バリ・パートナーシップ基金)、A運営勘定、特別勘定(バリ・パートナーシップ基金を含む)、B運営勘定、ワークプログラム勘定、特別勘定、バリ・パートナーシップ基金、C運営勘定、ワークプログラム勘定、特別勘定(バリ・パートナーシップ基金を含む)の4つのオプションを提示
  ・第26条(委員会の設置)については、@経済情報・市場情報に関する委員会と林産業に関する委員会を統合し、もし柔軟性が維持されるならば造林及び森林経営に関する委員会の統合も考慮すべきこと、財政及び運営に関する委員会は維持すること、A財政及び運営に関する委員会の役割を理事会に持たせること、B現状維持(経済情報・市場情報に関する委員会、造林及び森林経営に関する委員会、林産業に関する委員会、財政及び運営に関する委員会の4つの委員会の存続)の3つのオプションを提示
    次回以降の予定は、2004年7月26日から30日の5日間、国連貿易開発会議(UNCTAD)において、引き続き議論を行うこととなっている。

6. 次回以降の理事会の予定は次のとおり。
(1)第36回 2004年 7月20日〜23日 インターラーケン(スイス)
(2)第37回 2004年12月13日〜18日 横浜


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