はじめに
「木材産業が環境産業としてさらに発展するために貢献する」社団法人日本木材加工技術協会創立60周年記念宣言の結語である。
再生産可能で環境負荷が少ない素材である木材が化石資源を代替することは低炭素社会に重要な課題であり、その素材供給を担う木材産業は環境産業という図式だが、同宣言の冒頭にもふれられているが、「適正に管理された森林から生産される木材の活用」が前提である。
エコマテリアルである木材普及のネックになる可能性のある、原料の生産地点での環境負荷についての情報。この課題に取り組んだのが、違法伐採された木材は取り扱わない、合法性・持続可能性が証明された木材・木材製品(以下「合法木材」という)の供給システムに対する取り組みである。
筆者は(社)全国木材組合連合会で林野庁補助事業である「違法伐採総合対策推進事業」(06年から08年)「合法性等の証明された木材の普及促進事業」(09年から)の実施を担当してきたが、事業内容を紹介しつつ、21世紀の製材業・木材産業という大きな文脈のなかで、この取り組みの持つ意義と可能性を考えていきたい。
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