カナダ産針葉樹相殺関税問題の我が国との関係

2001年8月10米国商務省は、業界から提訴のあった、カナダ産針葉樹製材の相殺関税課税に関して、調査結果を発表し、19.31%の課税をかけることを決定しました。

商務省発表ファクトシート) カナダ産の針葉樹の立木価格が一般の価格より低価格に設定されておりそれが、ガット15条の相殺可能な補助金に相当すると認定したものです。

北米の二国間の20年来に及ぶ紛争の一場面といえばそれまでですが、ちょっと考えてみると、いくつかの疑問が浮かびます。

カナダ産の針葉樹の立木価格は米国向けの輸出も日本向けの輸出も同じ価格のはずです。なぜ、米国が相殺関税を発動するのに、我が国は発動しないのでしょうか。

それ以上に、米国が障壁をもうければ、その分は日本向けの輸出ドライブになるのではないでしょうか。事実カナダの企業は日本市場にいっそう注力(日刊木材新聞8月27日付け報道)するようです。

商務省が発表した告示の原文は数十ページにわたるものですが、相殺関税の率を決めるための基準となる設定の課程で持続可能な森林経営に必要なコストの内部化など、様々な検討がされたようです。

我が国の林業関係者としてもしっかり検討すべき材料だと思います。


関係資料

商務省告示の原文

米加針葉樹事案の年表(ランダムレングス誌ウェブサイト

カナダブリティシュコロンビア州政府関連サイト

「米加針葉樹製材貿易紛争が提起しているもの」 (林業経済誌掲載)



林業経済誌99年12月号no614号に表記小論が掲載されました。

米国の業界が20年間にわたって執念を燃やして主張した、「補助金によって廉価に輸出されているカナダからの木材に相殺関税を課すべきだ」との議論に対する、国際的な論争を材料に、来るべき森林条約における国際貿易ルールと持続可能な森林経営の関係を考察しようとするものです。要約と関係資料集を掲載します。

要約はこちら 本文ダウンロード


WTO補助金及び相殺措置に関する協定本文和訳


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