東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の環境問題 (2018/7/16) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第5回東アジア地域包括的経済連携(RCEP)中間閣僚会合が7月上旬に東京で開催されました。 東アジア地域包括的経済連携、年内妥結を目指す 事務レベル会合、交渉加速へ ASEAN10か国+6か国(日本,中国, 韓国,オーストラリア,ニュージーランド,インド)の16カ国の交渉が難航していましたが、米国が強硬な通商政策を進める中で、各国で交渉加速化の機運が高まってきたのだそうです。 日本は米国抜きの環太平洋連携協定(TPP)、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)に続いて自由貿易の枠組みを広げ、米国への「包囲網」を築く戦略だといわれています。 (地域経済連携協定の社会的ガバナンス) 市場の金とモノとサービスの流れを円滑にしビジネスの活性化をはかる、という経済のグローバル化を支えつつ、そこから生じる環境悪化(違法伐採問題による森林の崩壊など)、貧困、児童労働、労働災害など社会的なネガティブな面の波及(の可能性)をどのように制御するかが、地域連携の重要なコンセプトです。 欧州地域がEUという形で強固な連携が進んでいるのは少しおいておくとして、国境を接する国々の連携は、大気汚染、違法伐採など国境をこえる悪影響を押さえる意味でも重要な要素です。 そこで、日本とって東アジアという地域の連携に重要性があると思うのですが・・・ TPPは環境について第20章という一章をもうけて、違法伐採問題に関連した規定をおいています。米国がこの辺はリードしたものです。 TPPの環境協定と違法取引・違法伐採問題(USTRの提案)(2012/1/29) TPPの条約とRCEPの交渉対象の比較をしてみました。
TPPの項目は章立てをそのまま、RCEPの交渉分野は外務省の解説によっています。 8番目までがモノの貿易、その後にサービスや投資などの貿易が入ってきて、18までが貿易の国境措置の引き下げが並んでいます。その後段の部分が貿易競争のために環境社会の規制緩和をしてはいけない、など、という社会的ガバナンス問題が少し入ってきているという構成でしょうか。 TPPにあってRCEPにない項目に色を塗ってみました。 大国中国が入っていることによる問題、途上国の開発政策などに関する問題などが濃い緑の部分です。たま、途上国のガバナンスの弱点によって生じる問題をカバーする分野がうすい緑の部分です。(私の勝手な分類ですが) (PCEPの社会的ガバナンス部分の欠落) RCEPの社会的ガバナンス問題が抜けている構図がわかります。 世界資源研究所WRIによるこの点についてのRCEP批判論文がウェブ上に掲載されています。 途上国と先進国が同じテーブルにのった場合、この部分は、途上国が議論しにくいという共通のものですが、TPPの場合は米国が積極的にリードした経緯があります(トランプ政権だったらどうなのかわかりませんが)。 米国にかわって中国が主役の一人。経済のグローバル化の負の側面である環境問題なかんずく違法伐採問題など、世界中の木材貿易の中心にいる中国のガバナンスの役割はきわめて大切なのだと思います。 RCEPは今年中に終結ということなのでそのままのスタイルなのだと思いますが、これを契機に東アジアの連携のステップアップが続いていくことになるのだ思います。 当該地域の森林の保全と違法伐採への対処、業界団体認定のネットワーク、クリーンウッド法など、日本の経験が生かされた経済社会連携が進んでいくように期待します。 boueki1-13(rcep1) |
■いいねボタン
|