「持続可能な木材需要と違法伐採対策における合法性確認アプローチ」(2021/6/15)

日本の木材利用のサプライチェーンによる違法伐採問題対策という課題:私自身が結構出だしから深くかかわってきたので、勉強部屋でも結構詳しくフォローしてきました

この問題について、そろそろクリーンウッド法成立から5年がたち、どうなるんだろう、と、当事者でないのですが、気になっていました。

そのようなタイミングで、一般財団法人日本木材総合情報センターが毎月出版している木材情報誌5月号に、標記記事が掲載されていましたので、読んでみました。

学術論文などを引用して、最近の違法伐採問題をとりまくグローバルな情報をまとめてくれているので、勉強になりました。

概要を紹介します

標題:持続可能な木材需要と違法伐採対策における合法性確認アプローチ

執筆者:山ノ下麻木乃(公益財団法人地球環境戦略研究機関IGES)/粟生木干佳(同)/藤崎泰治(同)/鮫島弘光(同)

概要:

1 はじめに
違法伐採問題に取り組む原動力が、昔指摘されていたLawson & MacFaul (2010) Chatham Houseworld Bank(2006)林業分野の持続可能性や市場への悪影響だけでなく、地球環境問題を背景として拡大しているのでないか(という問題意識)。

2. 持続可能な木材に対するニーズの高まり
2.1 気候危機
IPCC(2018)1.5℃特別報告書が指摘するように、その道筋で2030年までの森林減少源が求められているが、世界中の森林減少の排出量は日本の排出量の2倍以上など具体的な数値が明らかになっている(WRI2021)。森林減少の主原因が商品作物生産拡大であることが分かってきた(Goldman等(2020))ので、市場の木材の循環性が問われる。多くの一般企業がゼロデフォレステーションを気にし始めている(SBTイニシアティブコミット1000社以上など)
2.2資源をめぐる緊張(循環経済への移行)
気候変動の要因の50%、土地に関わる生物多様性喪失および水への負のストレスの90%が天然資源の採掘とその加工プロセスによるといわれている(IRP、2019)。サーキュラーエコノミーへの移行が提案されているが、ますます、木材のトレーサビリティが大切に。

3 木材の持続可能性確保のための合法性確認
3.1 違法伐採対策の動向
日本のクリーンウッド法と各国の動きを(韓国も含む)を比較
3.2 木材の持続可能性と合法性確認
合法性は持続可能性の一側面に過ぎないので、合法性の取組をネガティブにとらえる主張(Leipld等2016)もあるが、持続可能性を評価するプロセスの大切な第一歩。

4 終わりに
「デューデリジェンスを活用した合法性確認アプローチを、森林減少や劣化に関連している農業製品の輸入規制に適用しようとする動きもあり、国際的にこのアプローチが主流化していく可能性が高い。日本においても、クリーンウッド法の確実な運用を含め、違法伐採対策と木材やその他の製品の持続可能性確保に関する取組がさらに求められる。」

クリーンウッド法の次のステップ、大切な時期です。

筆者と日本木材情報センターに了解をえましたので、内容を以下に置いておきます
持続可能性に配慮した木材に対するニーズと違法伐採対策における合法性確認アプローチ

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