クリーンウッド法の次の展開は?検討会の中間とりまとめからー勉強部屋から3つの提案(2022/6/15)

林野庁の「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」というページがあり、一連の会議の記録が掲載されていますが、その最後の欄に中間とりまとめが掲載されました!

長年森林でそだった、木材が街に出てきて、化石資源でできた街並みを変えて、カーボンストックへ!カーボンゼロの社会とつくる重要な循環資源の弱点である、違法伐採問題。これを、消費者と一緒になって解決しようという、クリーンウッドのシステムを、このように発展させるのか!!

個人的にも、色々かかわってきたこともあり、勉強部屋でも、力をこめて、フォローしてきました

3月8日に一連の会議の最終回と思われる第8回会議が行われて、その結果に基づいて中間とりまとめでした。

内容紹介とともに、課題を克服するための3つの提案をしますー

(合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」中間とりまとめ)

「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」中間とりまとめ
「合法伐採木材等の流通及び利用に係る検討会」中間とりまとめ(概要)
検討会における議論の整理

という、三つの情報が掲載されています。コメントなしのクールな情報掲載。

(概要版の概要)

概要版にしたがって、内容を紹介しますね。

1   これまでのCW法の意義・評価 (1)合法性の確認等に取り組む対象範囲拡大 建設業界等も含めて、木材等の合法性の確認の機会・機運が以前に比べて拡大
(2)合法性が確認された木材の取扱いが拡大 第一種登録木材関連事業者によって合法性が確認された木材の総需要量に対する割合が増加(H30 年27% → R2年40%)
(3)制度に対する関係者の理解、登録制度の活用状況等 登録木材関連事業者は577 件(R4年1月)と増加傾向にあるが増加率は鈍化(政策目標の指数R2度の目標は13,000件達成度合い4%
2   最近の国内外における状況変化 (1)違法伐採問題に対する世界的な動き COP26 やG7 関連会合でも森林減少や違法伐採問題の話題に。EU、豪州、中国などで違法伐採対策に係る法制度の制定や見直しの動き
(2)持続可能性やSDGs 等への関心の高まり 国際的にも合法性だけでなく持続可能性やSDGs 等の視点にも関心の高まり
(3)国内における潜在的なリスクへの対応の必要性 森林が主伐期を迎える中、無断伐採等に対するリスクが潜在
3     現行のCW 法の仕組みに関する課題と今後の方向性 @制度への理解、木材関連事業者の参画が不十分 <制度への参加者の拡大>
・普及活動等を通じ、制度に参画する木材関連事業者を拡大すべき。
・第一種木材関連事業者に対する合法性確認の義務化も選択肢。
・消費者に対する普及は、「木づかい運動」等との連携も効果的。
A流通段階やリスクに応じたメリハリのある対応が必要 <国内市場における木材流通の最初の段階での対応>
・国内市場における木材流通の最初の段階での対応が重要。
・輸入木材等については、税関との連携なども検討すべき。
<リスクを踏まえたメリハリのある対応>
・輸入木材等については、違法伐採に係るリスク度合いを考慮した対応が重要。
・国際機関やNGO 等の情報も活用し、政府が伐採国等に関する情報を収集し、木材関連事業者に分かりやすく提供すべき。
・国産材については、素材生産事業者の関与も検討すべき。
<流通のその他の段階(川中・川下)での対応>
・川中・川下の木材関連事業者の役割は、合法性の確認情報の連鎖。
・川中・川下の木材関連事業者や消費者から、川上に合法性が確認された木材等をしっかり求めていくことが重要。
B事業者による合法性確認に関するルールが不明瞭 <合法性確認の手法の明確化>
・木材関連事業者が合法性の確認を行う際の内容やルール、手法について、政府が指針等を示すべき。
<合法性確認木材等とそれ以外の木材等の取扱い>
・合法性が確認された木材等を選択できる環境を整備する必要。
・最終的には全て合法性が確認された木材等とすべきであるが、当面は分別管理を適切に行っていく必要。
C業界団体やNGO 等との連携が必要 <CW 法の執行等の仕組み>
・政府が合法性確認の実施状況を把握し、必要に応じて適切な措置をとる必要。
・業界団体、NGO、有識者などとの連携が重要であり、それぞれの役割を明確にして取り組んでいくべき。
D木材関連事業者の負担への配慮が必要 <類似制度との整理>
・グリーン購入法及び林野庁ガイドライン等との整理を図る必要。
<デジタル技術の活用等>
・木材関連事業者の負担軽減のため、ペーパーレス化を含むデジタル技術の活用等に向けた行政による支援を検討すべき。

(何が課題か?登録が目標の5パーセントしか進まない)

繰り返しますが、長年森林でそだった、木材が街に出てきて、化石資源でできた街並みを変えて、カーボンストックへ!カーボンゼロの社会とつくる重要な循環資源の弱点である、違法伐採問題。これを、消費者と一緒になって解決しようという、クリーンウッドのシステムを、このように発展させるのか!!

こんな重要な課題はないように思いうのですが、サプライチェーンに過度の負担はかけられない、という短期的なリスクに対する配慮があって、少し方向性がしっかり看取りにくいですが・・・

市民としては、次世代をみつめて、しっかり読み取ると・・・

森林林業基本計画の測定指標は令和2年で13000社登録となっていたんだそうですが、それが、555しか登録が伸びない?政策評価のランクは目標達成率50パーセント以下がCランクですが、5%?!ありえない!!

@メリットが感じられない、Aシステムがわかりづらい?

そこで、「こうしたら!」という案を提示しますね。例えば・・・

(提案1 登録制度を2段階にして分かりやすいシステムに!!)

登録制度を2つ分けて、第一種登録は・・・クリーンウッド以外は使いません(と、取締役会で決議して)対外的に表明

ESG投資などを視野に、環境パフォーマンスデータを開示!「わが社は、循環資源の次世代資源である木材を積極的に使っていきますが、当社でつかう、木材はクリーンウッド以外は使いません!!クリーンウッド法の登録をうけて、第三者がしっかり管理します!!」
たとえば、民間建築物等における木材利用促進に向けた協議会(ウッド・チェンジ協議会に参加するような、大企業は当然ですね

そうして、第二種の登録は、現在林野庁のガイドラインにもとづいて、合法木材のサプライチェーンをつないでいる、合法木材供給事業者のステップアップ。

業界団体が認定している供給事業者ですが、勿論業界団体が登録手続きにしっかり管理したまま、もうすこし管理体制をしっかりして、登録事業者に!!
登録制度と合法木材ガイドラインが併存し分かりづらい!という意見はこれで解消

以上が登録制度をわかりやすくする一例です

(提案2 木材利用促進施策と連携して登録のメリットを明確に)

やっぱり、川下側のみんなが、クリーンウッドを要求するように、ならなければだめですよね。

そのためには、上記のように大企業のゼネコンなどはクリーンウッド以外は使わない宣言をするとともに・・・

昨年できた、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」。これに基づき、木材利用促進本部が作成した、「建築物における木材の利用の促進に関する基本方針」ここに、いろんなサポートの方法が記載されています。

計画にもとづいて、協定をむすんだり、支援をうけようとするものは、登録事業者でなければだめ!(ですよね)

計画の中に、(3)木材の供給及び利用と森林の適正な整備の両立、という節があり、「建築物を整備する者は、その整備する建築物において木材を利用するに当たっては、クリーンウッド法の趣旨を踏まえるとともに「グリーン購入法」第2条第1項に規定する環境物品等に該当するものを選択するよう努めるものとする。」とありますが・・・努力義務ではだめ!!

(提案3 中小企業への支援ー業界団体の役割)

皆の心配は、木材事業者に対する、過剰な負担かがからないように!!クリーンウッドが目指す新しい社会(という長期ビジョンに対する)にいたるまえの、企業に対する登録手続きの負担(短期的なリスク)。

特に木材業のように企業規模が小さな事業者が主としてサプライチェーンを構成している場合、注意点です。

そこで、業界団体を通じた支援が必要になってきます。なんといっても合法木材供給事業者の認定制度を15千社まで引き上げてきたポイントは業界団体による認定制度!

このメリットを新しいクリーンウッド法がしっかり自覚して、これを発展させる方法を是非採用してください

以上でーす

これから、政策当局はパブコメなどしながら、法律改正に向かっていくんだと思いますが、頑張りましょう

boueki4-82<Clcyukan>

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