ニュースレター No.2282018年8月18日発行 (発行部数:1420部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。 

                         一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原


目次
1 フロントページ:国内外の違法伐採対策とクリーンウッド法ーウッドマイルズフォーラム2018開催(2018/8/18)
2. 「全国森林計画」案に対するパブコメ意見(2018/8/18)
3. 森林を畑にしてバイオマスを地中化するBECCSの功罪ーNature Comunication掲載論文(2018/8/18)
4. 勉強部屋の読者の方々ー勉強部屋ニュース228号編集ばなし(2018/5/20)(2018/7/16)

フロントページ:国内外の違法伐採対策とクリーンウッド法ーウッドマイルズフォーラム2018開催(2018/16)

一般社団法人ウッドマイルズフォーラムが恒例の、ウッドマイルズフォーラム2018年が7月26日開催されました。

タイトルは国内外お違法伐採対策とクリーンウッド法ー環境に優しい木材のリスクヘッジの現場からーです。

ウッドマイルズフォーラムは木材利用の環境貢献を建築関係者などとともに勉強してきた団体です。

その団体が、どうしても越えなければならない、木材の環境貢献とともにある、木材の環境リスク、違法伐採問題。

ちょうどクリーンウッド法ができて、建築関係者(などの事業者)が「木材等を利用するに当たっては合法伐採木材等を利用するよう努めなければならない」(法第五条)と責務が規定され、頑張ってもらわなければなれない次期に、開催されました。

 

登壇者は以下の通り

【基調講演】
三柴 淳一 氏  国際環境NGO FoE Japan 理事
  世界の木材流通と違法伐採対策の現状
河野 晃 氏  林野庁木材利用課 林業・木材産業情報分析官
  合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリーンウッド法)について

【取組事例報告&意見交換会】
木村 司 氏   JBN国産材委員長・木村木材工業( 株) 代表取締役社長
  ジャパン・ナッシング時代に国産材ができること
中島 祐二 氏  双日株式会社 リテール・生活産業本部 林産資源部 担当部長
  双日木材調達方針とクリーンウッド登録について
飯塚 優子 氏  住友林業株式会社 CSR 推進室長
  クリーンな住宅建設に向けて‐輸入材の環境性能とクリーンウッド登録の意義

それぞれの内容は、フォーラムのウェブサイトで概要が丁寧に紹介されていますので参照下さい。

企画にだずさわって、感じた点を二つばかり。

(輸入貿易事業者の事例報告)

基調講演でサラワクやルーマニアでの違法伐採問題の指摘がされる、「その直後にサラワクから大量に型枠合板などを輸入している輸入事業者が、事例報告するはずはない」という一部の意見もあり、輸入事業者の事例報告者が、一つのポイントでした。

今回は、クリーンウッドの登録をされている双日株式会社住友林業株式会社に快く、報告を引き受けていただきました。

両社は、自社の公表された社会的責任CSRに関する方針の中で、違法伐採問題への対応の位置づけを、詳しく紹介されました。

双日株式会社:2020年までの中期経営計画で取り組むサステナビリティ目標サプライチェーンCSR行動指針木材調達方針のその運用など

住友林業株式会社 :グループの環境方針CSR中期目標の中で木材を重要課題調達方針マネジメント推進体制の確立など

同業他社の方針と詳しく比較することはできませんし、現場の実態がどうなっているのかという面を、このイベントの中で実証するわけにはいきませんが、今回のように建築関係者の多い、又、環境NGOの方々が多いオープンな場面で、自社のポリシーを力をこめて発表された二社には敬意を表します。

(ウッドマイルズフォーラムとクリーンウッド法)

最後に私がコーディネーターとなって意見交換となったのですが時間がすくなくなり、少し中途半となりました。

時間がなくて報告でできませんでしたが、配付資料でお配りした標記の報告を掲載しておきます

   ウッドマイルズフォーラムの履歴をすこし。
   ガイドラインの問題点とともに、グローバルは意義は?
   木材調達チェックブックをPR
   政策の評価もできるウッドマイルズ分析
ウッドマイルズ分析からみた日本の合板業界の取り組みと、国産材合板の環境貢献
   

energy2-76(WMF2018)


「全国森林計画」案に対するパブコメ意見(2018/7/16)

森林法に基づいて5年に一度作成される全国森林計画案が意見募集されていました7月25日から8月13日)

対象となった全国森林計画(案)  vs(参考)現行「全国森林計画」  

少し気になったことがあったので、意見を提出しました.。

全国森林計画案に関する意見
持続可能な森林フォーラム 藤原敬

1 計画の背景としてのSDGs

前計画が改定されてから、昨年日本政府はSDGsの実施指針を作成したが、「国内における経済、社会、環境の分野での課題にも、またこれらの分野を横断する課題」にもSDGsが重要であると指摘している。(序文(1)
これをうけて、本計画の前文に、本計画の重要性を強調する意味で以下の記述を記載すべきでないか。
――――
森林の適正な整備保全はSDGsの以下の目標と関係する大切な事項である
目標15「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」の達成のみならず、
目標6 すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7 すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標11 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12 持続可能な生産消費形態を確保する
目標13 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
にも関係する重要か課題である
――――

2 クリーンウッド法との関係

昨年5月合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(以下{クリーンウッド法}よいう)施行された。
同法律は「我が国又は外国における違法な森林の伐採」(第1条目的)と規定するように、我が国の森林管理のガバナンスを確保するためにも重要な法律である。これを踏まえて、以下の通り2点を指摘したい。

(1) 森林整備に関する事項

同節には関連して、「森林に関する法令に照らし伐採に係る手続が適正になされたものであることや持続可能な森林経営が営まれている森林から生産されたものであることが証明された木材・木材製品の利用の普及について、関係者一体となって推進するよう努めるものとする。」と前計画とほぼ同様の記述がある。
前計画策定後クリーンウッド法が施行されたことから、法令名と内容を反映したモノとすべきでないか。
例えば
「森林に関する法令に照らし伐採に係る手続が適正になされたものであることや持続可能な森林経営が営まれている森林から生産されたものであることが証明された木材・木材製品の利用の普及について、((加筆→)クリーンウッド法に規定する「事業者の責務」に基づき)関係者一体となって推進するよう努めるものとする。」

(2)森林保全に関する事項及び森林の保健機能に関する事項

標記の節にはクリーンウッド法に関連した記述はないが、クリーンウッド法が、「自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能に影響を及ぼすおそれがあることを、」に対処する(法第1条目的)とされていることから、それぞれの節にも、その他の記述内容の中に、前節の内容が記載されるべきでないか。

以上
よろしくご検討されたい。 
kokunai2-10<zensinkeikaku2018>

森林を畑にしてバイオマスを地中化するBECCSの功罪ーNature Communications掲載論文(2018/7/16)

Nature誌の電子版、Natuer ComunicationsにLand-use emissions play a critical role in land-based mitigation for Paris climate targets(土地利用変化による排出は、パリの気候目標に向けた陸域での緩和に立ちはだかる要素である)と題する論文が掲載されました。(読者の方から教えていただきました、ありがとうございます!)

気候変動の長期的緩和策については、IPCC第5次報告書(AR5)で土地利用を含めたさまざまなシナリオが検討され、炭素を地中に埋めて除去するCCSと、バイオマスエネルギーの利用をあわせたBECCSが重要な役割を果たすと指摘していますが、「土地からのGHGの排出、食料安全保障、水資源、生物多様性の保全及び生計などについての懸念」と指摘されています。(環境省 IPCC第5次評価評価報告書の概要ー第3作業部会(気候変動緩和)、BECCSはバイオエネルギー調達リスクも存在より

第五次IPCC報告書温暖化緩和策としての森林管理の効率性(2014/11/22)
IPCC第5次評価第三部会報告書と森林
(2014/4/29)

 
 環境省同上より

AR5ではBECCSについて「特定のバイオエネルギー経路が引き起こす土地利用の競合に関係した気候への総体的影響についての科学的議論は未解決のままである」とされており、森林を含む土地利用の議論の今後に期待が込められていました。

パリ協定では、「温度上昇を2度より充分低く保ち、1.5度に抑える努力をする」という目標が掲げられましたが、今回のNature Comunications論文では、1.5度という野心的な目標を達成するには植林/再植林と森林伐採回避にくらべて二酸化炭素が素早く除去される方法であるBECCSに脚光があたるので、AR5が指摘している、「科学的議論が未解決の課題」を取り扱ったもの(のよう)です。

気候変動緩和問題の議論が次のステップに進んだときに、森林とバイオエネルギー畑作物との競合問題などの議論が深化していく可能性があり、その議論のために大切な論文のような気がします。

とりあえず、要旨部分を訳しておきました。

(Title)
Land-use emissions play a critical role in land-based mitigation for Paris climate targets
(Abstract)
Scenarios that limit global warming to below 2 °C by 2100 assume significant land-use change to support large-scale carbon dioxide (CO2) removal from the atmosphere by afforestation/reforestation, avoided deforestation, and Biomass Energy with Carbon Capture and Storage (BECCS). The more ambitious mitigation scenarios require even greater land area for mitigation and/or earlier adoption of CO2 removal strategies. Here we show that additional land-use change to meet a 1.5 °C climate change target could result in net losses of carbon from the land. The effectiveness of BECCS strongly depends on several assumptions related to the choice of biomass, the fate of initial above ground biomass, and the fossil-fuel emissions offset in the energy system. Depending on these factors, carbon removed from the atmosphere through BECCS could easily be offset by losses due to land-use change. If BECCS involves replacing high-carbon content ecosystems with crops, then forest-based mitigation could be more efficient for atmospheric CO2 removal than BECCS 
(タイトル)
土地利用変化による排出は、パリの気候目標に向けた陸域での緩和に立ちはだかる要素である
(要旨)
地球温暖化を2100年までに2℃以下に制限するシナリオでは、植林/再植林による大規模な二酸化炭素(CO2)の除去、森林伐採の回避、および炭素捕獲と貯蔵によるバイオマスエネルギー(BECCS )が想定されている。より野心的な緩和シナリオでは、緩和および/またはCO2除去戦略の早期採択のために、より大きな土地面積が必要とされる。

この論文では、1.5℃の気候変動目標を達成するための追加的な土地利用の変化が、土地からの炭素の純損失をもたらす可能性があることを示している。 BECCSの有効性は、エネルギー作物の選択、土地利用変化前の植生の行方、および新しいエネルギーシステムによる化石燃料の代替に関連するいくつかの仮定に強く依存する。これらの要因によって、BECCSを通じて大気から除去された炭素は、土地利用の変化による損失によって簡単に相殺される可能性がある。 BECCSが高炭素含有生態系を作物に置き換えることを伴う場合、森林ベースの緩和はBECCSよりも大気中のCO2除去にとってより効率的である可能性がある 
以下に筆頭執筆者による解説記事が掲載されています
 Why BECCS might not produce ‘negative’ emissions after all
なぜ、BECCS(エネルギー作物による緩和措置)は排出量を増やしてしまう可能性があるのか?

以上です

本ページの作成にあたり、論文の紹介に始まり、背景説明や訳文内容にわたり、日本大学生物資源科学部水谷広教授にアドバイスを頂きました。心からお礼申し上げます。

kokusai2-60i(BECCS


 勉強部屋の読者の方々ー勉強部屋ニュース228編集話(2018/6/24)

ウッドマイルズフォーラム2018、80名ほどの方にあつまっていただき、輸入ビジネスの方々の違法伐採への対応の最前線の話をきけてて、よかったと思います。ウッドマイルズフォーラムは15年たちました。建築関係者つながりとともに、勉強部屋のつながりでもできてきたフォーラム。木材の輸送距離と環境的要素の二つを関係に問題提起をしたフォーラムの役割は今後とも重要になっていくと思います。

文京区議会の控室で、 「町村議会議員特別セミナー 「地方自治体における森林政策の現状と課題」 」というイベントのチラシを視ると、演題「地方自治体は森林とどのように関わるべきか」の講師愛知県豊田市産業部森林課計画・研究担当長 鈴木春彦氏。先月号の「林経営管理における市町村の役割、新・豊田市100 年の森づくり構想の情報を頂いた勉強部屋の読者でした。その他講演会の講師には勉強部屋つながりの方が多数いました。うれしかったです。

BECCSに関するのNature Comunicationsの論文の紹介も読者からのものでした。森林関係者向けにも大切だろうと、学術的なメディアの発信を紹介いたのだと思います。ありがとうございました。

次号以降の予告、森林環境譲与税の施策事例集、「国民と森林」への寄稿、文京区議会における木材利用・間伐材利用の議論、クリーンウッドナビPRサイト、

konosaito<hensyukouki>


最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp