森林経営管理における市町村の役割、新・豊田市100 年の森づくり構想(2018/7/16)

先進的な森林行政に関する取組んでいる愛知県豊田市から、新しい森林行政の指針である新・豊田市100 年の森づくり構を送付していただきました。

時あたかも、森林経営管理法が成立し、来年度からの森林環境譲与税が全国の市町村に配布されるシナリオが書かれている中で、新たな主役としての市町村の役割の大切になっています。

今回の構想は2007年に制定した豊田市森づくり条例にもとづいて、10年前に作成された森づくり構想の予定通り?の改訂版という性格を持ったモノで(と書いて担当者とご相談したら経緯について意見をいだきました→3年前から取り組んだ新構想の経緯)、税制や法律の内容を前提としたものではありませんが、先進市町村の森林政策が、どんな方向にあるのか、森林管理法の施行とどんな関係がありそうか、という視点で、検討をしてみました。、

以下は新・豊田市100年の森づくり構想の概要の概要です

新・豊田市100年の森づくり構想の概要(の概要)

新・森づくり構想とは?
「新・豊田市100年の森づくり構想は、森づくり条例で定めた基本理念を実現するため、100年先を見据えた森づくりの方向性とこの先おおむね20年間の基本的施策を示したもの」だそうです。

豊田市の森林

森づくりの目的及び4つの理念

豊田市の森づくりの成果と課題、今後の取組の方向性

1新しい森林区分(ゾーニング)の設定
2 人工林の整備状況の評価と目標の再設定
3 人工林の目標林型の設定と将来木施業の導入
4木材生産・流通の低コスト化
5森林保全のルールの新規設定
6森づくり人材の育成

10年間の総括を踏まえて、伐採コストの低下が思うように達成できていない、森林保全のための皆伐対策が提示できていない、など問題意識を共有して、今後20年間の方向性が提示されています。市町村森林行政に関心のある方は、是非ご覧下さい。

(森林経営管理法との関係)

送って頂いた時期が森林経営管理法が議論されている最中だったので、この関係を聞いてみました。

構想をみても、その前提に所有者の「経営意欲の減衰→森づくりの放棄」という現状認識がが記載され(1ページ)、森林経営管理法と同じ問題意識に立っています。

管理法が所有者の経営管理権の一部を市町村が取得し、「意欲と能力のある林業事業体」に実施権を設定してい事業参画してもらうのが、一つのコンセプトになっていますが、担当者は、@市町村が難しい現場の課題を拾い上げるシステムになるのか、A森林組合以外にそのような新たな事業体がいないのでないか、と言われていました。

(地域森づくり会議)

所有者の経営意欲問題に関して、構想が提示しているのは、「第7章 森づくりのための推進体制等」です。

「新・森づくり構想を実現するために、市・森林所有者(地域森づくり会議)・市民・豊田森林組合などの関係者が連携し、森づくりを進めます。また、矢作川流域を単位とした取組や、市町村間のネットワーク強化にも取り組みます。」

森林所有者を、地域ごとに形成された地域森づくり会議に組織し、,所有者への告知、連携、集約化などが提起されています。

この部分が今までの10年間の成果です。98地域で会議が設立!!森づくり会議・森づくり団地

所有者の経営意欲がなくならないように、周到な手はずを整えるという手立てが用意されています。

市町村がそんな仕組みをもっていれば、所有者の中で経営意欲をなくした人の、経営管理権の設定だとか、経営管理実施権の設定など、経営管理法が提示しているハードな仕組みが、円滑に回っていく、ということでもあると思います。

是非、この、新構想が経営管理法の円滑な実施をリードするような展開となることを期待をします。

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