ニュースレター No.2082016年12月24日発行 (発行部数:1390部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信してます。御意見をいただければ幸いです。 

                         一般社団法人 持続可能森林なフォーラム 藤原

目次
1 フロントページ:南会津地域の縦ログと森林認証の広がり(2016/12/24)
2. エコプロダクツ2016の中の森林と木材(2016/12/24)
3 米国大統領選挙ー『林業経済』誌編集後記(2016/12/24)
4. 日帰り出張ー勉強部屋ニュース208号編集ばなし(2016/12/24)

フロントページ:南会津地域の縦ログと森林認証の広がり(2016/12/24)
 
 会津行鬼怒川沿いの景色

11月半ば紅葉最前線通過中の南会津に行く機会がありました。南会津町針生の縦ログ構法の建物が木の建築賞にノミネートされ、審査員の立場で参加することとなったものです。

((縦ログ構法はしっぱの家))

縦ログ構法は、丸太(ログ)を横に寝かせて積み上げるログハウス(丸太組工法)と異なり、ログ(丸太でなく柱ですが)を縦に並べてパネル化し壁を作る木造軸組工法です。

(CLTの期待と問題点)

高層建築を木造で進めるCLT直交集成版が住宅を超えた中高層建築物と木材の新たな関係を開くものとして注目されています。

CLTの普及に向けたロードマップについて

CLTは、木材が「構造躯体として建物を支えると共に、断熱性や遮炎性、遮熱性、遮音性などの」木材の複合的な効果も期待でき「木の表面をそのまま見せて用いると、木目や木の肌触りを感じる心地のいい空間ができ」、「木材は持続可能な循環型資源であり、森林資源を有効活用した省CO2型」素材(以上CLT協会Webページ)などが訴求されています。

 福島県南会津縦ログ構法「ほしっぱの家

ただし、各地の地域材利用するシステムとしては、効率的なシステムとするには加工過程の大規模拠点化が不可欠で、地域材によるCLTの普及には、(流通加工過程の抜本的な変革などによる輸入材との競争力の課題など)なかなか難しい問題があるようです。(国産CLTの「本音」など)

(CLTの課題を回避する縦ログ構法)

そこで縦ログ構法ですが、循環型素材である木材の各種の機能的・構造的性能を建築物に満度に引き継ぐというCLTの発想を受け継ぎながら、地元の事業者とローカルな柱どりの伝統的技術でサプライチェーンを完結させる(地域外の加工拠点に遠路運んで戻ってくる必要がない)可能性をもっているのがこの工法のポイント(もっと他にもありますが)です。

今回見学した建物は、南会津町針生ホシッパの家NPO法人南会津はりゅう里の会が運営地域活性化の活動の拠点・地域交流室です。

準耐火構造の大臣認定をうけることもあり24センチ角のログをつかって建築。現在15センチ角の大臣認定取得のための手続き中です。

これで本格的な普及の準備が整うのでしょうか。

会津発の新しい山と町のコラボレーションツール。地域の活性化のシンボルになるといいですね。

楽しみです。

((南会津森林認証材))

福島県産森林認証材のすすめでご紹介したように、福島県では森林認証材の普及運動が進んでいますが、その拠点の一つが南会津です。

特定非営利活動法人みなみあいづ森林ネットワーク11の会員が今年の3月SGECの認定を取りました

ネットワークが作成した、南会津の森林活用へ、森林認証のすすめ、というパンフレットをいただいたので、こちらに置いておきます

2000年より前は、全国で一番の広葉樹の生産量をほこるで広葉樹のまちで、数十社の広葉樹林産業関係者がいましたが、2003年ごろ環境保護団体との軋轢で国有林の広葉樹が伐採禁止になり、事業者が13社に激減という、歴史があったそうです。

そのなかから、「流通の停滞した森林資源を「森林認証」によって社会的な価値を付加し、市場で流通できないか」取り組んできた「森林認証取得までの道のり」が記載されてされていますので以下に紹介します。

2000年以前
「広葉樹の町」として広葉樹の生産量全国1 位
2003年頃
環境保護団体との軋轢により、国有林の広葉樹が全面伐採禁止林産業関係者75社→13社林産業界の衰退へ
2008年頃
南会津の森林を考える会」として森林活性化を目指すための勉強会開始2010年5月任意団体みなみあいづ森林ネットワーク設立
「森林認証」に関する勉強会を定期的に実施
流通の停滞した森林資源を森林認証によって社会的な価値を付加し市場に流通できないか定例会における情報交換会を中心として、講師を招いての勉強会、先進地視察研修、南会津林業祭開催によるPR活動を精力的に実施
2013年4月
特定非営利活動法人みなみあいづ森林ネットワーク設立
「森林認証部会」を発足し、森林認証林と〔o〔認証事業体の取得を視野に活動開始
町有林を森林認証林として取得するため、南会津町役場、町長、議会へ提案と打診
2014年3月
南会津町有林477ha を認証林として認証を受ける(」AFTA‐046)
CoC管理事業体取得の準備開始(6社)
2014年8月
栃木県・静岡県の森林認証協議会との合同会議を定期的に開催
広域的なネットワークによる森林認証の普及促進を目指す
2015年3月
林野庁「森林認証材供給体制構築事業」の助成決定
全国で3地域(北海道十勝地方、愛媛県‐ 南会津町)の森林認証普及モデル地域に選定
2016年3月
CoC管理事業体に17社が認定を受ける
事業者・森林所有者行政・大学等の研究機関で「森林認証推進協議会」を設立

上記の二つのプロジェクトが連携し、最近素材をすべて森林認証材とした縦ログの建物が建ったそうです(びわのかげ投球練習場)↓

   

((横の展開ができるか))

地方創生が課題となっていますが、政府のまちひとしごと創生本部「地域の課題解決のための地域運営組織に関する有識者会議」から地域の課題解決を目指す地域運営組織-その量的拡大と質的向上に向けて-最終報が12月中旬に公表されました。

全国的なプラットフォームや、取組効果の「見える化」、優良事例の横展開ということが重要な指摘となています。

南会津町で、やまとまちの連携を一段ステップアップさせる、持続可能な循環型木材を消費者に届ける大切なツールが二つ開発されました。この二つが連携して強力な情報発信力を身に着けていけば、日本中に横展開の軸になるでしょう。

発展を期待します。

kokunai9-3(minamiaizu)


エコプロダクツ2016の中の森林と木材(2016/12/24)

12月8-10日の3日間、東京ビックサイトでエコプロダクツ2016が開催されましたので、中日にいってきました。

小サイトではグリーン購入パワーを示す指標としてエコプロダクツ展の来場者をフォローしてきました。
エコプロダクツ展2005が示す組織的グリーン調達パワー(2006/1/9)
エコプロダクツ2011のグリーン購入パワーの回復度(2011/12/23)


 年 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014  2015 2016 
参加団体  750 721 745 752 711 702
 入場者数 173917 182510 183140 181870 178501 169075 161647  16188  167093

2010年の183千人をピークに減ってきた入場者数が昨年は増えことしは若干減少
グリーンに対する消費のバックボーンは、①消費者や企業の環境意識の高まりと、②少し高くても社会貢献できるという若干の余裕。この二つの要素が全体を規定しています。

(森林と木材)

出典者情報が充実しており、森林のキーワードで検索するとで46件と木材のキーワードで検索すると30件の事業者が検索されます。

製紙会社が森林の取組をさまざまな形でアピールするのは当然かかもしれませんが、森林資源の循環に貢献する建築分野での木材利用の事例を紹介している竹中工務店、「日通の森」コーナーで森林育成活動やシマフクロウの保護活動をアピールする日本通運など、いろいろあります。

昨年から始まったウッドデザイン賞

今年の最優秀賞「農林水産大臣賞」は、トヨタ自動車コンセプトカーSETSNA


「SETSUNA」は、「家族と共に時を刻むクルマ」をコンセプトに、ぬくもりがあり、時間と環境より変化する「木材」を使うことで、「人とクルマの新たなつながり」を表現するコンセプトカーです。

外装にはスギ、ハンドルにはヒノキなど、用途に応じた木材がふんだんに用いられ、釘やネジを使わない日本の伝統技法で組みあげられています。

林野庁紹介ページより

こちら(pdfファイル)「『ウッドデザイン賞2016』の農林水産大臣賞・林野庁長官賞・審査委員長賞25作品が決定!」で、受賞作品を見ることができます。

kokunai3-50(ecopro2016)


米国大統領選挙ー『林業経済』誌編集後記(2016年11月号)(2016/11/24)
1948年以来、林業経済分野の専門誌として毎月発刊をつづけている 『林業経済』誌)の編集後記を執筆しています。

編集委員会の了解を得て、このページに転載することとします。

学会と業界、官界、市民との間と架け橋になれるかどうか、大切な役割です。

少しでも、『林業経済』誌の認知度が広がる(なかで、購読者が増える)ことを願っています。(ご購入はこちらから

 目次 編集後記 
2016年11月号
<やまがら>イヌワシの子育て成功から...あけみさん 
 
論文
 国勢調査における「従業上の地位」を踏まえた林業労働者数の分析.............林 宇一・永田 信 
論文
 月次データを用いた需給関数の推定による素材市場短期変動の分析......................藤掛 一郎 
書評
 田代洋一編著『TPPと農林業・国民生活』..................島本美保子 
米国の大統領選挙の過程と結果はビックすることの連続だった

。TPPに候補者二人とも反対。

「要するに内外多国籍企業と諸国民との対立こそがTPPの本質」(今月号の書評の対象となった「TPPと農林業・国民生活」より)だとすれば、市場のグローバル化をリードしてきた米国(の多国籍企業)が国民の投票行動という重要な意思決定ツールうまく使いこなせなくなってきたということか?

とはいえ「グローバル化とはなにか、「もう一度規範とは何かということを厚く議論すべき」(島本)だろう。

本号の論文「国勢調査における「従業上の地位を踏まえた林業労働者数の分析」(林・永田)調査項目の豊富な国勢調査をベースとし研究の広がりが期待されるが、そのベースとなる論考。雇用者と非雇用者を分けて分析するツールの可能性を提起している。

もう一つの論文「月次データを用いた需給関数の推計による素材市場短期変動の分析」(藤掛)、国産材化の最先端を走る宮崎県関連データを用いた、国産材供給体制構築への課題に迫る論考。

本号もよろしく

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 日帰り出張勉強部屋ニュース208号編集ばなし(2016/9/22)

本年もあっという間に年末となった。

マネジメントの責任者となっている林業経済研究所の調査業務や最近ある事業でリハビリ病院通いとなっていることから、外に出て行っての情報収集が制約されている。

その中での南会津と東京ビックサイト。

地方創生と緑の消費という勉強部屋にとっても大切な二つのキーワードを追いかける楽しいイベントだった。

来年もよろしく。

konosaito<hensyukouki>


最後までお読みいただきありがとうございました。

持続可能な森林フォーラム 藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp