ニュースレター No.0482003年8月21日発行 (発行部数:830部)

 

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:レスターブラウンとウッドマイルズ(2003/08/21)
2. ウッドマイルズ研究会ニュースレター「木のみち」予約受付(2003/087/21)
3. 国民森林会議の提言書(2003/08/21)
4. モントリオールプロセス第一回国別報告(2003/08/17)
5. 「住宅建築」8月号の特集「日本の木で建てよう」(2003/08/17)
6. 温暖化対策税と吸収源対策(2003/07/31)

1. レスターブラウンとウッドマイルズ(2003/08/21)

8月17日東京で「第3回エコネットワーキングの会ーレスターブラウン氏を囲んで」という会合が、あり、日曜日の午後の時間に250人ばかりの企業や市民の環境に興味のある人たちがレスターブラウンの講演と交流と会に集まりました。

ご存じのようにレスターブラウンはワールドウォッチ研究所の創設者であり、「地球白書」などにより大量消費社会に警告をならし転換へのプログラムを提唱しています。この秋刊行予定の「プランB」が最新作で、今回の講演の中心でした。

農業経済学者であるレスターは、現在のバブルエコノミーの破綻はここ数年で食糧危機という形で起こる(水循環の破綻)という指摘していました。そして、転換の枠組みを示す「プランB」(プランAは現状のまま推移)は自然力を利用、土地や水の生産性を上げ、2015年までにCO2の排出量を半分にする、というような内容です。エーと思う読者に対して、第二次大戦の戦時体制に向けて米国が行った努力を行えば可能なのだ、という説明が用意されています。

日本では11月に発売されるようですが、目次と第一章と終章がオンライン上で見られるようになっています。(こちらから

さて、「レスターブラウンと一分間だけ話ができる」というので行列を並んで挑戦してみました。(写真参照)。
持参した資料は残念ながら日本語だけなので、研究会の趣旨と目的を英語で説明したものを用意してみました。

The Wood Miles Forum
The Forum will develop and propagate the indicators for house contraction relating to the distance between the forest and the house constriction site, to shorten the wood transportation, to reduce the transporting energy, and to promote local timber consumption, thereby contributing to the local recourse economy and the sustainable society.

そして、「プランBにウッドマイルズを入れてほしい」、と話しているところが写真ですが、うまく通じたかどうか。語学力の問題もありタイムキーパー付きの一分間だけの時間という制約でしたが、とりあえず「輸送距離というのはいろんな意味で重要だ」というコメントはもらい、支持をしてくれるならサイン欲しいとお願いしてパンフレットにサインをもらいました。


2.ウッドマイルズ研究会ニュースレター「木のみち」予約受付(2003/08/21)

ウッドマイルズ研究会のニュースレター創刊号が「木のみち」というタイトルで9月18日発刊することになりました。以後2ヶ月に一回のペースで配布される予定です。

ウッドマイルズ研究会ニュースレターの創刊号では、ウッドマイルズのコンセプトの中心となる、住宅に使用する木材の輸送距離に関する指標(住宅ウッドマイレージ、同CO2など)を算出するマニュアルの暫定案が公開される予定です。

また、新しくできるロゴマークの紹介、注文に応じて新築住宅のウッドマイレージを積算しそれについての解説をつける研究会としてのサービスの案内など、研究会活動の具体的なイメージがわかるものになるよう準備しています。

会員以外にも希望者には配布をする予定ですので、希望される方は、研究会事務局まで請求ください。

3. 国民森林会議の提言(2003/08/21)

1980年代の前半に創設された国民森林会議は、折々の政策課題に提言をしてきましたが、この度「『森林・林業基本計画への提言の基調』ー特に機能区分と施業について」と題する報告をしました。

提言委員長は森林総研OBの藤森隆郎さんです。重要な内容を含んでいますが入手が難しいので、こちらのインターネットディスクからダウンロードできるようにしておきます。

目次は次の通りです
はじめに
1.提言全体の構成  
  1)提言の背景
  2)提言の年次計画
2.森林・林業基本法における機能区分と施業法の問題点
3.機能区分と施業面からの考え
  1)機能、施業、機能区分の考え方
  2)森林の機能
  3)対応する最適管理・施業の検討
   @林種と林分の発達段階
   A林分の発達段階と機能の動態
   B機能の発揮と目標林型
   C目標林型への誘導と維持管理技術
  4)機能区分
  5)各区分で採用すべき施業
  6)ゾーニング  
4.機能発揮推進のための条件整備
  1)インフラ整備
  2)制度面の整備
5.京都議定書への対応  

4. モントリオールプロセス第一回国別報告(2003/08/17)

林野庁は温帯林などの持続可能な森林を定義する国際的な作業であるモントリオールプロセスのすべての指標について取りまとめた第一回の報告書を公表しました

「熱帯林だけでなくて全ての森林の持続可能な森林経営」という地球サミット森林原則声明の重要なコンセプトを受け、温帯林北方林の持続可能な森林経営の基準指標づくりの国際的な作業が90年代に繰り広げられました。その一つが我が国も参画しているモントリオールプロセスです。(サイト内解説ページへリンク

基準と指標ののテキストは95年に策定されていましたが、この作業の一つのステップとして各国がこの枠組みに従って統一的な報告を作成しようというのが、第一回国別報告です。比較的条件に恵まれている我が国でも、すべての指標をカバーすることはむずかしく、また、指標が示す意味も、累次的なデータの積み重ねや各国の横断的なデータの比較によって明らかになってくるという面があります。

今回の各国データの集積は大きな作業のほんの入り口であり、今後モントリオールプロセス事務局のホームページに公開される各国のデータは関連する研究をする人にとっては宝の山だと思います。



5. 「住宅建築」誌8月号特集「日本の木で造ろう」(2003/08/17)

住宅設計者や工務店向けの住宅専門月刊誌「住宅建築」(建築資料研究社)の8月号が「日本の木で造ろう!」という特集をしています。(今月号の目次

第1章 国産材による家づくりのシステムを再構築する
第2章 産地との連繋−それぞれのアプローチ
第3章 資料・国産材を知る
という100ページわたる特集ですが、大阪ドームやさいたまアリーナの木材と利用推進のイベントの取材もあり、住宅の関係者が木材利用推進を目的としたイベントをどのようにみているか、興味深いところです。

林業関係者が「日本の木で家をつくろう」というのは利害関係が明確で分かりやすいのですが、住宅設計者や工務店向けの雑誌が「日本の木で家をつくろう」という特集をするのはなぜなのか?気になっていました。編集の担当者にいろいろ聞いてみました。

読者層から、国産材や地域材などについての情報を求める声が大きくなっているようなのです。もともと地域の住宅にこだわってきた「住宅建築」は年に二三回は、「木の家」「森と家」「自然素材」を銘打った特集を組んで、森林資源の活用とその実例となる木造住宅を取り上げているようですが、最近は住まい手の方から自然素材などに関心が高ってきたといって、編集局も手応え感じているようです。

なお、第3章の終わりの方に、「住宅と森林の『距離』を考えるーウッドマイルズという概念」という小論を割り込ませてもらいました。


6. 温暖化対策税と吸収源対策ー「地球温暖化防止吸収源対策の推進のための国民支援に関する研究会」中間報告(2003/07/30)

7月28日林野庁に設置されている表記研究会の中間報告が公表されました。

環境省の中央環境審議会税制専門家委員会において、25日「温暖化対策税の具体案にむけて」という報告書が公表(環境省HP)され、2005年以降の温暖化対策税の具体化が進められている中で、吸収源対策への財源確保の重要性を強調しているものです。


吸収源対策は温暖化対策として、@景気変動に左右されることなく即効性がある、A循環型社会の形成に資する、B雇用対策の効果も大きい、等が指摘されています。

林野庁がHPに中間報告とともに、以下のような関連資料がダウンロードできるようになっています。(すべてpdfファイル)

1 地球温暖化対策推進大綱 抜粋
2 「森林・林業基本計画」の概要
3 吸収量の把握方法について
4 吸収量確保の見通しについて(試算
5 今後10 年間の森林整備量等について
6 地球温暖化防止森林吸収源10 カ年対策の概要
7 H14 補正・H15 森林・林業関係予算(15 ヵ月予算)の重点事項〜地球温暖化対策の推進〜
8 環境税の検討状況等
9 諸外国のCO2 削減のための税制度
10 削減目標量(試算値)と森林経営吸収に関する各国の状況
11 森林吸収と木材供給(=伐採)・利用に関する議論について
12 我が国の森林の活用による長期的な排出削減ポテンシャルについて
13ー1 循環型社会形成投資としての森林の整備・保全の意義
13−2 続き
14 森林の多面的な機能の評価について(日本学術会議の答申)
15 森林計画制度について
16 森林の整備・保全に対する国民の意識について
17 「地球温暖化防止に貢献する森林県連合共同アピール」
18 森林再生とバイオマスエネルギー利用促進のための21 世紀グリーンプラン
19―1 都道府県における森林整備・保全を目的とした法定外目的税等の取組状況
19−2 (同事例)
20 木造住宅の選択による炭素排出量の抑制について
21 (参考)森林吸収源対策に関連する単位量について
22 「地球温暖化防止吸収源対策の推進のための国民支援に関する研究会」




最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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