動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語るー勉強部屋Zoomセミナー第5回報告(2023/3/1) | |||
2月25日勉強部屋Zoomセミナー本年度第5回を、ゲストに、梶谷辰哉さん(SGEC/PEFCジャパン事務局長)をむかえ、「動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語る」というタイトルで開催し、前回に引き続き、森林認証制度の現局面と展望について議論をしました。 元林野庁の行政官で国有林野部長をされ、退官後国土緑化推進機構の専務をされて、森林行政の中心にいた梶谷さんが、森林認証制度の普及責任者になっていること自体が、時代の流れなんだと思いますが、丁寧に作成いただいた、プレゼン内容の紹介とデスカッションの概要をご紹介します。 (プレゼン目次) 目次は四部構成。 ①森林を取り巻く状況、②森林認証について SGECとは?、③森林認証取得のメリット、④認証の広がりに向けてです ①の全体のイントロの部分については、世界の森林の減少と日本の森林の高齢化など大きなストーリーがありで、最後が「森林の量と質を守り再生させるにはどうしたらよいのでしょうか」(右の図)、ということでイントロがおわり本体が始まります。 (森林認証について概論) 以下の三つの図で説明 左、森林認証のプロセスは、森から製品までをつなぐプロセス。FM森林管理認証とCOC木材事業者の認定の二つのプロセスがあります。 さていよいと、SGECとは (SGECとは) アルファベットの言葉が多いですね。PEFC,SGEC SGECとは、「日本で生まれた森林認証制度」緑の循環認証会議(Sustainable Green Ecosystem Council)です。2003年に生まれて、2016年にPEFCと相互承認。 少し詳しいいきさつが右の図。 さて、いったい、相互承認て何? 左がその説明の重要な図。 「各国の認証制度の主権を尊重しつつ世界共通のPEFC持続可能性基準をベースにして、統合性を確保する 」のだそうです。 ・ 各国認証制度の規格が満たすべき共通要求事項や水準との適合性を審査 図でいうと、赤の線が共通要求事項、左の棒グラフが各国の基準サンプル 各国の基準をチェックすると、共通要求事項より高い基準もある。そうなれば承認。基準を下げてほしいとは言わない。高いところは参考にして共通要求事項をだんだんレベルアップするのだそうです。(この辺の柔軟性がFSCとの違いと言われていました) そして、D国の基準のように要求事項の合わない基準は、相互承認はできない。(ので相互承認するためには国内規格を改善) 日本も当初のSGEC基準改善が大変だったようです(そこの説明はあまりなかったですが)。 一例が右の図 各国で、信頼できる認証制度を維持していくために、三つの立場の独立した組織が必要です。 A 三角形の上の角にあるのが、規格を制定する機関(日本では梶谷さんが責任者のSGEC/PEFCジャパン)、 B 三角形の下の右の角にあるのが、認証(審査)機関(現在6社が実施)で、現場からの申請に基づいて森林認証やCOCの認証を実施。 C 三角形の下の左にあるのが、国際認証機関フォーラムという機関に参加している各国の規格をチェックする機関(日本では日本標準化認定協会JAB) これはISO(国際標準化機構)が国際的に定めているシステムなんだそうです。 SGECはPEFCと相互認証するまえは、AとAが選定したBだけで事業をやっていましたが、相互認証の過程で、PEFCの「共通要求事項」に基づいて、CがAが管理する規格に基づきBの審査能力をチェックしたりするようになりました。 その他に、相互認証過程で共通要求事項との関係で、変わったのは先住民族に関する規定。・・・・ ーーー 一番わかりやすいのは、SGEC森林認証をうけた森林から伐採された木材が、海外に輸出される場合ですね。 SGECで認証された森林は自動的にPEFCで認証された森林になるので、そこで生産された木材は(REFCのCOCを取得した各国の事業者ががつながれば)海外のユーザーに、これはあのPEFC認証材だと主張することができます(左の図)。 また、SGECのCOC認証を受けた人は、PEFCのCOC認証を受けたことになるので、輸入されたPEFC材の国内流通過程を担うことができます。(右の図) 木材市場がグローバル化してくるので、大切な変化ですね。 SGEC森林認証の広がりの推移が、左の図です。 東京オリンピックを前にどんどん増えたのが、少し水平になってますが、また、最近は増え気味になってきたと説明がありました。都道府県別にみると・・・ビックルすることがありますが、後述します。 また、COCの増え方は右の図です。 さて、三番目のトピックス森林認証のメリットはなんでしょうか? 四つに分けて掲載しています・・・ 〇SDGs達成への貢献 「認証材」であることの差別化➡市場の優位性 –ビジネスチャンス確保 〇リスク管理、安全な調達源、透明性 違法伐採材が自らの製品やビジネスに入り込むことを回避、 〇顧客・消費者へのコミットメント 自社のCSR、CSV方針を示すことができ, イメージの向上・改善に役立つ 〇地産材が国際的にも通用する認証材に→輸出も視野に 地域での関係者の連携強化、第三者の審査を受けることで、マネジメントシステムの構築、 ーーーー それで、具体例として、大手の住宅メーカーがCOCを取得したら・・・ このページでも報告してきましたが、「環境分野で世界的に権威のある国際環境利団体CDP」 情報公開が試す地球環境を管理するグローバル企業の可能性ーCDPフォレスト2019公開(2020/6/15) この団体によるこの会社の評価が、気候変動対策及びフォレスト(森林減少対策)において、最高評価の「Aリスト」に選定されるダブル「A」を達成したんだそうです。(右の図) COCだけではないでしょうけどね。おめでとうございました。 いよいよ、まとめ、森林認証の広がりにむけて、みなさんで、考えてみましょう。 需要に応じて、森林面積が伸びた背景に、右のように地域の自治体と、国と、山林所有者と木材事業者がいったいとなってグループで認証をうける、グループ認証のシステムです。 詳しくはこちら→で「SGEC・PEFC の歩みとグループ認証」 北海道るもい地区の森林の85パーセントが森林認証を取得、地元の素材生産、木材加工事業者、建設業者など49社が認証を受けました。 るもい森林認証協議会というところが、一括して認証手続きをすると、手続きが簡単になり、少し安価に認証が進むんだそうです。 これが、川上の認証システム普及の仕組みですが・・・ 川下の建築物が認証材でできていて、環境に貢献する素晴らしいビルですと主張する時のやり方が、プロジェクト認証。 「建物や船などの建築において複数の業者が関わる場合に、この建築をプロジェクトとして定義し、認証を受ける仕組み」です。 プロジェクトマネージャーが事業を統括。 建築物全体を審査、認証する全体認証と、だけでなく、例えば家の柱、建物の床部分など、一部のみを認証する部分認証がある」んのだそうです 色々使えそうですね。 右の図が、最近に事例です。 森林認証材の使用に対して、自治体が助成をする制度の紹介もありました(左の図)。 梶谷さんが最後に示したスライドが、右の図です 今後の取組ですが、色々あると思います、自治体等との連携が大切ですね。 認証された森林の都道府県分布は北海道が9割です。 これは、おかしいですが、北海道の道有林、や国有林が地域の森林と一緒になって、頑張った紋別の例素晴らしいですね。 川下の方は木造都市だとかいって、大手のゼネコンだとか、丸の内の保険会社の本社ビルだとか、ESG投資など環境指向のながれで、木材の利用が進むことは間違えありません。 そこで、「環境志向の木材」ならば、森林認証材で行こうとなるのは、間違えないでしょう。 転換点を前にして、頑張りましょう。 以上が梶谷さんのプレゼン内容(藤原の感想も入っていますが)でした ((Q&A)) 1時間のプレゼンのあと、30分のQA時間をもらいました。私から大きく三つの質問です。
A1:太田さんの指摘している事項は、環境保護(特定の農薬の使用方法)、コミュニティとの積極的なかかわり(先住民とのかかわり)、透明性(文書の開示)の3点です 上記に関しては、SGECも基本的な方向については需要なポイントと考えております。関連規定の抜粋資料を以下に置いておきますので参照ください。 PEFC ST 1003:2018 持続可能な森林管理 - 要求事項
A2:北海道の森林認証が進んでいるるもい地区の例を示しました。なぜこんなに進んだかというと、地元の北海道有林、国有林が積極的に認証を取得し、地域に民有林と連携したからですね。参考になると思います。 今後プロジェクト認証の事例、やグループ認証の事例などを、紹介していきますので、よろしくお願いします
A3:大手住宅メーカーの例をご説明しましたが、SGECのCOCをとることで、環境パフォーマンスの第三者評価が良くなる事例などが、いろんなケースで生まれています。そんな流れなので、同じような考えを持っています。今後普及に努めてまいります。 以上です (参加者からの質問) あと、皆さんから沢山の質問がきていたので、当日答えられなかったものも含めて整理しています。 動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語る?-勉強会第5回ZOOMセミナー報告Q&A 皆様どうもありがとうございました!! ー--- 報告は以上です。 動き出した森林認証!!というタイトルで企画したセミナーですが、ESG投資などを視野に入れた最近の企業の動き、北海道をはじめとした自治体の動向、条件はととのってきましたね。市民の消費活動と持続可能な森林をつなぐ森林認証の活動をこのサイトとしてもしっかりフォローしてまいります。 YouTubeの動画も閲覧できるので、ご希望の方はこちらから申し込んで下さい→問い合わせ窓口) ・・・・ (森未来と連携) 前回から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。 zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。 持続可能な森林づくりをメインのコンセプトにした、ビジネルの可能性はどんな方向?興味深いですね。 今後ともよろしくお願いします konosaito3-16<zoommt22-5threpo> |
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