いよいよ登場ー森林環境税のパワーと可能性ー税制改正大綱(2017/12/24)

「森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。」とした2018年度税制改正大綱の基本的考え方の記載は以下の通りです。

 4 森林吸収源対策に係る地方財源の確保

森林を整備することは、地球温暖化防止のみならず、国士の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものである。しかしながら、森林整備を進めるに当たっては、所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、境界末確定の森林の存在や担い手の不足等が大きな課題となっている。パリ協定の枠組みの下でわが国の温室効果ガス排出削減目標を達成し、大規模な士砂崩れや洪水・浸水といった都市部の住民にも被害が及び得る災害から国民を守るためには、こうした課題に的確に対応し、森林資源の適切な管理を推進することが必要である。

このため、自然的条件が悪く、採算ベースに乗らない森林について、市町村自らが管理を行う新たな制度を創設することとされており、森林関連法令の見直しを行い、平成31年4月から施行することが予定されている。その見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、以下を内容とする森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設する。

森林環境税(仮称)は国税とし、都市・地方を通じて、国民一人一人が等しく負担を分かち合って、国民皆で、温室効果ガス吸収源等としての重要な役割を担う森林を支える仕組みとして、個人住民税均等割の枠組みを活用し、市町村が個人住民税均等割と併せて賦課徴収を行う。

森林環境税(仮称)は、地方の固有財源として、その全額を、国の一般会計を経ずに、交付税及び譲与税配付金特別会計に払い込んだ上で、市町村及び都道府県に対して、森林環境譲与税(仮称)として譲与する。森林環境譲与税(仮称)については、法令上使途を定め、市町村が行う間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用並びに都道府県が行う市町村による森林整備に対する支援等に関する費用に充てなければならないものとする。

森林環境税(仮称)については、消費税率10%への引上げが平成31年10月に予定されていることや、東日本大震災を教訓として各地方公共団体が行う防災施策に係る財源確保のための個人住民税均等割の税率の引上げが平成35年度まで行われていること等を考慮し、平成36年度から課税する。税率は、新たな森林管理制度の施行後において追加的に必要となる需要量や国民の負担感等を勘案し、年額1,000円とする。

一方で、森林現場における諸課題にはできる限り早期に対応する必要があり、新たな森林管理制度の施行とあわせ、森林環境譲与税(仮称)の譲与は、平成31年度から行う。
平成35年度までの間における譲与財源は、後年度における森林環境税(仮称)の税収を先行して充てるという考え方の下、暫定的に交付税及び譲与税配付金特別会計における借入れにより対応する。市町村の体制整備の進捗に伴い、徐々に増加するように譲与額を設定しつつ、借入金は、後年度の森林環境税(仮称)の税収の一部をもって確実に償還する。




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