花粉の季節ー無花粉スギの開発考(2018/4/22)
   

無花粉スギの研究最前線(森林総合研究所、季刊森林総研No40)

特集花粉発生源対策ー花粉症がなくなる春は近い?(日本森林技術協会、森林技術N0.913 2018年4月号)

森林技術者、森林研究者が自分たちの持っている情報を対外的に発信する重要な媒体である二つの雑誌が、花粉症対策・無花粉スギの開発などについて特集を組んでいます。

都会の人々の多くが花粉症に悩む季節。なぜこんなに悩まなければならないのか?スギ花粉をこんなにまき散らしている責任者は誰だ。・・

(花粉の発生源対策)

ということで、林野庁の担当者も@伐って利用し、A植え替え、B出させない「スギ花粉症発生源対策」を説明します(森林技術、論壇中村隆史「花粉症発生源対策の推進に向けて」)。

資料室に花粉症に関する関係省庁担当者連絡会議設置要綱(文部科学省、厚生労働省、農林水産省、気象庁、環境省)と、スギ花粉発生源対策推進方針(4月1日)をおいておきます。

過去の反省をふまえて、総動員で花粉のないスギの開発と植え替え。

社会問題となっている花粉症問題について、その対策のうち、発生源対策を担当する立場にある森林技術者の技術的アプローチが、こうなるのは不自然ではない、とは思います。

が・・・

(社会問題化した背景は)

それはそれとして、一体なぜ花粉症がこんな社会問題になるように蔓延してきたのか、ということについての,共通の認識をもっていないと、また、変な方向に行くような気がします。

「東京都内のサラリーマンを対象とした大規模な疫学調査の結果では, 1962年には花粉症は皆無であったのが, 1997年にはスギ花粉症の有病率は33.8%まで上昇したと報告されている」のだそうです(朝倉光司、アレルギー性鼻炎の地域特性)。

その論文では、1. 花粉飛散数と地域特性(有病率は花粉の量と相関があり、都市が農村に比較して有病率が高い)、2. 住環境の影響(集合住宅住人は戸建て住人より有病率が高い)、3. 大気汚染と花粉症(同じ花粉量では国道沿いが、他の地域より有病率が高い)、などの研究結果が紹介されています。

花粉症はスギの花粉が直接発病のきっかけになっているのは間違えないが、それが社会問題化した背景は、人間社会・生活の構造的変化である」と、いえるのではないでしょうか。

(無花粉スギの開発の行き先は)

自分たちの都合で、社会問題化した問題の対策として、「スギの無花粉化」という、植物種の存続に関わるような遺伝的情報の拡大を図ることが、本当に正しいことなのか。

森林技術者・研究者のしっかりした議論が必要だと思います。

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