林業がつくる日本の森林(2017/1/29)

建築関係者の会合で「「林業がつくる日本の森林」(藤森隆郎著)(築地書館))という本を皆が最近読んだ」、ということが話題となり、たまたま出席していた藤原が{著者と面識がある」ということからご本人を呼んだ勉強会が開催されることとなりました。

この会合の話はおいおいご紹介することとして、本の内容を紹介することとします。

筆者藤森隆郎さんは国立森林総研の元森林環境部長。

我が国も含む温帯林の持続可能性な森林の基準をどのように作っていくのか、モントリオールプロセスという言葉の出発点となった「温帯林等の持続可能な開発に関する専門家セミナー」が1993年にモントリオールで開催されたときに、藤森さんとご一緒したのが縁でお付き合いをしてきました。

私としては「将来の森林条約の重要なコンテンツになるはず」という思いで、森林総研の関係者と基準と指標づくりに一生懸命になったのが思い出されます。

森林生態学の第一線の研究者が森林総研をやめられてから、森林政策対象の現場に密着して(言いにくい)意見を言われてきたのは、こころから敬意を表します。

森林生態学ー持続可能な管理の基礎(2006年)(全国林業改良普及協会)
現場の旅 新たな森林管理を求めて(上)(下)(2010) (全国林業改良普及協会)

「森林と林業の現場と研究の世界との間に大きな隔たり、現場と行政との間の隔たり」(前書きより)が本書のモチベーションの一つになっています。

その一つの例示をされたのが左の図です。

本人の著書、Ecological and Silvicultural Strategies for Sustainable Forest Managementにオリジナルに掲載されたもので、各国で注目されてたくさん引用されたもので(すが、「日本ではだれも注目しない」・・)、森林の林齢にしたがって、森林のさまざまな機能がどのように変化していくかを示したものです。

純生産速度を示す線(若いうちに急速にたかまりその後低落傾向になる)と、他の機能(生物多様性、水源涵養、生態系の炭素量など)を示す線(若齢期に落ち込み徐々に拡大)とは、変化のパターンが全く異なることを示めしている、とされています。

これが、「目指すべき森林の姿は、長伐期の構造豊かな森林である」という明快な主張の根拠となり、また、50年で森林をすべて伐採して新たな新植造林地を作るのは、「長年造成した生産設備がこれから本格稼働しようとするときに壊してしまう」行為であると、厳しい指摘がされます。

これも含めて、現場と政策の中核を担う人材不足、人づくりの必要性について、行政の現場にいた小生からすると耳の痛い話です。

この著書を読んだ多くのビジネス関係者が関心をしめしているので、冒頭の読書会のメンバーとのコンタクトを続けていく予定です。

是非ご一読ください。

朝日新聞書評 高い潜在力、育てたい経営力・人[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)
東京新聞書評 健全化へ垣根越えて[評者]宇江敏勝=作家・林業家

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