文京区生物多様性地域戦略ー都市住民にとってBDの意味は(2019/1/26)

居住している文京区で、はじめて「生物多様性地域戦略」を作成する作業をしていています。

文京区生物多様性地域戦略素案が公表され、意見募集があったので、提出しました。

都市住民にとっての生物多様性とはどんな意味があるのか?「緑の基本計画」などが作成されているのに、その上地域戦略をつくる意味はなんなのか?考えてみました。

(住宅地にとってのみどりの意味)

都市にとっての緑は環境保全、防災、レクリエーション景観という四つの側面があると言われますが(緑の必要性文京区緑の基本方針)みどりに囲まれた地域というだけでなく、大きなみどりの中継基地としての住宅地のみどり、というコンセプトは大切なメッセーです。

左の図は素案に掲載してあった「主に樹林地に生息する「シジュウカラ」の生息地・移動経路の分析」とした図です。

「区内で生きものの移動がしにくくなっているエリア(下図に示すシジュウカラやトンボ類の移動に着目した分析成果等を参考)にも着目し、住宅や事業所等、身近なところでビオトープを創ることを促すとともに、まちづくりの中で計画的に緑を配置していくことで、エコロジカル・ネットワークの充実が期待できます」としています(p51課題6身近な生物多様性の創出が必要

大きなみどりの生息する生物が、行き来するネットワークの経路としての住宅地の緑という位置づけが大切だという指摘です。

でも具体的にどうしていくのかが、今ひとつ

(都市生活者の消費行動が・・・)

もう一つ、緑の基本計画がありならが、なぜ生物多様性地域戦略をつくるかといえば、都市生活者の消費行動が、世界中の生物多様性に圧力をかけている、という大切なことを視野に入れているからだと思います。

素案の冒頭の背景説明にも「区内で消費される食料や木材は、ほとんどを区外から調達しており、間接的にその土地の生物多様性に影響を与えています。また、近年急速に進みつつある地球温暖化の大きな要因は、暮らしや事業活動における化石燃料の消費であり、エネルギーの一大消費地である文京区も、地球全体の生物多様性への影響は否定できません。」と記載されています。

そして、戦略の部分にも「基本目標U 生物多様性に配慮した生活スタイルに転換し、日常の中で実践する」と記載されています。

紙にしても木材にしても森林認証のラベル、クリーンウッドなど材料はたくさん準備されています。

が、具体的な記述が今ひとつ

ということで、概略以下の三つの意見を提出しました。(原文はちら

1 住宅地等のみどりの保全造成について
基本目標IIIの「生物多様性に配慮したまちづくり・・・」に関する記述を、住宅地のみどりの保全造成の大切さという観点から、@みどりの創生だけでなく、現存するみどり保全が重要、Aみどりの保全条例の手続きなどとの連携が大切、B地域計画など住民の自主的合意への誘導が大切、などの視点で充実させるべきです。
理由:
住宅地に緑がなくなっていくことを皆心配しています。素案51ページのシジュウカラの移動経路の分析の図は住宅地の緑はその地域の人だけでなく、大きな緑の間を行き交う生物にとっても大切なこと、という重要なメッセージです。しかし、素案には具体的な手立てについての記述が貧弱です。都市計画で建坪率容積率などここまで、やっていいとなっていても、地域戦略ができたのだから、いままでの、緑をへらすような計画は、してはいけない、どうしても緑がへる事業をするなら周辺住民に説明して合意を得なければならない、など、事業者の努力義務につながるようなことも含めて、是非記載を充実してください。
2 住民の消費行動について
基本目標II「生物多様性に配慮した生活スタイルに転換」に関して、具体的な行動を記述し、区の調達者としての役割を明確にするという視点から、記述を充実させるべきです。
理由:
緑の基本計画がありならが、なぜ生物多様性地域戦略をつくるかといえば、素案7ページにも書いてあるように、都市生活者の消費行動が、世界中の生物多様性に圧力をかけている、という大切なことを視野に入れているからだと思います。
その割に、素案77ページ行動計画に「生物多様性に配慮した製品を選ぶ」などと記載していますが、ほんの少ししか書いてありません。地産地消、農薬、違法伐採などいろんなメッセージを込めた商品が市場にでてきているので、まず、区で購入するモノは少なくともこういうモノを買います、公共建築物を建てるときには、持続可能な木材とわかるものでしか建てません、区内のコンビニ、大規模小売店で営業するならこういう商品を優先的に売るように指導します、など書くことはたくさんあるはずです。
3 背景に関する記述の充実
(原文)紙や建築資材等、さまざまな形で利用される「木材」の多くも海外からの輸入に依存しています。海外では、自然環境への配慮に乏しい林業も依然として多く、そのような場所で生産された木材や製品を区内で使用することも、間接的ではありますが、大きな影響を及ぼしていると言えます。

(修文)紙や建築資材等、さまざまな形で利用される「木材」は資源の循環利用の大切な要素ですが環境に負荷を与えているものもあります日本も含む世界の森林では違法伐採、自然環境への配慮に乏しい林業も依然として多く、そのような場所で生産された木材や製品を区内で使用することも、間接的ではありますが、大きな影響を及ぼしていると言えます。
理由2
海外の森林だけが問題があるという主張ではない方がよい。例えば、国の法律「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(通称「クリーンウッド法」)」の目的規定では、「我が国又は外国における違法な森林の伐採(以下「違法伐採」という。)・・・に鑑み」としています。 

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kokunai14-5<bunkyoBD>


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