建築関係者の木材利用への取組みー建築界協会JIA環境会議木材利用推進シリーズセミナー(2016/8/27)

 

 2010年
日本建築家協会賞
木材会館
設計者:
山梨 知彦(日建設計)
勝矢 武之(日建設計)

7月26日日本建築家協会JIA環境会議 木材利用促進セミナーVol.5「木造建築がつなぐ森林の循環」に参加して、「ウッドマイルズと木材のサプライチェーン管理」と題して話をさせていただきました。

日本建築家協会JIAは「建築の設計監理を行う建築家の団体」で「さまざまな社会貢献活動をしています」が、木材関係者のよく知るところでは、東京新木場の木材会館が2010年度に日本建築家協会賞をもらっています。

そのなかの、環境会議が木材の利用促進セミナーをシリーズで開催してきました。森林や木材の関係者が木材の利用促進の化活動をすすめる例は多いですが、建築関係者の団体の利用促進セミナーの概要は以下の通りです。

 Vol.1
2013/1/23
 環境建築の作品性と木材  坂茂(建築家・京都造形芸術大学教授)  作品づくりと社会貢献の両立を目指して/最近の木造建築作品
 平川泰彦(合板博物館副館長) 樹木の細胞が織りなす木の諸性質/福島の放射線の影響にも言及
 Vol.2
2014/2/21
 木構造の展開と環境建築デザイン  稲山 正弘(東京大学大学院木質材料学研究室教授)?  流通材を用いた中大規模木造建築の構造デザイン
       
 Vol.3
2014/10/29 
マッシブホルツは次世代基幹建材になり得るか    網野 禎昭 (法政大学デザイン工学部建築学科教授)  「集住の木造 ヨーロッパの木造建築から「木と建築と社会」を考える」
 腰原 幹雄 (東京大学生産技術研究所教授)  「線材と面材 −都市木造の可能性−」
 Vol.4
2015/12/10
 木造文化と森林循環  野沢 正光 (野沢正光建築工房/JIA環境会議議長)  木造デザインのあるべき姿
 小島 孝文(林野庁木材産業課 課長) 木材を基本とした循環型社会への道
 Vol.5
2016/7/22
 木造建築がつなぐ森林の循環  小島 孝文 (林野庁木材産業課・課長)  木材活用による循環型社会への道
 藤原 敬 (ウッドマイルズフォーラム理事長・林業経済研究所長) ウッドマイルズと木材のサプライチェーン管理

木材利用促進セミナーVol.5「木造建築がつなぐ森林の循環」


基調講演1 : 小島 孝文(林野庁木材産業課 課長)
「木材活用による循環型社会への道」
基調講演2 : 藤原 敬(一般社団法人 持続可能な森林フォーラム)
「ウッドマイルズと木材のサプライチェーン管理」
パネルディスカッション (各パネリストが作品や活動のプレゼンを行い、その後会場を含めてクロストークを行う。)

山代悟 建築家 ビルディングランドスケープ共同主宰
福島加津也 建築家 福島加津也+冨永祥子建築設計事務所代表
福田彦一郎 林業家・材木店・工務店経営/とちぎ木づかいプランナー協会会長
井原良忠 彫刻家 森林アーティスト

日時 : 2016 年7 月 26 日(火)
16:00〜19:00 懇親会
19:00〜20:00 (CPD 認定プログラム申請中)
場所 : 新木場タワー1階大ホール (館内禁煙) 定員150 名(申し込み先着順)
参加費: 資料代1000 円 懇親会参加費:1500 円
主 催: 公益社団法人日本建築家協会(JIA)環境会議・国際交流委員会
協 賛: ジャパン建材株式会社、株式会社キーテック、秋田グルーラム株式会社、物林株式会社、株式会社宮盛、株式会社銘林

 昨年末のCOP21では、史上初のすべての国が参加する公平な温室効果ガス排出削減のための枠組みが出来て、世界各国が一斉に温室効果ガス排出削減に向けて動きだしました。今後はゼロエネルギー建築やプラスエナジー建築などの環境建築が急速に普及するだろうと予想します。しかし、たとえプラスエナジー建築であっても、建設時には多量の温室効果ガスを発生させるため、温暖化対策が短期的には温暖化を促進することになりかねません。しかし唯一木質建築だけが、建築内部に二酸化炭素を固定し、材料となる樹木の伐採後に植林された若木が二酸化炭素を吸収するという形で、地球の炭素循環にモラトリアムを作り出し、環境への負荷が少ない温暖化対策を行える特性を持っています。木材で作る環境建築は、地球環境対策の切り札と言えます。しかし木材を使えば必ず温暖化対策として有効だと言う事ではありません。日本は森林大国であるにも関わらず、林業が健全な産業として成立しておらず、認証林も僅かです。2020年の東京オリンピック・パラリンピック施設では認証材の使用が要求される事になると予想されるので、これが日本の林業の体質改善の機会になるかもしれません。今回のセミナーでは、日本の木材を軸とした循環型社会の現実を知ると共に、今なすべきことや将来の可能性について、多角的に議論したいと思います。

kokunai3-50(JIAmokuzai)
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