自然資本プロトコルの森林・木材産業版ガイドライン最終案ー意見募集(2018/2/12)

Forests require long term planning and investment and therefore it is not surprising to me that the first new guidance since the launch of the Natural Capital Protocol is from a sector that is always thinking of the future.

Foreword by Mark Gough, Executive Director, Natural Capital Coalition 
 森林は長期にわたる計画と投資が必要であるので、自然資源プロトコルの最初のガイダンスが、常に将来を見通しているこの分野から始まることは、私には不思議なことではない。

自然資本連合、マーク・グース会長による前書き

自然資本連合(NCC The Natural Capital Coalition)が「企業の経営判断のために信頼され、信用でき行動に繋げられる情報を作り出す支援をするための枠組み。ビジネスと自然資本の関係を検討に含めることで、より良い判断がなされることを目指す」として創った自然資本プロトコル(日本語版)の、セクター別ガイドラインが作成中だが、森林・木材分野版ドラフト冒頭の言葉である。

ドラフト版意見募集の案内とともに以下のサイトに掲載されています。
Forest Products Sector Guide

 

上図は上記のページに掲載されている作成スケジュールですが、昨年から作成をはじめて、もうすぐできるという最終版ということです。

 

85ページにわたるきれいなイラストのガイドラインです。

6社の仮想事例の会社が載っています。

@Continental Paper Co.(製紙会社)、ABiomex(発電エネルギー供給)、BHomes & More (家具の製造販売)、C「Northern Lumber Inc.(大規模な製材所)、DWhitford Wipes (多国籍ケア製品メーカー)、ECountry A government(ある木材輸入国政府)

どれも、主たる製品に木材や木質バイオマスを使う大企業の事例となっています(政府が乗っているのはびっくりですが)。

プロトコルが提起しているフレーム(なぜ?)、スコープ(何を?)、計測と価値評価(どうやって?)、適用(次は何?)の4つの段階の作業のうち、事例では2段階までの記述しかなく、Steps 05-09 of the hypothetical examples are not included in this draft guide for consultation but will be included after feedback and pilot testing.(あとの二つのステップに含まれる(05-09章の事例はこのドラフトガイドには含まれていないが、フィードバックの作業が終わり先行的テストが終了後に掲載される)としています。

いろいろな選択肢を視野に入れた森林その他の自然資本へ影響(プラス面とマイナス面)が貨幣価値(だけではありませんが)で提示される、ということで、その結果を含めたセクターガイドを是非見たいものです。

とりあえず、最終ドラフト段階で意見を言うことも出来るようなので(多分ー〆切間近)、上記の事例の中で、鉄骨のプレハブ住宅のメーカーが木造の家を提供した場合(ローカルな木材と輸入材)どのような便益が比較できるのか、という事例を入れてほしいと意見をいうことにします。クリーンウッド法のこともいっておきます。

また、木材を使った場合他の化石資源を使った場合との比較が、上記の事例分析の中でどのようになされるのかということも注目点ですね。違法伐採やクリーンウッドの取り扱いも注目。

今回は、森林分野の会社へのガイドですが、すでに、食料やアパレルのガイドが公表されています。Sector Guides

このように他の分野の企業の原料調達課程の森林への影響などが記載されているようです(まだしっかりみていませんが)。今後他産業のガイド作成上で自社のビジネスをしていくときに、森林分野をどのように意識することになるのか注目点です。

また、生物多様性のプロジェクトも進んでいるようです。

こう見てくると自然資源プロトコルー大きなエネルギーを感じるプロジェクトです。今後ともビジネスと森林の関係を規定する重要な仕事をしていくことになりそうですね。

わすれていました、上記事例の6番目、A国政府は木材輸入大国なのだそうです。その国がいろんな政策選択をした場合のストーリーも掲載されることになるようです。どこまで説得力のある議論が展開されるのか、目が離せません。

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