20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)は最終日の29日午後、首脳宣言「大阪宣言」を採択して閉幕しました。
国際経済協調の最も重要な会合Premier Forum for International Economic Cooperationといわれている、会合の中で、森林や循環社会の主役となるべき木材がどのように取り扱われるのか?気になるところです。
「長野県軽井沢町で開かれる20か国・地域(G20)環境関係閣僚会合で、原田義昭環境相が「都市建築物の木造・木質化の推進」を呼びかける。4月に発足した「森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進議員連盟」からの要望を踏まえ、議長国の立場から訴えることにした」という報道(J-FICニュース) もありましたので。
(採択された首脳宣言)
まず採択されたG20大阪首脳宣言(本文、仮訳はこちら)。7つの大きな章立ての中の、6 包摂的かつ持続可能な世界の中の、地球環境問題と課題に以下の文章があります。
我々は,気候変動,資源効率, 大気汚染,土地汚染,淡水汚染,海洋プラスチックごみを含む海洋汚染,生物多 様性の損失,持続可能な消費と生産,都市環境の質その他の環境問題を含む複雑 で差し迫ったグローバルな課題に対処し,また,持続可能な成長を促進しながら, 最良の入手可能な科学を用いて,エネルギー転換を促進し主導する緊急の必要 性を認識する |
都市建築物の木材利用とい言葉はでてきませんが、アンダーラインを引いた部分の中に入っているのでしょう。
(環境大臣会合)
それでは、首脳会議に先立って開催された、軽井沢で開催れた持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合ではどうだっだでしょうか?
G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果
G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の結果についてより
会合では、@イノベーションの加速化による環境と成長の好循環(環境大臣とエネルギー大臣との合同セッション)、A資源効率性・海洋プラスチックごみ(環境セッション)、B生態系を基盤とするアプローチを含む適応と強靱なインフラ(環境セッション)」について議論し、コミュニケ及びその付属文書をとりまとめました。主な議論は以下の通り。
(1)イノベーションの加速化による環境と成長の好循環
原田大臣から、@パリ協定に基づく我が国の長期戦略、A究極の環境型エネルギーである水素、B商用規模の技術確立を目指したCCUSの推進などに関する我が国の先進的な取組を紹介(環境大臣ステートメント)。
このため我が国は、1.5℃目標にも貢献すべく、パリ協定に基づく長期戦略を策定しました。今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」、すなわち実質排出ゼロの実現を目指し、イノベーションの促進に取り組んでいきます。
○ 具体的には、
3) 業務用建築物や一般住宅等の省CO2建築物へのCLTの利用推進、鉄の5倍の強度で1/5の重量であるCNFによる木材利用の拡大 |
複数の画期的なイノベーションにより牽引される環境と成長の好循環を加速するため、複数のステークホルダー、特に民間部門のステークホルダーが関与する、国際的、地域的、国家及び準国家的な取組を強化する「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関するG20軽井沢イノベーションアクションプラン」を採択
(2)資源効率性・海洋プラスチックごみ
略
(3)生態系を基盤とするアプローチを含む適応と強靱なインフラ
原田大臣から、適応情報に関する我が国発の国際的な情報基盤であるアジア太平洋気候変動適応情報プラットフォーム(AP−PLAT)の立ち上げ、気候変動適応法による取組、SATOYAMAイニシアティブや地域循環共生圏などの地域における実践などを紹介(環境大臣ステートメント)。
気候持続可能性作業部会(CSWG)での議論に基づき、G20メンバー国が他国と推進、共有することを望んでいる活動や優良事例等を整理した「G20適応と強靱なインフラに関するアクション・アジェンダ」を採択
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ということで、大臣にステートメントに中に「木材利用推進ばなしが紹介されたということで、閣僚会議ので採択された宣言などの公式文書に、木材利用推進の話しが登場はしていません。
G20はリーマンショックを契機に設立された「金融世界経済に関する首脳会合」ですが、グローバルなコンセンサスの優先順位の高いものが並んできます。その中で、循環可能な社会の主役となるべき、木材の利用推進が、順番がすこし後ろになっているのは少し問題ですね。がんばりましょう。
junkan3-9<G20osaka>