「再生可能エネルギーの全量買取制度」と木質バイオマス(2011/1/29)

 

既報の通り、経済産業省は平成21年より再生可能エネルギーを電力会社が固定価格で買い取る制度の検討を行ってきました。

最近では総合資源エネルギー庁調査会の新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会で検討が行われており、12月下旬に報告書案公表、意見募集などがあり現時点の検討状況が明らかになりました。

「再生可能エネルギーの全量買取制度における詳細制度設計について」買取制度小委員会報告書(案)(PDF形式:830KB)
買取制度小委員会報告書(案)に係るパブリックコメントの結果(PDF形式:71KB)

小委員会報告書の中で森林や木材に関係するのは、1買取対象、買取範囲に関する事項、2買取価格・期間に関する事項、4.新設・既設、出力増強の扱いに関する事項です。

(木質バイオマス発電の買取対象範囲)

(小委員会報告書案)
1.買取対象、買取範囲に関する事項

(3)買取対象としてのバイオマス発電の要件
バイオマス発電については、その燃料であるバイオマスの中に、既に他の用途の原材料として用いられているものもあるため、新制度の導入によって他用途に既に利用されているバイオマスの需給バランスに大きな影響が生じ、資源の逼迫や市況の高騰が生じるおそれもある(太陽光発電や風力発電であれば、こうしたおそれは生じない。)。
燃料となり得るバイオマスの中には、森林破壊や生物多様性への悪影響が懸念されるものもあり、こうした事態が生じることのないように配慮することも必要となる。
さらに、燃料に用いるバイオマスを収集・輸送する際に大量の温室効果ガスが排出されると、新制度の趣旨にそぐわなくなってしまうため、この点にも留意が必要である。
このため、新制度において個々のバイオマス発電を実際に買取対象とするか否かを判断するに当たっては、@既存用途から発電用途への転換が生じ、既存用途における供給量逼迫や市況高騰が起こらないこと、A持続可能な利用が可能であること(森林破壊や生物多様性に影響を及ぼさないこと。)、BLCA(Life Cycle Assessment)の観点から地球温暖化対策に資すること、等に配慮する必要があり(注)、発電の用に供される個別のバイオマス燃料についてこうした要件をどのように設定、確認することが現実的であるかを踏まえた上で、その方法を具体化する必要がある。
このような確認を行うための判断材料として、個々のバイオマス燃料の由来等を特定可能とするような、トレーサビリティ確保の仕組み等を整備することも重要である。
今後、経済産業省において、関係省庁と連携しながら、バイオマス発電の普及拡大に資するよう、適切な対象選定や具体的な仕組みづくりを検討していく必要がある。
(注)例えば、賦存量のほとんどが未利用であり既存用途への影響もないと考えられる林地残材は、類型としては@〜Bに適合し得ると考えられる

以前から検討会での議論や今回の小委員会の議論は、バイオマス発電の全てを買い取るのではなく「林地残材であることがわかるものに限定する」ような方向になっていましたが、公募意見の概要にもこの点についてたくさんの意見が寄せられたようです。

小委員会報告書案にかかる意見の概要
買取対象(バイオマス)
(意見内容)
・LCAの観点から海外からの輸入品は対象外とすべき、との意見があった。
(考え方)
海外から輸入したバイオマス燃料を原燃料としたバイオマス発電も、買取対象とすることが適切と考えられる。ただし、この際には、国内産バイオマス燃料と同じく、「1.(3)買取対象としてのバイオマス発電の要件」に記載された趣旨を満たしている必要がある。
(意見内容)
廃棄物発電を買取対象とすべき、買取対象は林地残材に限定すべき等、具体的なバイオマスの種類に対して、それぞれ買取りを行うべき又は行わないべきといった意見があった。
(考え方)
バイオマス発電の買取りについては、適切な認定方法の検討や具体的な仕組みづくりについて、今後も検討を続けていく。なお、石炭火力発電に混焼する場合の意見があったが、バイオマス専焼発電に限定する理由はないことから、買取対象となることを基本として検討を行い、その際には実際の運用についても支障が生じないように検討を行っていく。

廃棄物のような現時点で処理の枠組みができているもの、製紙原料としての木材チップなど現在別途の利用方法があるものなどをどう取り扱うか、「バイオマス発電を普及拡大を図る」という観点から検討されるようです。

また、輸入材に利用に関しては小HPが取り上げてきた、輸入材ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支 (2004/11/14)などの蓄積が検討会の議論の中にも反映されています。

(買取価格)

(小委員会報告書案)
2.買取価格・期間に関する事項

(1)風力発電等太陽光発電以外の電源
本小委員会での検討においては、投資採算性(内部収益率、投資回収年数)等を考えると、風力発電等の太陽光発電以外の買取価格については20円/kWhが最低限必要なラインとの意見があり、また、ある程度の導入量を達成しようとするならば、買取価格はより高い価格設定とすべきとの意見があった。
一方で、国民負担に配慮すると、過度の利益を保証するような価格設定は避けるべきとの意見も勘案する必要があり、今後、具体的に買取価格を決定する際には、こうした点に留意する必要があると考えられる。
買取期間については、投資の回収が可能な水準以上の買取価格が設定される場合には、買取期間の多?の長短は投資判断において相対的に軽微な影響しか及ぼさないと考えられるため、大枠において提示された15年〜20年程度の買取期間の中では、15年を軸として、買取価格の設定検討の基礎とすることが適当である。
なお、大枠における考え方とは異なり、電源ごとのコストに対応した買取価格にすべきではないかという意見があったものの、一方で、一律価格とする方が市場メカニズムを活用できること、国民負担を伴う新制度においては、なるべく費用対効果が高いものから導入が進み、全体の負担軽減につながることが望ましいことから、システム価格の低減が見込まれる太陽光発電以外の買取価格は、一律価格とすることが適当である。

検討会の段階から15円から20円/kWhという数値が示唆されていましたが、今回の報告書では20円/kWhの数値だけが記載されています。

ちなみに、、先行するRPS法(電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法)での新エネルギーの買取実績の調査結果が公表されていますが、21年度分の調査結果ででバイオマス発電は8.4/kWhとなっています。

(既設の施設の取扱)

(小委員会報告書案)
4.新設・既設、出力増強の扱いに関する事項
(1)新設・既設についての取扱い


なお、バイオマス発電については、新規に混焼発電に取り組もうとした場合であっても既設の設備で混焼することも多く、単に発電設備が新設か既設かということで判断することが適当でない場合があることに留意すべきである。
また、バイオマス発電については、新設設備として扱われる設備であっても、「他の用途で利用する事業に著しい影響」を与える場合には買取対象とはしない方向性であるため、結果として買取対象とならないバイオマス発電が生じ得る。
一方で、そうしたバイオマス発電に係る既設設備であって、RPS制度の廃止の影響を受けるものもあると考えられ、こうした点に関する扱いについては、経済産業省において今後も検討を続けていくことが適当である。

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