「国産材・地域材」を超えたウッドマイルズの意義(2005/2/12)

1月下旬鹿児島県農業・農村振興協議会の研修講師として鹿児島に伺い、またその道すがら宮崎にも立ち寄って両県の関係者と森林認証やウッドマイルズに関して話をする機会がありました。

その際に、「南九州のように我が国のスギの産地で地元の市場というよりは、関東、近畿などの大消費地に自県の材を売り込んだり、はては中国・韓国に対して輸出を使用としている地域にとって、ウッドマイルズは不利になるのではないか?」という点が話題になりました。

かねてからウッドマイルズが狭い地域材という枠組みだけを推奨するのは問題があるのではないかという、議論がありました。(田中淳夫「地域材より国産材」 農林経済1月24日号 若干のリライトをした版を筆者からいただきましたのでこちらにおきます→pdf

ウッドマイルズは、もちろん「近くの山の木で家をつくる」という運動や地域材の利用促進を支援することになるが、もっと大きな可能性を持ったものと思います。「日本の中の生産県:主要市場を遠隔地に求める地域にとっては、ウッドマイルズは国内産地間競争で不利になるのではないか。」という問に対して、次の二つの点を指摘しました。

第一に、輸送過程の環境負荷は距離だけでなく輸送手段の効率性に依存している‚という点が重要であり、輸送手段を合理的に計画すること(モーダルシフト)で輸送過程のエネルギー負荷の少ない材の提供をアピールできることです。同一のものを同一輸送距離運ぶ時の環境負荷は、陸上をトラックで運ぶ場合、鉄道や船より約1桁多い数値となります。仮に、南九州から東京圏に船で輸送する場合、東北地方からトラックで運ぶ場合の半分のエネルギー消費ですむ計算となります。ウッドマイルズは、輸送の合理化を支援する手法にもなるのです。

第二に、中国市場から見た場合の最も近い木材輸出可能地
域は南九州であり、中国への輸出に対してもウッドマイルズの意味がある、という点です。

中国市場に最も輸出量が多いロシア材の産地は、上海を起点と考えた場合九州の3倍の(直線)距離にあり、輸送手段や経路を考えた場合、九州からの輸入はもっとメリットがあるといえます。

なお、ちょっと違う観点も入りますが、国際緑化推進センター(JIFPRO)の「緑の地球」1月号(No.76)に「エコマテリアル木材の輸送距離」という小論を寄稿しましたが、「ウッドマイルズの国際性」ということを指摘しています。編集者の了解をえて、全文を資料室におきます